We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

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We are Always Searching Happy Goal - 12

「確かにここは、竜王国とはだいぶ違うな!」

 

バハルス帝国に到着してから、二日が経った。

 

アンティリーネはバハルス帝国に到着する前、念のためカリムに、自慢して回るような真似はしないでほしいと固く念を押していた。

 

だが、それはまったくの無駄だった。

 

適当な宿屋に到着するや否や、すぐに彼の自慢が始まってしまい――アンティリーネはたちまち、その宿で最も有名な旅行者になってしまった。

 

「よく言うわ。私にはどこも同じに感じるけど」

 

アンティリーネはテーブルに適当に突っ伏し、不満げな声で彼に文句を言った。

 

竜王国にしろ、バハルス帝国にしろ、町中の人々に知られる羽目になったのは一体誰のせいなのか。

 

このまま名前や顔が知れ渡ると困る。

 

そんな心配を抱きながら、アンティリーネはカリムを軽く睨みつけた。

 

「ええい、そう言うアンティリーネ。お前だって、もうある程度は楽しんでるじゃないか! この前も自分の外見については認めてたしな!」

 

「そ、それは……!」

 

竜王国でのこと。

 

そして、今朝あったことまで。

 

通りすがりの小さな子供が、彼女を見て「綺麗なお姉ちゃんだ!」と大きな声で言った。

 

宿屋の中で適当に座っていれば、通りがかった若い冒険者たちが「この宿で、いや、この辺りで一番綺麗な人だ」と言いながら声をかけてきたこともあった。

 

──もちろん、本人が考えても、自分の外見がずば抜けていることくらいは分かっている。

 

しかし、だからといって道端で誰も彼もが気づくような状況は、さすがに度を越している。

 

法国の中で「絶死絶命」として生活していた頃とは、何もかもが違っていた。

 

「ど、どうしてその話が出るのよ! 認めることと! そ、それに、顔を知られることは違うじゃない!」

 

痛いところを突かれたアンティリーネは、慌てて反論した。

 

そして――その声に、宿屋の中にいた人々の視線が一斉に集まる。

 

もちろん、彼らは昨日に続いて今日も夫婦喧嘩をしているのだろう、程度にしか思わず、すぐにまた自分たちのことへ意識を戻した。

 

「クハハッ! まあ、そういうことにしておこう!」

 

ちらりと見える耳まで赤くなっているのを見たカリムは、彼女の反応があまりにも面白く、そして可愛らしくて、ついからかい続けた。

 

ああ、どうしてこんなにも可愛いのだろうか。

 

カリムには、アンティリーネのすべての反応がただただ可愛く見えていた。

 

「あー、もういいわ!」

 

顔が熱くなるのを感じたアンティリーネは、そのままテーブルに突っ伏して顔を隠した。

 

もちろん、カリムはそんな姿さえ、とても愛おしそうに見つめていた。

 

「うちのアンティリーネは、そんなに眠いのか?」

 

「違うわよ」

 

彼はにやにやしながら、突っ伏したアンティリーネに声をかける。

 

それを聞いたアンティリーネは、依然として突っ伏したまま適当に返事をした。

 

「ハハ! 疲れたなら部屋に入って休んでてくれ。俺はちょっと出かけてくる」

 

「え? どこへ?」

 

カリムが少し席を外すと言った瞬間、アンティリーネはひどく敏感に反応した。

 

顔を上げ、睨みつけるように彼を見て、鋭い声で問い返す。

 

突然、どこへ行くというのか。

 

こんなことは、今までただの一度もなかったのに。

 

「個人的な用事さ。心配するな。すぐ戻る」

 

自分を睨みつけ、今にも泣き出しそうな表情をしているアンティリーネを見ると、カリムは軽く彼女の頭を撫で、席から立ち上がった。

 

そして万が一の脅威に備え、彼女を部屋の中まで送っていく。

 

「本当よね?」

 

「もちろん」

 

アンティリーネは依然として不安そうな表情で、もう一度確認した。

 

そんな彼女を見て、カリムはにっこりと笑う。

 

お前を置いてどこかへ行ったりはしない。

 

だから心配するな。

 

そう言うように彼女をもう一度安心させてから、カリムは宿屋を出た。

 

────────────

 

「……いつ戻ってくるのかしら」

 

アンティリーネは宿のベッドの上で膝を抱え、カリムが戻ってくるのを待っていた。

 

彼がどこかへ行くと言った時、彼女は一瞬、強い恐怖に包まれた。

 

一ヶ月を少し超える時間だった。

 

それでも、彼が彼女を一人残してどこかへ行ったことは、ただの一度もなかった。

 

いつの間にか、彼に慣れてしまったのだろうか。

 

彼と共に過ごし、一緒にいる時間に慣れてしまったのだろうか。

 

今感じているこの感情は、寂しさなのか。

 

それとも、独りになったことへの恐怖なのか。

 

頭の中が混乱していて、よく分からなかった。

 

──確かに、最初はこんな感情などまったくなかった。

 

むしろ、どうすれば彼から逃れられるのか。

 

どうすれば、このあり得ないほど無鉄砲な旅を終わらせることができるのか。

 

どうすれば、法国へ帰れるのか。

 

そんなことばかり考えていた。

 

いつも突拍子もなく、怪しげな方法で進む道を決めるのも苛立たしかった。

 

名前をまともに教えてくれなかったことも苛立たしかった。

 

彼の些細な行動一つ一つが、気に入らなかったはずなのに。

 

「ちっ」

 

カリムと共に過ごした時間を思い出すと、アンティリーネは自分でも気づかないうちに顔が熱くなっていくのを感じた。

 

心臓が激しく波打つ。

 

彼女はゆっくりと、倒れ込むように横になった。

 

──認めたくなかった。

 

本当に嫌だった。

 

けれど、いつの間にか彼に慣れてしまったのは事実だった。

 

突拍子もない行動をすることも。

 

時々自分をからかってくることも。

 

一ヶ月前ほど、ひどく苛立つことはなくなっていた。

 

そして何より、彼女自身も少しずつ気兼ねなく彼に接するようになっている。

 

彼が妙なことを言うたびに尻を蹴ったり。

 

人に見られると恥ずかしいことをすれば、拳で静かに脇腹を叩いたり。

 

「こんな感情、初めてね」

 

もし、万が一。

 

自分がまともな家庭で育ち、平凡な人々のように過ごし、平凡に友人を作ることができていたなら。

 

どうだっただろうか。

 

漆黒聖典の「絶死絶命」ではなく、法国の平凡な市民である「アンティリーネ」だったなら。

 

どうだっただろうか。

 

過ぎ去った時間は戻らないと言う。

 

それでも、もし戻れるのなら。

 

「────!!?」

 

そうして、自分の過去への後悔と、今抱いている感情について考えていた時だった。

 

廊下から、怪しい足音が聞こえてきた。

 

人間のものではないような。

 

妙に異質で、軋むような音。

 

同時に、冷たさと恐怖がじわじわと這い上がってくる感覚がした。

 

まさか。

 

違うわよね。

 

お願いだから、そんなことは。

 

アンティリーネは目をぎゅっと閉じ、布団を頭の先まで引き上げた。

 

魔導国が、独りでいる自分を捕まえに来たのではないことを祈りながら。

 

「よお、アンティリーネ! 大人しく……なんだ、寝てるのか?」

 

「……ええ、寝てるわ」

 

「クハハ! 寝てないじゃないか!」

 

極度の恐怖のせいで、アンティリーネはまともに考えることができなくなっていた。

 

あの足音も、絶対に奴らだ。

 

そう思っていた。

 

だが幸いにも、足音の主はカリムだった。

 

カリムの声を聞いた瞬間、彼女の心は少しずつ解けていく。

 

少し泣き出しそうな声で、アンティリーネは答えた。

 

「ん? なんだ、悪夢でも見たのか?」

 

「……ううん、寝てない」

 

依然として沈んだ声で彼女が答えると、カリムはベッドに腰を下ろした。

 

そして、彼女が握りしめていた布団をそっと掴み、静かに下ろす。

 

少し赤くなった耳。

 

瞳からわずかにこぼれ、頬まで流れ落ちた涙。

 

それを見たカリムは少し迷った後、手で彼女の頬を伝う涙を拭った。

 

「ハハ、ごめんな。次からは一緒に動くからさ」

 

「……本当よね?」

 

カリムが謝ると同時に、これからはどんな秘密があっても一緒に動くと言った瞬間。

 

アンティリーネは素早く上体を起こし、彼の腕を掴んだ。

 

一緒に動くという言葉も朗報だった。

 

だが、それ以上に、「これからはどんな秘密も隠さない」という彼の言葉に大きく反応したのだ。

 

名前と出自以外に、彼が自分に教えてくれたものはほとんどなかった。

 

だからこそ、今の言葉は彼女にとって非常に興味をそそるものだった。

 

「もちろん」

 

アンティリーネがものすごく興味ありげな反応を見せると、カリムはにっこりと笑い、彼女の頭を撫でた。

 

「あ、そうだ。実はさっきどこへ行ってきたかと言うと────」

 

「うん?」

 

カリムは虚空へ手を伸ばし、自身のインベントリから一振りの剣を取り出した。

 

不吉でありながら、どこか神聖な気配を漂わせる剣。

 

赤黒い光を帯びた、少し奇怪な形をした剣だった。

 

「これは?」

 

その剣を見た瞬間、アンティリーネは自分でも気づかないうちに目を輝かせた。

 

長い時間が経ったわけではない。

 

それでも、一ヶ月を少し超える間、戦士として武器を持つことも、戦うこともなかった。

 

だからこそ、体が少しうずいていたのだ。

 

つまり、彼女が興味を持つのは当然のことだった。

 

「この辺りに、鍛冶屋があったんだよ。俺が元々持っていた武器に、それと……持っていた原石、つまり材料だな。それを合成してくれって頼んだのさ!」

 

「鍛冶屋? そんなところあったっけ?」

 

──もちろん、嘘だった。

 

皮肉なことに、旅を提案したのはカリムだった。

 

だが、村や都市の様子については、宿屋と飲食店を除けば適当にしか見ていなかった。

 

一方で、アンティリーネはその村の様子を、できるだけ几帳面に把握しようとしていた。

 

彼女にとっては、生まれて初めて世界の多彩な姿と直接向き合う経験だったからだ。

 

そのため、彼女は到着したこの町に鍛冶屋がないことくらいは把握していた。

 

「え? あ、ああ。すごく小さいのがあったんだよ。ハハ!」

 

適当に誤魔化す彼の言葉に、アンティリーネは一応疑いの目を向けた。

 

それでも、初めて彼がくれる贈り物だったため、ありがたい気持ちで受け取った。

 

「うん、ありがとう。ところで、これの名前は何?」

 

本来の持ち主はカリムだ。

 

だから当然、名前くらいはあるはずだった。

 

もし今回も適当に取り繕ったら、彼女は贈られた剣の柄で彼を叩こうと思っていた。

 

「死の舞踏! どうだ、名前に負けず劣らず素敵だろ?」

 

「死の……舞踏?」

 

「この剣を持つ者は、相手がどれほど強力な攻撃を放ってきても、そのダメージを軽減できる。そして、ダメージを与えてきた相手にこの剣で重傷以上の傷を負わせれば、一定量の生命力を吸い上げることができる」

 

本来の自分の武器であったカロンの導きよりは、多少劣る性能だった。

 

それでも、初めて贈られるものとしては、かなり破格だった。

 

──このような意味のある贈り物を受け取ったのは、いつ以来だろうか。

 

もはや、記憶にもなかった。

 

ハーフエルフとして、自分の血統を否定したことは確かにあった。

 

けれど、この瞬間だけは違った。

 

ハーフエルフであったからこそ。

 

一般的な人間よりも長い寿命と若さを保つことができたからこそ。

 

とてつもない幸運が伴ったとはいえ、結局、このような日が訪れたのだ。

 

アンティリーネは何も言わず、ただ贈られた剣と鞘を見つめた。

 

それは初めて、自身の血統を認める瞬間だった。




本日もお読みいただき、誠にありがとうございます。
明日もまたお越しいただけますと幸いです。
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