『転生したら白虎だった件 〜三上を守るため最強になった俺は、白氷竜に見初められ世界の均衡を壊す〜』 作:Hiro
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# ■第23章 ギィ・クリムゾンとの邂逅
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テンペストの空気が“整いすぎている”ことに気づく者は少ない。
だが、その“整いすぎ”を異常と認識できる存在は限られている。
そして、その最上位に立つ男が動いた。
――赤き魔王。
ギィ・クリムゾン。
その来訪は、予兆ではなく“確定事項”のように訪れた。
空が赤く染まる。
ではない。
“赤という概念が空に混ざる”。
リムル=テンペストは即座に立ち上がる。
「……来たな」
エイルが静かに応える。
『魔王級存在:最大格』
ハクはすでに視線を上げていた。
森の外縁。
そこに、何もない空間から“歩いてくる男”がいる。
ギィ・クリムゾン。
赤。
ただそれだけで世界に圧がかかる。
リムルは舌打ちする。
「よりによって一番面倒なやつ来たな……」
その隣でヴェルザードは静かに目を細める。
「ギィ……」
リムルが驚く。
「知り合いかよ」
ヴェルザードは答えない。
ただ一言。
「同格です」
それだけで十分だった。
ギィはゆっくりとテンペストの中心へ歩いてくる。
だがその視線はリムルでもヴェルザードでもない。
ただ一人。
ハク。
ギィは口角を上げる。
「へぇ……これは面白い」
リムルが小声で言う。
「やっぱそっち見るよな……」
エイルが淡々と分析する。
『魔王同士の認識階層発生』
ギィは止まる。
そして言う。
「お前が“白虎”か」
ハクは答える。
「そう呼ばれている」
ギィは笑う。
「呼ばれている、か」
「いいねぇ」
リムルが割って入る。
「ちょっと待て、何の用だよ」
ギィはリムルを見る。
「邪魔する気はねぇよ」
即答。
リムルは眉をひそめる。
「信用できねぇんだけど」
ヴェルザードが一歩前に出る。
空気が一瞬凍る。
ギィはそれを見て少し笑う。
「おいおい、氷竜までいるのかよ」
「こりゃ豪華だな」
ヴェルザードは静かに言う。
「何をしに来たのです」
ギィは肩をすくめる。
「観光だよ」
リムルが即座に叫ぶ。
「絶対嘘だろそれ!!」
エイルが静かに補足する。
『虚偽率:高』
「だろうな!!」
だがギィは本題をずらさない。
ただハクを見ている。
「お前さ」
「何を見てる」
ハクの問いに、ギィは少しだけ目を細める。
「“ズレ”だよ」
リムルが反応する。
「ズレ?」
ギィは続ける。
「この世界は基本的に“収束”で動いてる」
「でもお前は違う」
「収束しないまま、成立してる」
エイルが沈黙する。
その反応をリムルは見逃さない。
「おいエイル……それ何か知ってるだろ」
エイルは一拍置いて答える。
『観測中』
ギィは笑う。
「ほらな」
「魔王ってのは、そういうのに敏感なんだよ」
ヴェルザードが静かに言う。
「あなたは彼に干渉する気ですか」
ギィは即答する。
「まさか」
「壊れるのはつまらん」
リムルが突っ込む。
「信用できねぇ理由が増えただけなんだが」
ギィはリムルを見て肩をすくめる。
「お前は相変わらずうるせぇな」
そしてまたハクを見る。
「で、白虎」
「お前はどっちだ」
沈黙。
ハクは少しだけ考える。
「どちらでもない」
ギィは笑う。
「いいねぇ、その曖昧さ」
ヴェルザードが静かに一歩前に出る。
「彼は“固定”されています」
ギィは少しだけ目を細める。
「固定ねぇ」
リムルが割り込む。
「おい、これ以上ややこしくするなよ」
エイルが静かに言う。
『魔王間観測:高密度化』
その瞬間だった。
ギィがふと笑みを消す。
「まぁいい」
「今日は挨拶だ」
リムルが即座に警戒する。
「何のだよ」
ギィはハクに背を向ける。
「お前がどこまで“壊れずにいられるか”見てる」
その言葉に空気が凍る。
ヴェルザードの氷ではなく。
もっと深い、“存在の温度”。
ハクは静かに言う。
「壊れる予定はない」
ギィは肩越しに笑う。
「そう願うよ」
そして――消える。
空間が元に戻る。
リムルは深く息を吐く。
「……最悪のタイプの挨拶だったな」
ヴェルザードは静かに言う。
「彼は危険です」
エイルが補足する。
『魔王ギィ:最大警戒対象』
ハクはただ空を見る。
「問題はない」
リムルは呆れる。
「お前の“問題ない”は信用できねぇんだよ」
だがその言葉は、少しだけ冗談に近かった。
テンペストは再び静かになる。
しかしその静けさはもう、“以前のもの”ではない。
――魔王たちは、すでにハクを中心に世界を見始めている。