『転生したら白虎だった件 〜三上を守るため最強になった俺は、白氷竜に見初められ世界の均衡を壊す〜』 作:Hiro
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# ■第28章 魔王会議
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テンペストが国家として成立して以降、避けて通れないものがある。
それは“魔王会議”という名の、世界の圧力装置だった。
リムル=テンペストは会議用の転移陣を前にして、深く息を吐く。
「……行きたくねぇ」
エイルが即座に応える。
『出席義務:魔王規約に基づき必須』
「規約って誰が決めたんだよそれ」
その背後でハクは静かに立っている。
ヴェルザードも当然のように隣にいる。
リムルは二人を見てさらにため息をつく。
「なんでお前ら当然みたいに付いてくるんだよ」
ヴェルザードは淡々と答える。
「必要だからです」
エイルが追撃する。
『戦力均衡維持要員』
「お前まで当然扱いするな!!」
転移の光が広がる。
空間が“折り畳まれる”ように変化し、視界が切り替わる。
そこは巨大な円卓の間。
魔王たちの会議場。
最初に視線を向けたのはギィ・クリムゾン。
赤い魔王は、すでに椅子に座っている。
「よぉ」
軽い。
だがその軽さの裏にある圧は以前より増している。
その隣に、ラミリスが退屈そうに欠伸をしている。
「また面倒なの始まるやつじゃんこれ」
そしてルミナス、ミリム、カレラ、テスタロッサの影も遠くに揺れる。
だが全員の視線は、同じ一点に向いていた。
ハク。
ギィが笑う。
「来たな、“観測対象”」
リムルが即座に突っ込む。
「その呼び方やめろって!!」
エイルが淡々と補足する。
『魔王間共有認識』
「最悪の共有すんな!!」
ヴェルザードは静かに席につく。
その動作一つで場の空気がわずかに冷える。
ルミナスが目を細める。
「氷竜までいるとはね」
ミリムが楽しそうに笑う。
「ねぇねぇ! あの白いの強いんでしょ!? 遊ぼうよ!!」
リムルが即座に叫ぶ。
「やめろミリム!! 壊れるから!!」
エイルが淡々と分析する。
『破壊確率:高』
「怖いこと言うな!!」
会議が始まる前から、すでに崩壊気味だった。
ギィが肘をつきながら言う。
「で、本題な」
「最近この世界、“バランス崩れてねぇか?”」
リムルが即答する。
「原因それ俺じゃねぇよな!?」
即座に視線がハクへ集まる。
リムルが叫ぶ。
「なんで見るんだよ!!」
エイルが静かに言う。
『統計上:対象一致』
「やめろその統計!!」
ヴェルザードが静かに口を開く。
「彼は“原因”ではありません」
ルミナスが興味深そうに笑う。
「じゃあ何?」
ヴェルザードは一拍置く。
「“基準”です」
沈黙。
ラミリスがぼそっと言う。
「出たよ、よくわかんないやつ」
ギィが少しだけ目を細める。
「基準、ねぇ」
ハクは静かに言う。
「私は何もしていない」
その一言に、場の空気が少し揺れる。
ミリムが首を傾げる。
「でもさー、周りめっちゃ変じゃん?」
リムルが即答する。
「それな!!」
エイルが補足する。
『環境依存変化』
「お前のせいみたいに言うな!!」
ギィが笑う。
「まぁいい」
「問題はそこじゃねぇ」
全員の視線がギィに戻る。
ギィはハクを見る。
「お前が“どこに落ちるか”だ」
リムルが眉をひそめる。
「落ちる?」
ギィは続ける。
「この世界には三つの層がある」
「魔王の層」
「人の層」
「そして外側」
エイルが静かに反応する。
『層構造:部分一致』
リムルが小声で言う。
「またややこしい話始まった……」
ギィはハクを指差す。
「お前はどこにも属してない」
ヴェルザードが即答する。
「属する必要はありません」
ルミナスが笑う。
「それ、すごい危険な発言よ?」
ギィが笑う。
「そう、それが問題だ」
沈黙。
ハクは静かに答える。
「私はここにいる」
ギィは少しだけ目を細める。
「そればっかだな」
リムルがため息をつく。
「それで成立してるのが一番怖いんだよ」
エイルが静かに言う。
『会議結論未定』
ラミリスが叫ぶ。
「ねぇ! 結論出ないやつじゃんこれ!!」
ミリムが笑う。
「でも面白いからいいじゃん!」
ルミナスが肩をすくめる。
「ほんと魔王って自由ね」
ヴェルザードは静かにハクを見る。
その視線だけは、他の誰とも違う。
ギィが立ち上がる。
「じゃあ今日はそれでいい」
リムルが叫ぶ。
「よくねぇよ!!」
ギィは笑う。
「また来るさ」
その言葉だけ残して、会議は終わる。
転移が始まる。
リムルは戻りながら呟く。
「もう慣れそうで嫌だなこの世界」
エイルが静かに応える。
『適応進行中』
「やめろその報告」
ハクは何も言わない。
ただその存在だけが、すべての魔王の“基準”として残り続ける。