『転生したら白虎だった件 〜三上を守るため最強になった俺は、白氷竜に見初められ世界の均衡を壊す〜』 作:Hiro
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# ■第13章 アリス・ロンドとの邂逅
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講堂は、静かだった。
だがそれは“落ち着いた静けさ”ではない。
“何かが始まる直前の静寂”。
リムル=テンペストは壇上を見上げながら、小さくため息をつく。
「……嫌な予感しかしねぇな」
その隣でハクは、ただ立っている。
周囲の視線はすでに一定ではない。
好奇。
警戒。
そして、理由の分からないざわめき。
エイルが静かに告げる。
『注目度:依然高水準』
「下げろ」
『不可能です』
「即答やめろ」
その時だった。
背後から軽い足音。
リムルが振り返るより先に、ハクが視線だけを動かす。
そこにいるのは――アリス・ロンド。
彼女は楽しそうに笑っていた。
「ねぇ、ハク」
呼び捨て。
初対面に近い距離。
リムルが即座に割って入る。
「おい待て、いきなり距離近いな」
アリスは気にしない。
「だって気になるんだもん」
ハクは静かに見る。
「なんだ」
アリスは一歩近づく。
「あなたさ、絶対普通じゃないでしょ?」
「普通だ」
即答。
アリスは笑う。
「その返事が一番普通じゃない」
リムルが頭を抱える。
「ほら見ろ……会話成立してねぇ」
エイルが淡々と分析する。
『対象アリス・ロンド:強い探究心を確認』
「分析すんなっての!!」
アリスはさらに近づく。
ほぼ距離ゼロ。
「ねぇ、魔力見せてよ」
「必要か」
「見たい」
即答。
ハクは少しだけ考える。
そして――
「見るだけなら問題ない」
その瞬間だった。
空気が変わる。
ハクの魔力が“表面にだけ”現れる。
本来なら暴風のような圧になるはずのそれは、なぜか静かだった。
だが静かであることが、逆に異常だった。
アリスの目が見開く。
「……なにこれ」
リムルが小声で呟く。
「出すなって言ったろ……」
エイルが静かに補足する。
『魔力制御:完全安定状態』
『外部影響:最小化』
アリスは一歩後ずさる。
だがその顔は恐怖ではない。
“興奮”だった。
「ねぇ、あなた本当に何?」
ハクは答える。
「ハクだ」
「そうじゃなくて!」
アリスは笑う。
「あなた、世界のルールから外れてる」
その言葉に、リムルが一瞬だけ目を細める。
(こいつ、気づいてるのか?)
アリスは続ける。
「普通の魔力じゃない。制御でもない。そもそも“枠”が違う」
ハクは静かに見ている。
理解はしていない。
だが、聞いている。
アリスは一歩引いて、楽しそうに言う。
「面白い……ほんと面白い」
「ねぇ、私と勝負しない?」
リムルが即座に叫ぶ。
「やめろやめろやめろ!! 初日で学園崩壊させる気か!!」
アリスは笑う。
「だって気になるんだもん」
ハクは少し考える。
「勝負とは」
アリスは即答。
「どっちが強いか」
その瞬間。
エイルが警告する。
『戦闘発生確率:上昇』
リムルが頭を抱える。
「お前らさぁぁぁ!!」
だがハクは首を振る。
「必要ない」
アリスは固まる。
「え?」
ハクは続ける。
「勝負は無駄だ」
その一言。
空気が静かになる。
アリスは数秒黙る。
そして――笑う。
「……やっぱり変」
「でも嫌いじゃない」
その言葉に、リムルが横から突っ込む。
「お前ほんと何でも面白がるな!!」
アリスはリムルを見る。
「あ、スライムさんだ」
「スライム言うな!!」
そのやり取りを見て、ハクは少しだけ目を細める。
エイルが静かに告げる。
『新規関係性:観測対象 → 興味対象へ変化』
リムルが呟く。
「なぁ……嫌な予感しかしねぇんだけど」
ハクは答えない。
ただ静かに立っている。
アリスはそんなハクを見上げて言う。
「ねぇハク」
「なんだ」
「あなた、絶対“何かの中心”だよ」
その言葉に、少しだけ間が生まれる。
ハクは静かに答える。
「護衛だ」
アリスは笑う。
「護衛ねぇ……」
そして、小さく言う。
「じゃあ、その護衛対象、きっととんでもないね」
リムルは遠くで聞いている。
(やめろ……その推測やめろ……)
エイルが静かに記録する。
『邂逅完了』
『関係性:観測対象→接近対象へ』
学園の喧騒はまだ始まっていない。
だが確実に、“何か”は始まっていた。