『転生したら白虎だった件 〜三上を守るため最強になった俺は、白氷竜に見初められ世界の均衡を壊す〜』 作:Hiro
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# ■第17章 魔王覚醒同期
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森の空気は、まだ“未同期”のままだった。
だがその違和感は、時間とともに別の方向へ歪み始めている。
リムル=テンペストは拠点の中心で立ち止まる。
「……嫌な予感しかしねぇな」
エイルが即座に応える。
『魔素流動に異常パターン検出』
「やっぱりな」
その隣でハクは静かに座している。
何もしていない。
ただ存在している。
だがそれだけで、周囲の“揺らぎ”は収束しつつあった。
リムルはその様子を見て、ため息をつく。
「お前さ……ほんとに何者だよ」
ハクは答えない。
エイルが淡々と告げる。
『対象ハク:環境安定化中枢として機能』
「中枢って言うな」
その時だった。
空気が一瞬だけ“沈む”。
いや、沈むというより――
“押し込まれる”。
リムルの表情が変わる。
「……来るな、これ」
エイルが即座に反応する。
『魔王級魔素反応:複数同時発生』
「複数!?」
森の奥。
空間が裂けるように、黒い“穴”が開く。
そこから漏れ出す気配。
暴力的な魔力。
歪んだ意志。
そして――明確な“格”。
リムルが歯を食いしばる。
「魔王クラス……いや、それ以上も混ざってるぞこれ」
ハクはゆっくりと立ち上がる。
その瞬間、エイルが静かに告げる。
『同期現象発動』
「同期?」
リムルが聞き返す。
だが答えはすぐに来た。
空間の“裂け目”が広がる。
そこから現れる影。
赤。
紫。
黒。
以前、学園で遭遇した“原初に近い気配”。
だが今回は違う。
より明確に“形を持っている”。
赤い影が笑う。
「また会ったね」
紫の影が楽しそうに言う。
「今度は逃げないの?」
黒の影が静かに言う。
「観測対象の変化を確認」
リムルが舌打ちする。
「おいおいおい……学園だけじゃなくこっちまで来るのかよ」
エイルが静かに告げる。
『存在同期化進行中』
「何の同期だよ!!」
その瞬間だった。
ハクの周囲の空間が“安定”する。
いや、正確には――
“世界側がハクに合わせ始める”。
赤の影が目を細める。
「ねぇ……これ、おかしくない?」
紫の影が笑みを消す。
「魔王領域が……吸収されてる?」
黒の影が静かに言う。
「違う。これは“上書き”」
リムルの背中に冷たい汗が流れる。
「上書きって……何をだよ」
エイルが静かに答える。
『魔王領域定義の再構築』
その瞬間。
大地がわずかに揺れる。
魔素の流れが変わる。
そして――
リムルの体の奥で、何かが“共鳴”する。
「……おい、これ」
「俺の魔王化と連動してねぇか?」
エイルが沈黙する。
そして一言。
『確認:同期現象』
リムルが顔をしかめる。
「マジかよ……」
ハクが静かに言う。
「お前は変化している」
リムルは苦笑する。
「お前のせいだろそれどう考えても」
だがその瞬間だった。
影たちが一歩引く。
赤が言う。
「なるほどね……あなた、“片割れ”なのね」
紫が楽しそうに笑う。
「こっち側と繋がってる」
黒が静かに言う。
「二つの進化が干渉している」
リムルが固まる。
「片割れ……?」
エイルが静かに補足する。
『魔王進化:並列発生』
その言葉に、リムルの表情が変わる。
「おい……待て」
「俺とこいつが“同時に進化”してるってことか?」
ハクは答える。
「そうかもしれない」
リムルは即座に叫ぶ。
「曖昧に肯定すんな!!」
その瞬間、影たちが笑う。
赤が言う。
「面白いじゃない」
紫が言う。
「どっちが本体なの?」
黒が言う。
「あるいは、両方が本体」
空気が重くなる。
だがその中心で、ハクは動かない。
ただ言う。
「同期とは何だ」
エイルが静かに答える。
『存在状態の一致化』
ハクは少しだけ沈黙する。
そして言う。
「なら問題ない」
リムルが叫ぶ。
「いや問題しかねぇよ!!」
その瞬間――
魔王覚醒の“波”が収束する。
リムルの中で何かが確定する。
ハクの存在が、それを引き上げている。
エイルが静かに告げる。
『魔王進化:確定進行』
『同期完了率:上昇中』
影たちは消え際に言う。
「また会いましょう」
そして消える。
静寂。
リムルは天を仰ぐ。
「……もうダメだこれ」
ハクは静かに言う。
「進化したのか」
リムルは笑うしかない。
「お前のせいでな」
だがその言葉は、半分冗談で半分真実だった。
――世界は今、“二つの魔王覚醒”を同時に進めている。
その中心に、白とスライムが並んで立っていた。