We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

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We are Always Searching Happy Goal - 10

「いきなり威嚇してくるのは、俺はあんまり好きじゃないんだけどな」

 

「……だから、そうではないと言っている」

 

「威嚇じゃない? 女が一人で寝ている場所に、完全武装した状態で殺気を放ちながら現れておいて、威嚇じゃないだと? まったく。その鎧みたいに、見せかけの行動ばかり選びやがる」

 

時は真夜中を過ぎ、まだ夜明けには早い頃。

 

カリムがいつものように、アンティリーネが夢の世界へ落ちている間、見張りをしながら必ず終わらせなければならない作業を進めていた時だった。

 

思いもよらない招かれざる客が現れた。

 

──白金の竜王。

プラチナム・ドラゴンロード、ツァインドルクス=ヴァイシオン。

 

カリムもまた、アンティリーネとの旅の道中で、彼女が時折その存在について話すのを聞いてはいた。

 

ただ、ドラゴンという存在に大して興味を持っていなかった彼は、彼女の説明を見事に右から左へ受け流していた。

 

そのせいだろうか。

 

残念ながら、カリムは白金の竜王を一目で見分けることができず、互いに敵対しかねない状況にまで発展してしまったのである。

 

「……見せかけの行動、だと。私は誓って────」

 

「招かれざる客のくせに、口数が多すぎるぞ。お前、本体はどこにある。格好が陰気くさいんだよ」

 

「……」

 

異常現象が発生し、それを確認し、収拾するために来た。

 

ただ、それだけのはずだった。

 

しかし白金の竜王は、思いがけず容赦のない罵倒を浴びせられていた。

 

完全に予想を裏切られた彼は、何の反論もできないまま――いや、反論する時間さえ与えられないまま、カリムの毒舌を聞かされることになった。

 

「本体はどこだ?」

 

「……それは、答えにくい」

 

「そうか? それは残念だ。なら、こっちも応じてやるわけにはいかないな」

 

──この男。一体何者だ。

 

今回初めて出くわした相手だというのに、どうして私について見抜いた。

 

「……教えれば、応じるというのか」

 

すべてを見透かされた状況である。

 

これ以上隠したところで得るものはないと判断した白金の竜王は、交渉を試みた。

 

「評議国。アーグランド評議国にある」

 

少し間を置いた後、白金の竜王は現在自分がいる場所をカリムへ告げた。

 

それを聞いたカリムは、少し考え込む。

 

評議国。

 

現在向かっている帝国よりも、さらに遠い場所にある国。

 

地図で見た限りでは、王国のすぐ上に位置していたはずだ。

 

そこにいるというのか。

 

それなら、旅行の候補からその国は外すべきだな。

 

わずかな時間の後、カリムは口を開いた。

 

「遠いところからご苦労なことだな。で、用件は────」

 

「知っての通り、そのテントの中にいる少女は、本来であれば法国の外へ出てはならぬ身だ」

 

ここまでは、カリムも知っている内容だった。

 

初めてまともな会話が続いたことで、白金の竜王はさらに言葉を続ける。

 

「だが、どういうわけか、彼女は法国の外へ出た。私はそれを収拾しに来ただけだ。手を出すつもりなど毛頭ない」

 

「そうか」

 

少し落ち着いた、しかし堂々とした白金の竜王の言葉を聞いて、カリムはそこでようやく目の前の存在が何者なのかに気づいた。

 

一目で気づかなかったとは。

 

そして、自分が無駄な心配をし、少し過敏に反応しすぎたという事実にも気づく。

 

もちろん、カリムとしても仕方のないことだった。

 

まだこの世界について知っていく段階であり、知らないことも多い。

 

そして何より、勝手に救出し、勝手に同行者にしたとはいえ、現在の自分はアンティリーネを保護している立場なのだ。

 

そこへ見ず知らずの相手が突然現れ、凄まじい殺気を放ちながら彼女の身辺を確認しに来たと言われて、快く応じる者がいるだろうか。

 

いるはずがない。

 

「まあ、その話はアンティリーネから聞いている。だから、ある程度は知っている。だが、仕方ない状況だったんだよ」

 

「仕方ない状況?」

 

「俺もすべてを見ていたわけじゃない。俺が見たのは、そうだな。アンティリーネが、あの骸骨野郎の部下に引きずられていく姿だったからな」

 

その言葉は、白金の竜王にとって非常に衝撃的なものだった。

 

魔導国が、法国を侵略したというのか。

 

それとも、その逆か。

 

あるいは。

 

「……理解できぬな」

 

そのような事態を、白金の竜王はまったく想定していなかった。

 

自分に対して土下座をした魔導王の姿を思い出したからだ。

 

あの姿を思えば、魔導王の配下たちがそれほどの力を持っているとは想像しづらかった。

 

「まあ、信じるかどうかはお前の自由だ。ただ確かなのは、今、彼女は俺が保護しているということだ」

 

「保護している、だと? それならば、いっそ法国へ────」

 

「いや、それをすれば法国は滅亡する。そして法国全土が、アンデッドの土地になるだろうよ」

 

絶死絶命を、彼女を、法国へ戻すべきだ。

 

そう言おうとした白金の竜王だったが、カリムの口から飛び出したのは、あまりにも衝撃的な言葉だった。

 

彼女を戻せば法国が滅亡する?

 

そして、その土地が死の土地になるだと?

 

一体、何を見てそう言っているのか。

 

その根拠は何だ。

 

はったりだ。

 

間違いなく、この男の言葉ははったりだ。

 

ただ絶死絶命を独り占めしようとしているだけであり、この男自身こそ陰湿そのものではないのか。

 

──そう考えた。

 

しかし、なぜかこの男の目からは、真実だけが感じられた。

 

魔導国と、何らかの取引をしたのか。

 

だとすれば、この男の本当の意図は何だ。

 

「安心しろ。魔導国と交渉したのであって、いいように使われたわけじゃない」

 

「……交渉? 信じがたいな」

 

魔導国と交渉したというカリムの言葉に、白金の竜王はその真意を探るように答えた。

 

お前の言葉は信じられない、と。

 

「言っただろ。信じるかどうかはお前の自由だ。ただ、なんなら今ここで、その実力を見せてやってもいいんだぜ」

 

もちろん、カリムはその反応を当然のものとして予想していたかのように、今ここで実力を見せると言った。

 

その態度に、白金の竜王はひとまず一歩引いた。

 

ここへ来た目的は、あくまで異常現象の確認である。

 

目の前の男と一戦交えるために来たわけではなかった。

 

「いや、その必要はないだろう。どうやら、私が無用な誤解をしていたようだ」

 

目の前の男を、現状で完全に信用することは難しい。

 

疑わしい点もある。

 

しかし、少なくとも魔導国の者どもよりは有益な存在だと、白金の竜王は判断した。

 

なぜこのようにあちこちを引っかき回しているのかは、理解できなかったが。

 

「……ところで、お前の名を聞いていなかったな」

 

「ドラゴンに名乗るつもりは特にない。まあ、ユグドラシルから来たってことだけ知っておけ」

 

正体を問う質問に、カリムは少し不満げに、適当に答えた。

 

そしてその答えを聞いた白金の竜王は、当然のように驚くしかなかった。

 

「……ユグドラシル! まさか、貴様もぷれいやーなのか」

 

「なんだ。ユグドラシルを知ってるのか? まったく、どうなってるんだよ」

 

アンティリーネもそうだが、目の前のこのドラゴン頭も知っている。

 

そればかりか、自分がプレイヤーだと明かしたわけでもないのに、即座にそう呼称してきた。

 

今度はカリムの頭が痛くなってきた。

 

ユグドラシルを知っているだけでも理解しがたいというのに、プレイヤーという言葉まで知っているとは。

 

「お前も……ってわけじゃないよな。ユグドラシルのプレイヤーが。それにしても、どうしてそれを知ってるんだ?」

 

「時折、こちらへ転移してくる者たちがいた。それで知ることになったのだ」

 

「なるほど」

 

白金の竜王の言葉を聞いたカリムは、無駄な質問をしたというような表情を浮かべた。

 

よく考えてみれば、アンティリーネが言っていた六大神たちも、自分と同じプレイヤーだったのだ。

 

そうであるなら、数百年以上を生きるドラゴンたちが知らないはずもない。

 

「……それで、彼女をどうするつもりだ」

 

「どうするって。当然、彼女と一緒に暮らすつもりだが」

 

「……は?」

 

今回もまた、予想外の答えが返ってきた。

 

白金の竜王は呆れて言葉を失ってしまう。

 

彼の言葉と現在の状況を総合すれば、魔導国という未曾有の巨悪が迫っていることになる。

 

それなのに、この男はそんな状況で、自身の欲望を平然と、あまりにも堂々と語っている。

 

巨悪と堂々と交渉し、もしかすれば魔導国や自分よりも強いかもしれないユグドラシルのぷれいやー。

 

そんな存在が望むものが、たかがそんなことだとは。

 

あまりにも自由奔放だった。

 

まったく予測のつかない男だった。

 

「あんな美しい絶世の美女と一緒に暮らすのが、男のロマンってやつだろ?」

 

少し照れくさそうな素振りを見せつつも、カリムは豪快に笑った。

 

その姿を見て、白金の竜王はただ静かに彼の言葉を聞いた。

 

そして、もしかすると自分が過去に交わしたあの約束は、もうこれ以上守らなくてもいいのではないか。

 

そんな気がした。

 

「無駄足だったな。良い時間を邪魔してすまなかった」

 

まだ、彼を完全に信じたわけではない。

 

疑わしい部分もある。

 

しかし、一つ確かなことがあるとすれば。

 

この男が彼女のそばにいる限り、少なくとも魔導国の魔の手からは逃れられるだろう。

 

それだけは確かなようだった。

 

そう考えながら、白金の竜王は背を向け、再び天空へと舞い上がった。

 

カリムはその姿をただ静かに見送り、静寂に包まれた夜明け前の時間を一人で過ごした。




本日もお読みいただき、誠にありがとうございます。
明日もまたお越しいただけますと幸いです。
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