『転生したら白虎だった件 〜三上を守るため最強になった俺は、白氷竜に見初められ世界の均衡を壊す〜』 作:Hiro
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# ■第24章 均衡の視線
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ギィ・クリムゾンの来訪は、短い嵐のように過ぎ去った。
だが残した“視線”だけは、今もテンペストに残っている。
リムル=テンペストは執務室で腕を組む。
「……見られてるな、これ」
エイルが静かに応える。
『高位観測視線:複数検知』
「複数?」
リムルは眉をひそめる。
その隣でハクは静かに座っている。
いつも通りだ。
だが“いつも通り”であること自体が、もはや異常になりつつある。
ヴェルザードは窓辺に立ち、外を見ている。
その横顔は静かだが、氷のように鋭い。
「ギィだけではありません」
リムルが振り向く。
「どういう意味だ?」
ヴェルザードは淡々と答える。
「“見ている存在”は一つではありません」
エイルが即座に補足する。
『魔王級観測点:増加傾向』
リムルが頭を抱える。
「もうやだこの世界」
その瞬間だった。
空間の“圧”が変わる。
外ではない。
内でもない。
“どこでもない場所”からの視線。
リムルが即座に立ち上がる。
「来るぞ!!」
エイルが反応する。
『観測層接続』
空気が止まる。
ハクはゆっくりと視線を上げる。
その瞬間――
世界が“重なる”。
白。
赤。
青。
黒。
そして、無色。
複数の視線が、一斉に一点へ集まる。
ハク。
リムルの背中に汗が滲む。
「おいおいおい……なんだこれ」
エイルが静かに告げる。
『多層観測状態』
「多層ってなんだよ……」
ヴェルザードが静かに言う。
「魔王たちが、“あなた”を見ています」
リムルは即座に反応する。
「俺じゃねぇのかよ!!」
エイルが無慈悲に告げる。
『対象:ハク』
「やっぱりかよ!!」
だがその中心で、ハクは動かない。
ただ“見返している”。
視線の先には、世界そのものがある。
ギィの赤。
ヴェルザードの白。
リムルの青。
そして名も知らぬ黒と無色。
それらが同時に、ハクを観測している。
その時だった。
視線のひとつが“声”を持つ。
赤の声。
「壊れるのか」
白の声。
「保たれるのか」
青の声。
「変わるのか」
黒の声。
「それとも……消えるのか」
リムルが息を呑む。
「なんだこれ……会議か?」
エイルが静かに分析する。
『魔王間観測会議に類似』
「そんな物騒な会議あるか!!」
ヴェルザードは静かに言う。
「彼らは“答え”を見ています」
リムルが問う。
「何の答えだよ」
ヴェルザードはハクを見る。
「世界の均衡です」
その言葉に、空気が重くなる。
ハクは静かに答える。
「私はここにいる」
それだけ。
だがその一言で、視線が揺れる。
赤が笑う。
「それでいい」
白が微笑む。
「それが答え」
青が静かに言う。
「ならば続行」
黒が消えるように言う。
「観測終了」
そして――無色が一言。
「まだ未定」
その瞬間、視線が消える。
空気が戻る。
リムルは膝に手をつく。
「……心臓に悪すぎるだろ今の」
エイルが静かに記録する。
『多魔王観測:一時終了』
ヴェルザードは静かに言う。
「均衡は保たれました」
リムルは顔を上げる。
「どこがだよ」
ハクは変わらない。
ただそこにいる。
だが、その“存在しているだけ”が、もはや世界の基準になりつつある。
リムルは苦笑する。
「お前ほんとさ……何なんだよ」
ハクは少しだけ考え、答える。
「私は私だ」
エイルが静かに補足する。
『定義確定』
リムルは天を仰ぐ。
「それで全部成立するのズルいだろ……」
だがその“ズルさ”こそが、この世界の新しい均衡だった。