『転生したら白虎だった件 〜三上を守るため最強になった俺は、白氷竜に見初められ世界の均衡を壊す〜』 作:Hiro
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# ■第21章 白氷竜ヴェルザード
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魔王“白虎”の誕生から数日。
テンペストは一見、いつも通りの平穏を取り戻していた。
だがその“平穏”は、以前よりも遥かに静かすぎる。
リムル=テンペストは執務室で机に突っ伏す。
「……疲れた。ほんと疲れた」
エイルが淡々と返す。
『精神疲労指数:上昇中』
「お前が冷静に数値化すんな」
その時だった。
空間がわずかに歪む。
冷気。
ただの冷気ではない。
“世界の温度そのものが下がる”ような圧。
リムルの表情が一瞬で変わる。
「……来たな」
エイルが静かに告げる。
『高位竜種接近』
ハクはすでに立っていた。
何も言わず、ただ一点を見ている。
空間が裂けるように開く。
そこから現れるのは――
白。
圧倒的な“白”。
氷の結晶を纏った竜の姿。
白氷竜ヴェルザード。
その存在だけで、空間の魔素が凍りつく。
リムルは息を吐く。
「出たよ……魔王級よりヤバいやつ」
ヴェルザードは最初、リムルを見ていない。
ただ、ハクだけを見ている。
そして――静かに微笑む。
「……やっと、会えましたね」
リムルが固まる。
「は?」
エイルが即座に補足する。
『対象:ハクへの強烈な情動反応検知』
「情動って言うなそういうの!!」
ヴェルザードは一歩、前に出る。
その一歩で空気が凍る。
だがハクは動かない。
いつも通り。
ただ静かに。
ヴェルザードはその姿を見て、さらに微笑む。
「……やはり、美しい」
リムルが頭を抱える。
「なんで毎回こうなるんだよこの世界!!」
ヴェルザードはリムルを一瞬見る。
そして即座に興味を失う。
「あなたはどうでもいいです」
「ひでぇ!!」
エイルが淡々と告げる。
『対象優先順位:ハク>その他』
リムルは天を仰ぐ。
「俺の存在価値どこ行った……」
ヴェルザードはゆっくりとハクに近づく。
「白き魔王“白虎”」
その名を呼ぶ声は、どこか嬉しそうだった。
ハクは答える。
「ヴェルザード」
初めて、名前が自然に出る。
以前の「ヴェルザードさん」ではない。
距離が変わっている。
リムルがそれに気づく。
「おい……今の呼び方」
エイルが静かに記録する。
『呼称変化:敬称削除』
ヴェルザードは少しだけ目を細める。
「やっと、名前で呼んでくれましたね」
リムルが即座にツッコミを入れる。
「距離詰めるの早すぎだろ!!」
ヴェルザードは微笑みながら言う。
「当然です」
「私は、あなたを見つけるために存在していたのですから」
空気が一瞬止まる。
リムルが小声で言う。
「なんかスケール違う告白きたな……」
エイルが冷静に返す。
『竜種における執着個体認定』
「説明が怖いんだよ!!」
ヴェルザードは続ける。
「あなたは私と同じ“白”」
「いえ……それ以上」
ハクは静かに問う。
「それは何だ」
ヴェルザードは一瞬だけ笑う。
「運命です」
リムルが叫ぶ。
「いや急に恋愛詩人になるな!!」
だがその瞬間だった。
ヴェルザードの視線が鋭くなる。
「……誰ですか」
その視線の先はリムル。
リムルが固まる。
「え、俺?」
エイルが即答する。
『敵意検出』
「やめろやめろ!! 俺敵じゃねぇだろ!!」
ヴェルザードは静かに言う。
「彼の“隣”にいる理由は何ですか」
リムルは即答する。
「友達!!」
間。
ヴェルザードは少しだけ目を細める。
「なら許します」
「軽っ!!」
ハクは静かにヴェルザードを見る。
「敵ではない」
その一言で、空気が変わる。
ヴェルザードの表情が柔らかくなる。
「……それならいいです」
リムルは肩を落とす。
「俺、完全に評価対象外なんだな……」
エイルが淡々と告げる。
『現状:ハク基準世界形成中』
「やめろそのまとめ方!!」
ヴェルザードは一歩、さらに近づく。
そして静かに言う。
「私はあなたの“隣”に立ちます」
「それが当然です」
ハクは少しだけ沈黙し。
そして――
「好きにすればいい」
その言葉に、ヴェルザードはほんのわずかに目を見開く。
そして、微笑む。
「……はい」
リムルは遠い目になる。
「もうダメだこの世界」
エイルは静かに記録する。
『新規関係構築:成立』
『白の系譜:接続完了』
白と白が、静かに重なる。
その中心で、世界はまた一つ“方向”を決めていく。