We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

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We are Always Searching Happy Goa - 1

「……そうか。法国の奴らめ」

 

マーレが捕らえてきた奇妙なエルフ。

重要な情報源であるその女から得た報告を聞き、死の支配者――アインズ・ウール・ゴウンは、湧き上がる怒りを辛うじて抑え込みながら玉座より立ち上がった。

 

少しでも機嫌を損ねれば、その圧倒的な力が無差別に噴き出しかねない。

そう理解していたからこそ、その場に集まっていた守護者たちは緊張を滲ませながら、深く頭を垂れていた。

 

「よくも、そんな真似を」

 

もしアインズの顔が骸骨ではなく、普通の人間のものであったなら。

その顔は怒りで真っ赤に染まっていたことだろう。

 

それほどまでに、今聞かされた情報はアインズの逆鱗に触れるものだった。

 

「……あいつらのせいで、よくも、この手で、あのような真似を……」

 

「……申し訳ございません、アインズ様! 今すぐにでも、法国の奴らを!」

 

我が子のように思っている守護者たちとの命懸けの戦い。

 

それも、本気で互いを殺すつもりで行った戦いだ。

 

異世界へ転移する前であれば、彼らはデータで構成されたNPCに過ぎなかった。

だが、それはあくまで転移前までの話である。

 

転移後の彼らは、もはや単なるデータではない。

単なるNPCでもない。

去っていったギルドメンバーたち――かつての仲間たちが遺した子供たちなのだ。

 

この世に、自分の子供と本気で殺し合い、さらに「殺せ」と命じる状況を、喜んで受け入れる者がいるだろうか。

 

「よい」

 

今すぐにでも怒りを爆発させたい気分だった。

 

だが、自分を心配そうに見つめる忠臣たち。

その中でも、ひときわ痛ましげに、そして悲しげに見つめてくる、美しい銀髪と白玉よりも白い肌、赤い瞳を持つ真祖――シャルティア・ブラッドフォールンを見て、アインズは煮えくり返る怒りを抑え込んだ。

 

そのような醜態を子供たちに見せるべきではない。

そう考えたからだ。

 

「……デミウルゴス! コキュートス!」

 

「はっ!」

 

「まずはお前たちに任せる」

 

「御意!」

 

怒りを噛み殺しながら、戦において最も頼りになる配下たちへと命を下す。

 

そして自らは、法国を物理的に粉砕するだけではなく、奴らの信念も信仰も、余すところなく砕き潰すための策を練るつもりだった。

 

どれほど憎い相手であろうと、手順は踏まなければならない。

 

そう考えた、その時だった。

 

──ナザリックに、未曾有の異変が発生した。

 

突如として生じた、転移の揺らぎ。

 

「……何だ、これは」

 

「!? この揺らぎは一体!」

 

空間が揺らぎ、歪む。

 

不吉でありながらも神聖な力が、微かながらもその揺らぎの中で暴走していた。

 

アインズはもちろん、守護者たちもまた目を見開く。

転移前にも、そして転移後にも、このような現象を見たことは一度もなかったからだ。

 

「守護者全員、警戒せよ!」

 

守護者統括たるアルベドが、即座に指示を飛ばす。

 

その言葉に従い、守護者たちは揺らぎを中心に円を描くように展開した。

いかなる事態にも即応するためである。

 

「……成功か」

 

その揺らぎの中から、漆黒の鎧を身に纏った男が姿を現した。

 

軽装と呼ぶにはいささか重々しい。

かといって重装と呼ぶには、どこか軽やかさを感じさせる。

そんな奇妙な印象の鎧だった。

 

「貴様、ここがどこだか分かって足を踏み入れたのか」

 

突如現れた男を、守護者たちは依然として円形に取り囲んだまま警戒していた。

 

その中で、アルベドが代表するように強烈な敵意を放ちながら問いかける。

 

「ありゃ。どうやら、少しずれたみたいだな」

 

アルベドの言葉を聞いた男は、周囲を見回しながら、予想外だったと言わんばかりに肩をすくめた。

その態度には、どこか不遜なものがあった。

 

「ずれた、だと? そうか。貴様のその傲慢さが、死を早めることになるだろう」

 

突然、自分たちの前に侵入しただけではない。

 

自分たちを前にしてなお平然と――彼らから見れば傲慢としか映らないほど堂々と立っている。

その姿に、アルベドの怒りは頂点へと達していた。

 

しかも、一介の人間風情が。

自分たちの主君である魔導王、アインズ様の御前で、このような不敬な態度を取るなど。

 

「!」

 

一瞬だった。

 

本当に、刹那の出来事だった。

 

アルベド、シャルティア、コキュートス。

三人が同時に男へと一撃を放った。

 

このような異物は、一刻も早く排除しなければならない。

これ以上、アインズ様の御心を煩わせるわけにはいかない。

 

守護者たちの考えは一致していた。

 

死よりもなお苦しい苦痛を味わいながら死ね。

いや、死した後もアンデッドとして蘇らされ、永遠に苦しみ続けろ。

 

この程度の一撃であっても、少なくとも致命的な重傷は避けられない。

そうなるはずだった。

 

「……やれやれ。問答無用か?」

 

「なっ……!」

 

あり得ないことだった。

 

守護者三人の攻撃を、何事もなかったかのように受け流した。

 

それも、万全の体勢ではない。

姿勢が崩れた状態で、だ。

 

目の前で起きたことだというのに、信じられない。

アインズもまた驚愕しながら、その光景を見つめていた。

 

『守護者一人の攻撃であれば、まだ分かる。だが、三人が同時に放った攻撃を、あれほど容易く受け流しただと?』

 

一体、この男は何者なのか。

 

自分と同じく、ユグドラシルから転移してきたプレイヤーなのか。

だとすれば、なぜナザリックに入ってきた。

 

いや、それ以前に。

どうやってナザリックを知り、第九階層の位置を正確に把握してここへ来たのか。

 

かつて千五百を超える者たちがレイドを仕掛けてきた時でさえ、第九階層まで突破されたことはない。

それなのに、この男はどうやって第八階層を越え、第九階層へ。

しかも、これほど正確に自分たちの前へ現れたというのか。

 

疑問が疑問を呼び、思考が渦を巻く。

 

アインズは爆発寸前だった怒りを一旦押し留め、現在の状況を素早く整理し始めた。

 

「……もうよい。アルベド、シャルティア、コキュートス」

 

「……! し、しかし、アインズ様! この者は無断で、それも第九階層まで……!」

 

「十分だと言ったはずだ、アルベド」

 

「はっ……!」

 

偶然、守護者たちの攻撃を防いだだけかもしれない。

確かに、その可能性はある。

 

だが、その可能性は限りなく低い。

 

逆に。

この男が一人で守護者三人に匹敵する実力者だったとしたら。

あるいは、それ以上の力を持つ者だったとしたら。

 

そうなれば、非常に厄介だ。

 

加えて、この男はナザリック関係者を除けば、初めて第九階層に到達した真の実力者である。

 

もしかすると、たっち・みーさんをも上回る可能性すらある。

 

何より問題なのは、現在のナザリックがこの男について知っていることが、何一つないという事実だった。

 

――情報で、完全に遅れを取ったか。

 

そう思った瞬間、アインズはなぜだか、この男に一本取られたような感覚を覚えた。

 

そのせいで、再び怒りが込み上げてくる。

だが、ここで感情に任せて動けば、この子供たちを危険に晒すことになるかもしれない。

 

そう考えたアインズは、煮えたぎる怒りを再び抑え込み、言葉を続けた。

 

「なるほど。第八階層を越え、第九階層まで到達するとはな」

 

アインズは可能な限り慎重に、そして最大限の警戒を込めて男に問いかける。

 

「かなりの実力者のようだ。用件は何だ」

 

「用件? ふむ」

 

この中で最も立場が上に見える存在が声をかけてきたためか、男は少しだけ考え込むような仕草を見せた。

 

「そうだな、用件か。欲しいものはある」

 

「欲しいもの?」

 

相手が先に交渉の形を取ってきたことを受け、男は少し大げさにおどけるような態度で言葉を続けた。

 

「さっき、お前たちのところの……ああ、そうだ。あのダークエルフのガキだ。あのガキが、別のエルフをここへ連れてくるのを見た」

 

「……何だと」

 

「欲しいものは、まあ、山ほどある。だが、それを全部手に入れようとすると面倒なことになりそうだ。今は管理する自信もないしな。だから、そうだな。お前たちがここへ連れてきた、あのエルフ。俺が欲しいのは、そいつだ」

 

荒唐無稽な要求が来るだろうとは思っていた。

 

ここまで侵入してきた実力者である以上、物証こそないが、どこかのネジが何本も飛んでいるような相手だろうという予想もあった。

 

ある程度は覚悟していたのだ。

 

『……こいつ、イカれているにもほどがあるだろう!』

 

男の言葉を聞いた瞬間、アインズは怒りが漏れ出すような感覚を覚えた。

しかし、話を聞き終えた頃には、その怒りは困惑と、わずかな恐怖に近いものへと変わっていた。

 

──マーレが捕らえてきたエルフは、外見だけでは正確な年齢までは分からない。

 

だが、アウラやマーレより少し年上に見える程度だった。

体格にも、それほど大きな差はない。

強いて言えば、シャルティアより少しナイスバディという程度だろう。

 

そして、そのエルフはほぼすべての力を使い果たし、監獄へ投獄された状態にある。

 

比較的幼く見える女性が、意識を失って倒れている。

それを望むだと?

 

まさか、目的はそのエルフの身体なのか。

 

「……ロリコンか」

 

「何?」

 

アインズは思わず危険な答えに辿り着いてしまい、それを無意識に口にしていた。

 

もちろん、小さく呟いただけであったため、男の耳には正確には届かなかった。

 

「とにかく、俺が欲しいのは、お前たちが捕まえたそのエルフだけだ。他には何もいらない」

 

「……金銀財宝や、より多くの金貨、宝石などはどうだ。あるいは、屋敷などは?」

 

「いらない。そういうのは面倒だからな」

 

――こいつ、本当に相当危ない奴だな。

 

アインズは内心でため息をついた。

 

こんな危険な相手と長々会話を続けても、ろくなことにはならない。

ある意味では、ペロロンチーノさんに似ているのかもしれない。

 

「……いいだろう。連れて行くがよい」

 

「……! アインズ様!」

 

「よい。どうせ必要な情報はすべて手に入れた。先兵にしても、アンデッドにしても、無駄骨に終わるだけだろう」

 

守護者たちは一様に驚愕したが、アインズはすぐに言葉を続けた。

 

「交渉成立だな。よし、そこまで案内してくれ」

 

「うむ。コキュートス。そのエルフがいる場所まで案内してやれ」

 

「……承知。いたし。ました。アインズ様」

 

主君の決定に疑問を抱いているわけではない。

 

ただ、それほどの価値があるのか。

なぜ、これほど容易く決定を下したのか。

それほどまでに、この男は脅威なのか。

 

コキュートスを含む守護者たちは、そう考えずにはいられなかった。

 

そしてコキュートスは、正体不明の男を、そのエルフが投獄されている監獄へと案内した。

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