『転生したら白虎だった件 〜三上を守るため最強になった俺は、白氷竜に見初められ世界の均衡を壊す〜』 作:Hiro
――――――――――
# ■第25章 原初との接触
――――――――――
均衡の視線が消えたあとも、テンペストの空気は微妙に“張ったまま”だった。
静かだが、完全には緩まない。
リムル=テンペストはその違和感を言葉にする。
「……これ、まだ続いてるよな?」
エイルが即座に応える。
『残留観測圧:継続中』
「やっぱりか」
ハクはいつも通り、森の中心に立っている。
その周囲だけが、なぜか過剰に“整っている”。
ヴェルザードはその隣で静かに言う。
「来ます」
リムルが即座に反応する。
「またかよ!! 休ませろ世界!!」
エイルが淡々と告げる。
『原初級反応:接続』
その瞬間だった。
空間が“裂ける”のではない。
“滲む”。
そこに現れるのは三つの影。
赤。
紫。
黒。
だが、今回は学園でもテンペストでもない。
もっと“深い層”から直接染み出している。
赤の影が笑う。
「また会ったね」
紫の影が楽しそうに揺れる。
「今度はちゃんと“こっち側”ね」
黒の影が静かに言う。
「観測は終わっていない」
リムルは即座に舌打ちする。
「おいおいおい……本体で来るなよこういうの!!」
エイルが冷静に分析する。
『顕現度:上昇』
ハクは動かない。
ただ見ている。
赤の影は一歩進む。
「ねぇ、白虎」
「お前さ」
「どこまで壊れない?」
リムルが割り込む。
「質問が物騒すぎるだろ!!」
紫の影が笑う。
「でも気になるでしょ?」
黒の影が静かに続ける。
「均衡は、揺らぐためにある」
ヴェルザードが一歩前に出る。
空間が凍る。
赤の影が少しだけ目を細める。
「氷竜ちゃん、相変わらず怖いねぇ」
ヴェルザードは冷たく言う。
「彼に触れるな」
リムルが小声で言う。
「完全に護衛ポジション確立してるな……」
エイルが淡々と返す。
『防衛優先対象:ハク』
「やめろその当然みたいな扱い」
赤の影が笑う。
「いいねぇ……守られてる白」
紫の影が言う。
「でもそれってさ」
「守られてるの? それとも縛られてるの?」
空気が一瞬止まる。
リムルの表情が変わる。
「おい……やめろその言い方」
ハクは静かに答える。
「どちらでもない」
黒の影がわずかに動く。
「興味深い」
赤の影が続ける。
「ねぇ、白虎」
「私たちと同じ側に来る?」
リムルが即座に叫ぶ。
「勧誘すんな!!」
ヴェルザードが冷たく言う。
「拒否します」
紫の影が笑う。
「早いねぇ」
ハクは一拍置いて言う。
「私はここにいる」
沈黙。
赤の影が目を細める。
「それが答えか」
黒の影が静かに言う。
「固定」
紫の影が少し楽しそうに笑う。
「面白くないけど……面白い」
その瞬間だった。
エイルが低く告げる。
『原初認識更新』
リムルが眉をひそめる。
「更新?」
エイルが続ける。
『対象ハク:観測不能領域に接続』
「は?」
赤の影が笑う。
「ほらね」
「もう“こっち側”じゃないんだよ」
ヴェルザードが静かに問う。
「では、彼はどこですか」
紫の影が答える。
「“境界”」
黒の影が続ける。
「均衡の外側」
リムルが頭を抱える。
「もうわかんねぇよその説明!!」
ハクは変わらない。
ただ静かに立っている。
だがその存在だけが、三つの原初と“同じ空間に存在しているのに、完全には重ならない”。
赤の影が最後に言う。
「また来るよ」
紫の影が笑う。
「今度はもっと壊れやすい形で」
黒の影が静かに言う。
「観測は続く」
そして、影は消える。
静寂。
リムルはその場にしゃがみ込む。
「……原初ってあんな軽く出入りするもんじゃねぇだろ」
エイルが淡々と記録する。
『原初接触:成立』
ヴェルザードは静かに言う。
「彼らはまだ“試している”だけです」
リムルが顔を上げる。
「何をだよ」
ヴェルザードはハクを見る。
「この世界が“彼を受け入れるか”です」
ハクは静かに言う。
「受け入れなくてもいい」
その言葉に、空気が少しだけ軽くなる。
リムルはため息をつく。
「お前ほんと、そういうとこだけブレねぇな」
エイルが静かに言う。
『定義再確認:安定』
世界はまだ揺れている。
だが、その中心には常に“白”がある。