We are Always Searching Happy Goal 作:Redemptor
「うーん。かなり悩むな」
定住することにしたところまでは良かった。
少し気まぐれを起こし、勢いで言ってしまった部分もあったが、それでも悪くはなかった。
しかし、どこに定住すべきか。
適当な場所を見つけるのが難しかった。
まず、竜王国。
あそこは国が小さすぎるし、雰囲気もいまいちだ。
下手をすれば、国のために戦わなければならないような面倒事が起きるかもしれない。
次に、評議国。
ここはなんだか行きたくない。
行けばまた、白金の竜王だか何だかいうあいつに会いそうで、どうにも気が進まなかった。
バハルス帝国。
文明の水準も非常に高く、娯楽も多い。
しかし、ここも竜王国と同じく、皇室で働き続けることを強要されそうでいまいちだった。
「それじゃ、残る場所があんまりないんだが」
「……こだわりすぎじゃない?」
──やっぱりね。
変に期待した私が馬鹿だった。
もちろん、これまでの彼の姿を見てきたため、一日で決まるとは思っていなかった。
だが、このままだと短く見積もっても一ヶ月はかかりそうだった。
「バハルス帝国から早く出ようって言ったじゃない。でも、これじゃ来月もここにいそうなんだけど?」
彼女がそう突っ込んでも、カリムは悩み続けるばかりだった。
これでは駄目だと思い、アンティリーネは今回も急かすように言った。
確かに、できるだけ早く情報を得て、この国から出よう。
出た後は、得た情報を基に定住する場所へ向かおう。
彼はとても自信満々に、堂々とそう言っていたのだ。
「俺もそうしたいんだけどな。うーん。なんだかどこも二パーセントずつ足りないんだよな!」
「あ、そう」
分からないということを、とてつもなく堂々と言い放つ彼を見て、アンティリーネは面倒くさそうな口調で適当に答えた。
現在の彼の状態や態度を見る限り、この無駄な悩みが少なくとも数日は続くことは目に見えていたからだ。
「うーむ。仕方ないな。気は進まないが、また外に出て情報を集めてみるか!」
「え? 外に? 何を? あ、まさか」
最初は、馬にでも乗るのかと思った。
しかし、初日に「ちょっと行ってくる」と言って、翌朝にはテーブルに突っ伏していた姿を思い出した。
ようやく止めたのに、またあんなことをしに行くつもりなのか。
そう思ったアンティリーネは、慌てて彼の腕を掴んだ。
私はお母さんでもないのに、一体何なのよ、これ。
「ん? どうした、アンティリーネ」
「……また飲みに行くつもり?」
「……うーん、どうだろうな?」
気づかれないと思っていた。
適当に誤魔化すつもりだった。
しかし、完璧に見透かされていた。
これくらいの腕力なら、簡単に振り払って出て行くことはできる。
しかし、彼はそうすることができなかった。
彼女の表情が、まるで母親のようだったからだ。
下手をすれば、ずっと説教されることになるだろう。
そう思ったカリムは、冷や汗を流しながら必死に目を逸らした。
「行ってみなさいよ。本気で蹴るから」
「そ、それはちょっと……」
「じゃあ、行かないで!」
カリムがどうにかして古狸のように抜け出そうとすると、アンティリーネはきっぱりとその意志をへし折った。
「分かったよ……」
頑なで断固とした彼女の姿に、カリムは結局白旗を揚げた。
もちろん、それでもできるだけ可哀想に見せようと努力はした。
──だが、何の意味もなかった。
依然としてしょんぼりとした可哀想な表情のまま、彼はそのまま席に座り直した。
「もう。先に話を切り出したのはあんたじゃない。それなら、一生懸命やらなきゃ! 旅行だってそうでしょ!」
「申し訳ありません……」
カリムは、彼女の言葉に何の反論もできなかった。
じっくりと、ゆっくり考えてみると、彼女の言葉が正しいような気もした。
「ふん、いいわ! 私も一緒に行く!」
「どこへ?」
「どこって! 定住する場所を探そうって言ったでしょ! ついて行くわ!」
間違いなく、一人で行かせたらまたどこかで大暴走するだろう。
そう思ったアンティリーネは、それなら情報を得るために自分も一緒に行こうと判断した。
もちろん、すでに二人は一緒に行動している。
だが、それとは別に、少しでも気を抜けば間違いなくまた酒で酔い潰れ、計画が先送りになりそうだったからだ。
「文句ないわよね?」
「イエッサー」
彼女の宣言にもかかわらず、カリムは依然としてしょんぼりとした表情を浮かべていた。
それを見たアンティリーネは、念を押すように確認する。
カリムとしては、彼女がそばにいる以上、酒を飲めないのは残念だった。
それでも、それだけ彼女が自分のそばにいてくれるという事実は、密かに嬉しかった。
「さあ、それじゃあ! 今度こそ本当に行ってみるか!」
────────────
「全然進展がないみたいなんだけど」
意気揚々と叫びながら出てきたにもかかわらず、二人は何の収穫も得られなかった。
外に出てやったことといえば、昼食と夕食を食べたこと。
それ以外に、特に何もしていなかった。
大した収穫がなく、アンティリーネは残念そうに溜息をつくしかなかった。
「それでも期待してたんだけどな。全然足りないな。俺よりよく知ってると思ったんだが」
「……ごめんね」
カリムが密かにからかうと、アンティリーネはわざと顔を逸らした。
今回は彼の言葉が正しかったからだ。
それでも彼女はこの世界の住人であり、一般的な人間より長く生きるハーフエルフである。
にもかかわらず、法国を除く他国に関する全般的な知識は、この世界に来て間もない彼より少しマシな程度だった。
──もちろん、カリムは彼女を密かにからかっただけで、責めたり文句を言ったりするつもりはなかった。
むしろ、一緒にいればいるほど、少し抜けた可愛らしさのような魅力を見せてくれるため、内心では毎日快哉を叫んでいた。
こんなに高慢でありながら美しく、時には恥ずかしがる強い女性の、こんな魅力を毎日見ることができるなんて。
やはり俺は、とてつもない幸運の持ち主だ。
そして、この考えは当然ながら内心に留めておいた。
表に出していたら、前のように尻を蹴り飛ばされていたはずだからだ。
「まあ、別に責めてるわけじゃないさ。それはそうと、こっち。リ・エスティーゼ王国。情報を知るのが少しでも遅れてたら、そのまま魔導国の口の中に飛び込むところだったぜ」
彼女の反応を軽く笑いながら窺ったカリムは、先ほど彼女と話した内容を整理し始めた。
リ・エスティーゼ王国。
バハルス帝国とアーグランド評議国が近くにあるため、少し避けたい場所ではあった。
それでも、本人の勘では全体的に悪くないと判断していた。
滅んでしまったという話を聞くまでは。
「あ、聞いてはいたんだけど、ごめん。急に思い出せなくて。それから、次は──」
自分なりに上手く選んだと誇らしげな顔をしていたカリムだったが、通りすがりの人間がその事実を教えてくれた時は、かなり戸惑った顔をしていた。
それを見たアンティリーネは、最大限知らんぷりをした。
「ローブル聖王国、か。うむ。悪くはない。しかし」
名前からある程度分かるように、宗教的な雰囲気が強く漂う場所だ。
何かを心から信じることも、信仰を押しつけられることも、彼はひどく嫌っていた。
そのため、ここも自然に除外。
これを聞いたアンティリーネは内心で、やはり法国は駄目だろうな、と思ったのだが。
「エルフ、ドワーフ。ドワーフの方はなんだか俺と気が合いそうだが、エルフは難しそうだな。あ、そうでもないか?」
人間ではなく、他種族の国に行ってみるのも悪くない。
特に、ドワーフ。
彼らとは妙に気が合う部分がありそうだった。
だが、アンティリーネがエルフである以上、残念ながらその考えは捨てた。
彼の常識では、ドワーフとエルフは仲が悪いものと認識されていたからだ。
そこで、ふとアンティリーネがハーフエルフだったことを思い出し、彼女を見つめた。
「ん? 何?」
真剣に会話していたはずなのに、急ににやにやしながら自分を見てくる。
そのため、アンティリーネは不思議そうに見つめ返した。
「いや、俺の勘だと、この世界で、アンティリーネ。お前が一番強いエルフなんじゃないかと思ってさ。行って全部掃討して女王になってみるのはどうだ? いざとなれば、俺がお前の恋人として王に──」
「却下!」
期待を抱く間もなく、その期待感を完全に粉砕する言葉が返ってきた。
アンティリーネは素早く彼の考えを鎮圧した。
「冗談を言ってみただけさ」
彼女が単刀直入に断ると、カリムは豪快に笑いながらそう言った。
そして、残りの場所を見ていく。
「それじゃ、残りは……カルサナス都市国家連合? なんだ、こんな場所もあったのか? ん? バハルス帝国の北東にあるな?」
すぐに除外してしまった。
その姿に、アンティリーネは呆れたように深く溜息をついた。
簡単に決められないのは、自分のせいでもあった。
だが、あれこれ言い訳をしてはすべて却下していく彼の姿に、密かにめまいがしそうだった。
心の中では、どうか早く決めてほしいと神に祈る。
もちろん、こう祈ってみたところで、結局それを聞く者はカリム以外にいなかったのだが。
本日もお読みいただき、誠にありがとうございます。
明日もまたお越しいただけますと幸いです。