We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

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We are Always Searching Happy Goal - 11

「……招かれざる客は帰った。そろそろ出てきたらどうだ?」

 

「……お気づきでしたか」

 

白金の竜王が去った直後、カリムは近くに潜んでいた魔導国の者へ向かって声をかけた。

 

すでにすべてお見通しだと言わんばかりの、面倒くさそうな声だった。

 

「まったく。異世界の奴らはどいつもこいつも、なんでこう陰気な奴ばかりなんだよ」

 

「……私はアインズ様と共にこの世界へ転移してまいりましたが」

 

「ん? ああ、そうだったな。こほん。それで、ここには何の用だ?」

 

密かに一本取ってやったつもりでいたカリムは、デミウルゴスの言葉に少し慌てて咳払いをした。

 

「念のため、参ったまでです」

 

──常に監視される立場だった。

 

そして、ナザリックは常に監視する立場だった。

 

それは、アンティリーネを救い出す際に交わした約束の一つであり、ナザリックを出たその瞬間から常に意識していたことでもあった。

 

あまりにも強烈な一日だったから。

 

そして、もしかすると最大の願いを叶えた日だったからこそ、忘れたくても忘れられなかった。

 

「誰とも手を組まない。俺はちゃんと覚えてるぞ? さっき来た招かれざる客も含めてな」

 

「それならば幸いです」

 

「……それじゃあ、帰れ。そろそろ彼女が目を覚ます時間だからな。万が一にもお前を見たら、せっかくの綺麗な顔がまた台無しになっちまう」

 

用件は済んだ。

 

そう判断したカリムは、デミウルゴスへ脅迫まがいの言葉を投げかけた。

 

するとデミウルゴスは軽く頷き、隣に控えていたシャルティアと共にゲートを開き、ナザリックへと去っていく。

 

その際、デミウルゴスはもう一つだけ確認を入れた。

 

「ああ、最後に。以前にも申し上げました通り、これは私の個人的な欲求ではございますが……そちらの件も、どうぞよろしくお願いいたします。では、これにて」

 

「……食えない奴だ」

 

ゲートが徐々に閉じていく中、カリムは少し気分を害したように低く呟いた。

 

────────────

 

「よお、アンティリーネ。もう起きろ。行くぞ」

 

「……もう少し寝ていたいんだけど」

 

深い夜の闇と、静かな夜明けが過ぎ去った。

 

太陽がほとんど昇り切った、少し遅めの朝。

 

出発するため、カリムはアンティリーネを起こしに来た。

 

もちろん、アンティリーネは朝になった時点ですでに目を覚ましていた。

 

ただ、ベッドから起き上がるのが面倒で、そのまま横になっていただけである。

 

「なんだ。もう起きてたんじゃないか」

 

呼んでも眠そうな声で返事をするだけだったため、カリムはテントの中へ入ってきた。

 

その姿を見て、アンティリーネは布団で全身を隠したまま、ゆっくりと起き上がる。

 

「まったく。美人は寝坊助だとは言うが」

 

カリムはくすくすと笑いながら、彼女を眺めた。

 

当然、アンティリーネはそんな彼に少し不満を覚えていた。

 

「ふん。今起きようとしてたところよ」

 

こんな格好でいれば、さらにからかわれるのは目に見えている。

 

本当はもう少し横になっていたかったが、彼女は仕方なくベッドから立ち上がった。

 

彼女が起き上がると、カリムは密かに残念そうな顔をした。

 

もっと寝ていてもいいのに。

 

そう思いながら外へ出て、彼女が準備を終えるまで待つことにした。

 

「……準備できたわ」

 

少しして、アンティリーネは着替えを済ませて外へ出てきた。

 

その姿を見たカリムは、いつものように力強く言った。

 

「よし、行くか! バルス帝国だか何だかってところへ!」

 

「……バハルスよ」

 

──わざとやっているのか、それとも本当に名前を覚えられないのか。

 

今となっては、いちいち訂正するのも疲れた。

 

今回もアンティリーネは、気の抜けた声で適当に答えた。

 

どうせ毎回教えても、次の日になればまたああなるのだから。

 

「確かに、地図があると楽だな。ここさえ越えれば良さそうだ」

 

竜王国を出る前に地図を手に入れてからは、カリムはもう以前のような奇行を繰り広げることはなくなった。

 

その事実に、アンティリーネは内心とても喜んでいた。

 

一方で、カリムはひどく残念がっていた。

 

こんなに美しい絶世の美女と一緒に旅をしているという宣伝が、あまりできなくなったとか何とか。

 

それを聞いたアンティリーネは、今度ばかりは感情を込めて、カリムの脇腹を力いっぱい殴りつけた。

 

だが、カリムはさも当然であるかのように豪快に笑うだけだった。

 

「クハハッ! もうすっかり元気だな!」

 

「……ちっ」

 

アンティリーネは、彼を一発蹴り飛ばし、殴ってやりたいという願いを叶えた。

 

しかし、どういうわけか、そうすればするほど自分が損をしているような気分になった。

 

むしろ、相手を喜ばせているだけのような気さえする。

 

「変態みたい」

 

殴られても飄々とし、豪快に笑ってばかりいるカリムの姿に、アンティリーネは少し呆れたように言った。

 

──いくらなんでも、女にこんな風に殴られて喜ぶ男がいるなんて。

 

本当に、変態じゃない。

 

一体これのどこを見て「ご褒美」だと言うのか、理解できなかった。

 

「ん? 俺は誰にでもこうするわけじゃないぞ?」

 

変態という言葉を聞いたカリムは、相変わらずの笑顔でそう言った。

 

もちろん、気を悪くしたわけでも、プライドを傷つけられたわけでもない。

 

ただ、はっきりさせておくべきことがあっただけだ。

 

「アンティリーネ。お前だから、そうなるんだ」

 

「……ふん。また口ばっかり」

 

彼が突然真剣な表情でじっと見つめながら言ったものだから、アンティリーネは一瞬だけ胸が跳ねた。

 

だが、その後の内容が相変わらず実のないものだと気づくと、むっとした表情で適当に返した。

 

もし今の表情を見られれば、この前のようにまたからかわれるのは目に見えていたからだ。

 

「本当だってば」

 

「まあ、信じてはあげるわ」

 

それでも、彼女は内心では少し気分が良かった。

 

最初は彼の態度にも、称賛にもまったく慣れなかった。

 

だが、およそ一ヶ月ほど彼と共に旅をして、少しは慣れてきた気がする。

 

──だからといって、彼への疑いが完全になくなったわけではない。

 

疑わしい部分は、まだある。

 

それでも、自分に向けられる想いは常に一貫していた。

 

そして称賛もまた、本心からのものだと感じられた。

 

「……ところで、一体いつまでこんな旅を続けるつもり? もう腰を落ち着けてもいいんじゃない?」

 

魔導国の監獄から彼に救い出された後に始まった旅は、すでに一ヶ月を超えていた。

 

それなのに、彼はまだ旅を続けている。

 

終わる気配は、まるで見えなかった。

 

「ん? まだ竜王国しか行ってないじゃないか。見て回る場所はたくさんあるぜ! まあ、評議国には行かないけどな」

 

「……何よ、それ」

 

まだ行く場所はたくさんあるという彼の言葉に、アンティリーネは不満げな声を漏らした。

 

そして、評議国には行かないという言葉に少し疑問を抱く。

 

行くなら、全部行けばいいのに。

 

一体何なのか。

 

「いや、まあ、そこも行こうとは思ったんだけどな。うーん。あそこはちょっと、あれだからな。クハハ!」

 

適当に言葉を濁すカリムの姿に、アンティリーネは少し不思議に思った。

 

短い間に、評議国に関する情報を手に入れたのだろうか。

 

それとも、バハルス帝国の時のように、名前が生意気だ、といった呆れた理由なのだろうか。

 

今回も、その意図は分からなかった。

 

どうせまた、呆れるような理由なのだろう。

 

そう考えたアンティリーネは、今聞いた言葉を適当に聞き流した。

 

「……まあ、とりあえずバハルス帝国で少し考えてみるか」

 

「バハルス帝国で? なんで?」

 

少し意外な言葉だった。

 

口では気に食わないだの、名前が気に入らないだのと言っていた人間が、突然バハルス帝国で考えるなどと言い出したのだ。

 

聞き間違いかと思い、アンティリーネは確認するように問い返した。

 

「あくまで、聞いた情報と俺の勘だけどな。この世界に関する情報が一番集まりそうだからだ。そのためだよ」

 

「へえ」

 

久しぶりにカリムがまともなことを言った。

 

そう思ったアンティリーネは、自分でも気づかないうちに小さく微笑んでいた。

 

そして当然、カリムはそれを見逃さなかった。

 

「おっ、今。俺を見て笑っただろ! ハハ!」

 

カリムは天真爛漫な表情を浮かべ、心から嬉しそうな声で言った。

 

それを聞いた瞬間、アンティリーネの顔がみるみる赤く染まっていく。

 

彼女は慌てて素早く顔を逸らした。

 

「……ふん、違うわよ! 笑ってないわ!」

 

「違わないって! 俺ははっきり見たぞ! いやあ、ちらっと見えてる耳まで赤くなってるぜ!」

 

カリムがしつこくからかってくるため、アンティリーネはさらに慌てて、違うと言い張り続けた。

 

だが、すでに赤くなった顔は、彼の言葉が事実であることを何よりも雄弁に証明していた。

 

彼女は認めたくなかった。

 

けれど、自分でも気づかないうちに、少しずつ彼を認めつつある。

 

疑いもまた、少しずつ消え去りつつある。

 

そのことに気づいたアンティリーネは、顔を赤くしたまま俯いた。

 

その日、初めて。

 

カリムは彼女の頭を撫でた。

 

──誰かに、こうして撫でられるのはいつ以来だろうか。

 

久しぶりに懐かしい感覚を覚えながら、二人はしばらく無言で歩いた。

 

今日は、普段より一日がずっと長くなりそうな予感がした。

 

そうして、彼らはバハルス帝国に到着した。




本日もお読みいただき、誠にありがとうございます。
明日もまたお越しいただけますと幸いです。
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