We are Always Searching Happy Goal 作:Redemptor
「ふぅ、やっと少し生き返った気分だぜ!」
ちょっとした騒動の翌日。
アンティリーネの忠告を無視したカリムのせいで、彼女は彼を介抱する羽目になり、その結果、二人は丸一日を無駄にすることになった。
──もちろん、心中穏やかではないアンティリーネとは違い、カリムはすっかり元気を取り戻していた。
「私は死にそうなんだけど」
にやにやと笑いかけてくる彼を見て、アンティリーネはもう一発殴ってやりたくなった。
だが、ぐっと我慢する。
殴ったところで、何かが変わるわけではない。
むしろ、自分の手足が痛くなるだけだった。
それに、どういうわけか彼女に殴られるたび、カリムは機嫌を損ねるどころか、にこにこと笑うばかりである。
だから、こちらが損をしているような気分になってしまうのだ。
「クハハ! ごめんな、アンティリーネ。でも、おかげで助かったよ」
「分かれば結構です」
彼女が小さく不満を漏らすと、カリムは少し照れくさそうに謝った。
確かに、隣で彼女が世話をしてくれなければ、今日もまだげほげほと言っていたはずだ。
「さあ、それじゃあ、今日も……!」
「駄目だって言ったでしょ!」
回復してすぐ、また出かけるつもりなのか。
そして次の日もまた、あんなことをさせるつもりなのか。
それは絶対にお断りだった。
アンティリーネは今回も必死に彼を止めた。
突然飛び出していくかもしれなかったため、ありったけの力を込めて彼の腕を引っ張る。
「お、おっ。どうしたんだよ、アンティリーネ」
「分からなくて聞いてるの? また浴びるように飲んで倒れるつもりでしょ! 駄目!」
「ええい。なら、お前も一緒に飲めばいいじゃないか?」
「は?」
今回もまた突拍子もない答えを返され、アンティリーネの表情はとてつもなく呆れたものになった。
今、それを言うのか。
──だが、少し考え直してみると、悪くない提案だった。
酒や男たちの匂いをわざわざ嗅ぎたくなくて、これまでは少し離れたテーブルから見ているだけだった。
だが、今回は我慢してすぐ隣に座り、直接管理してやれば、少しはブレーキをかけられるかもしれない。
そう思い至った彼女は、すぐに答えた。
「いいわ。今回はあんたの隣に座る」
「おお、本当か? いいね!」
カリムは、そんな彼女の本心などまったく知る由もなかった。
彼女が今度は自分の隣に座り、一緒に酒の席にいてくれる。
それだけで、とてつもないドーパミンが爆発しそうだった。
ついに、絶世の美女と一緒に酒が飲めるのだ。
もちろん、アンティリーネはすでに彼と同行していた。
だが、酒の席を共にしたことはまだ一度もなかった。
バハルス帝国に到着してから、これまで彼の相手をしてきたのは、無骨な戦士たちや、男にしては整った顔立ちだが粗野な男たち。
人相は悪くなさそうだが、どこかネジの抜けた老人。
そして、常に険しい表情で歩き回る奇妙な冒険者たちまで。
正直なところ、あまり愉快な集まりではなかった。
「まあ、あくまであんたの飲みすぎを止めるためだけどね」
「大丈夫、大丈夫。相席してくれるだけでも俺は嬉しいからさ」
ただし、アンティリーネは酒は飲まず、一緒に座っているだけにすると言った。
それを聞いたカリムは、それでもいいと言う。
彼女が一緒に飲まないのは少し残念だったが、それでも同じ席にいてくれること自体が嬉しかった。
「よし、それじゃあ! 今度こそ本当に行ってみようか!」
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「おお、あちらにお見えになったようですな」
「そちらの淑女は?」
「あ、こっちは俺の恋人だ。ハハ!」
「ほう」
──今度はすぐ隣に座り、どうにかしてブレーキをかける。
確かに、アンティリーネはそう心に決めていた。
だが、開始早々難関だった。
カリムの言葉によれば、ここに来てから気の合う数人と親しくなったのだという。
もちろん、その中に女性はおらず、全員が人間の男たちだった。
帝国内の数多くの人々と出会う中で、その中でも最も話が合い、気も合った者たち。
それが今、目の前にいるこの二人の男性だった。
女性の場合は、どれほど美しい相手を見ても満足できず、話しかける必要も感じなかったという。
話しかけづらいというのが彼の言い分だったが、彼女は当然それを信じなかった。
そうするしかなかった。
今も彼女を紹介する時に、本人の意思など無視して勝手に紹介したのだから。
「は?!」
俺の恋人だ。
その言葉に、その単語に、アンティリーネは呆れたような表情で彼を見つめた。
カリムはものすごくにこにこと笑っている。
前回のように背中を思いきり叩いてやろうか。
そんなことも考えたが、そうすれば前の町の時と同じように「本当に仲が良い」などと言われるだけだろう。
そう思い、すぐにやめた。
「黒と白の髪が、これほど自然に混ざり合っている方は初めて見ます」
「うむ。それにしても、どこかでお見かけしたような気もしますな」
きっと大騒ぎになるだろう。
話も合い、気も合うのだから、間違いなくカリムと同類の人間たちだろう。
アンティリーネはそう思っていたが、幸いにもそんなことは起きなかった。
彼女を見た二人は、落ち着いた様子で挨拶を交わした。
「あ。私もここには時々来るので」
実は少し離れたテーブルで毎回食事していた。
とは言えず、アンティリーネは適当に誤魔化した。
同時に、内心では毎日同じ服を着ていたことを少し後悔していた。
「ああ、紹介が遅れましたな。お初にお目にかかります。カーベインと申します」
「私はニンブル」
「あ、私は……」
彼らが先に丁寧に挨拶し、名乗ったため、彼女は一瞬だけ迷った。
自分の本名を名乗るべきか。
それとも、コードネームを言うべきか。
あるいは、偽名を名乗るべきか。
「あ、こっちはアンティリーネだ。ハハ!」
──そう迷っていたというのに、カリムが先に言ってしまった。
その姿に、アンティリーネは少し慌てた。
そんなにすぐ教えるの?
私の意思は?
そう思いながら彼の顔を見る。
カリムはにこにこと笑っていた。
その姿に、彼の脇腹をつねりそうになる。
カリムもそれに気づいたのか、脇腹を軽く防御しながらウィンクした。
一種の「心配するな」という合図なのだろう。
もちろん、それを見たアンティリーネはひどく呆れた。
「アンティリーネ、か」
彼女の名前を聞いたニンブルは、静かに呟いた。
それから、カーベインと目を合わせる。
まるで、重要な情報を得たかのように。
『この名前、聞いたことがありますか?』
『いえ、初めて聞きます』
『なるほど』
重要な情報であることに違いはなかった。
しかし、どこでも聞いたことのない名前だった。
カリムが前回の酒席で、それなりの大物を仲間にしている、いずれ連れてくる、と言っていた。
そのため、彼らの中には妙な警戒心と好奇心が湧いていたのだ。
だが、いざ外見を見て名前を聞いてみても、彼らにはまったく見当がつかなかった。
──そして、それを横目でちらりと見たアンティリーネは、むしろ今後はコードネームより本名を名乗っても問題なさそうだと大体察した。
思い返してみれば、自分はハーフエルフである。
自分が生まれ育ち、共に過ごした者たちは、もういない。
もちろん、法国の者たちは知っているだろう。
だが、現時点で法国とはかなり距離が離れている。
仮に噂が広まったとしても、その頃には自分たちはここにいないだろう。
「それでは、アンティリーネ殿?」
「アンティリーネさんで構いませんよ」
「おお、ふむ。そうですな、アンティリーネさん。どちらから来られたので?」
アンティリーネの隣に座っている男。
自分たちの目の前にいるカリム。
その情報を、もう少し集めなければならない。
そう考えながら、カーベインはさらに問いかけた。
「……竜王国です」
なんだか取り調べを受けているような気分になったアンティリーネは、少し間を置いた後、彼らの質問に対して決して嘘ではない答えを返した。
「竜王国、ですか」
その言葉を聞いたカーベインとニンブルは、少し考え込んだ。
答えがすぐに返ってこなかったため、少し疑いを覚えたのだ。
何より、カリムの場合は、アスガルドというまったく見当もつかない場所から来たとしか言わなかった。
それを考えると、今度はどこから来たのかではなく、どこで生まれたのかを聞こうとした。
だが、聞き続けるのは失礼だと判断し、情報収集はそこで打ち切った。
「ふむ。余計なことを聞いてしまったようですね」
──もちろん、アンティリーネは嘘をついていない。
彼女の言う通り、彼女とカリムは竜王国から帝国まで来たのだ。
だから、竜王国から来たという言葉自体は間違っていなかった。
もし彼らが最初から出身地や、生まれた都市を聞いていたなら、少し厄介なことになっていただろう。
「……」
少しぎこちなかった。
それでも、それなりにうまく進んでいた会話は、カーベインの最後の言葉を境に、突然途切れた。
ただ、気まずい沈黙だけが残る。
ニンブルとカーベインは互いの顔色を窺いながら、カリムの顔色まで確認する。
アンティリーネは無言でカリムを睨みつけながら、静かに水だけを飲んだ。
──そして、この気まずさは、従業員が料理を運んできたことでようやく終わりを迎えた。
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