We are Always Searching Happy Goal 作:Redemptor
「うっ……なんだか寝すぎちゃったみたい」
「仕方ないさ」
互いの想いを確かめ合った夜を過ごし、午後遅くになって、ようやくアンティリーネは目を覚ました。
初めての経験だったため、どこかぎこちなさを残したまま、目をこすりながら起き上がる。
その姿を見て、すでに起きて隣に座っていたカリムは、彼女の顔と髪を優しく撫でながら言った。
その感触に、アンティリーネは瞬間的に昨夜の出来事を思い出す。
そして、それと同時に、過去に自分が放った言葉まで重なり、耳まで赤くなった。
――私を負かすことができる男は、どこかにいないのか?
たとえ不細工でも。
性格がねじ曲がっていても。
人間でなくても構わない。
私を負かすことができる男なら。
そんな男との間に子供が生まれたら、果たしてどんな存在になるのだろうか。
もし、この言葉をカリムが聞いたら、どんな反応を示すだろうか。
今思い返しても、あまりにも傲慢な発言だった。
あの時は、自分を負かす存在などこの世にいないと思っていた。
だからこそ、当然、誰かとの子供を望むなどという考えは持っていなかった。
そんな考えから出た言葉だった。
しかし、今は違う。
自分より強い存在は、意外にも多くいた。
魔導王。
あのダークエルフを含む、その配下たち。
そして、隣に座っているこの男まで。
「なんだ? どうしてそんなに赤くなってるんだ」
「ち、違うわ。そんなんじゃないわよ」
「ん?」
子供が生まれたら。
アンティリーネは、過去に自分が発した言葉の中でも、その部分が頭から離れなかった。
昨夜、二人は間違いなく、そういう関係になったのだから。
まさか、たった一度で子供ができたりするのだろうか。
私はハーフエルフで、カリムは外見上は平凡な人間に見える。
この場合でも、そういうことは成立するのだろうか。
そんな考えが浮かぶと、恥ずかしさが押し寄せてくるしかなかった。
これを見たら、またからかうに決まっている。
しかし、カリムに彼女をからかうつもりはなかった。
アンティリーネが目を覚ますなり、突然故障したような様子を見せたため、むしろ少し心配そうな表情を浮かべていた。
まさか、昨夜どこか痛めたのだろうか。
そんなことがあってはならない。
やはり、いくら高級なテントとはいえ、普通の宿屋には劣るのだろうか。
「どこか痛いわけじゃないよな?」
「そんなんじゃないわ」
カリムは内心で心配しながら声をかけた。
アンティリーネは相変わらず恥ずかしそうに虚空を見つめたまま、適当に答える。
その様子に、カリムは彼女の額へ手を当てた。
──温もりは感じられた。
だが、病人のそれとは違う。
「うむ。確かにそうみたいだな」
体に異常がないことを確認したカリムは、安堵の息をついた。
「まあ、異常がないなら、そろそろ出発しよう」
もう少し行けば目的地だ。
ぐずぐずしていたい気持ちはあった。
だが、目的地を目前にして、いつまでもこのままでいるのは滑稽なことだ。
そろそろ出発しようという彼の言葉に、アンティリーネは無言で静かに頷き、そそくさと準備を始めた。
────────────
「さあ、それじゃあ行ってみるか!」
準備には少し手間取った。
それでも、このペースなら夕方頃には到着するだろう。
「少しワクワクするわね」
目的地まで、もう残りわずか。
そう思うと、アンティリーネは手合わせや戦闘の時とはまったく違う胸の高鳴りを感じた。
これから特別なことが起きなければ。
互いの仲がこじれたり、価値観が大きく変わったりしない限り。
二人はこれから、一生に近い時間を共に過ごすことになるのだろう。
一緒に暮らすようになれば、間違いなく大変なこともある。
楽しいこともあるはずだ。
法国にいた時より、すべてが順調に進むとは限らない。
それでも、彼と共になら、どんな経験でも乗り越えていけるだろう。
「俺も同じだよ」
浮き立つ気持ちのまま、先に腕を組み、肩へ寄りかかってくる彼女を見ながら、カリムもまた胸を躍らせていた。
荒廃した現実の世界で、目的も心も失っていた。
唯一の安息の地と呼べるものなどなかった。
他のプレイヤーとは違い、ユグドラシルをプレイしていたのも、ただ自分に割り当てられた時間を使い潰すため。
自責の念に駆られながら、自分のすべてを殺すための手段に過ぎなかった。
その証拠に、サービス終了と同時に、すべてを爆破させるつもりだった。
しかし、どういうわけか爆発は起きず、見たこともない世界へと転移してしまった。
最初は混乱した。
だが、ユグドラシル時代に抱いていた考えは変わらなかった。
最も重要なのは、邪魔になるすべての存在を粉砕し、その心をへし折ること。
圧倒的な力を追求すること。
この世界でも、その二つを最優先にして進んでいくつもりだった。
そんな中、本当に偶然、どこかへ連れて行かれる一人の少女を目にした。
おぼろげながら、それが自分にとっての運命なのだと思った。
一目惚れだったのだろうか。
だとすれば、果たしてどの部分に惹かれたのだろうか。
そしてその感情は、果たして正しいものだったのだろうか。
今考えても分からない。
いや、分かるはずがなかった。
ただ、とても久しぶりに人生の目標というものを持つことができた。
それ以上の説明が必要だっただろうか。
無鉄砲に飛び込んだ。
計画などなかった。
ただ後を追い、自身の「目」で、ほぼ完璧に近いほど状況を把握した。
本当に即興だった。
目標も、その場で即座に決めてしまった。
だが、そのおかげで、忘れていたものを取り戻すことができた。
気づくことができた。
「お、見えてきたぞ」
──そうして、どれくらいの時間が流れただろうか。
いつの間にか周囲は少しずつ暗くなり始め、遠くに見える都市が少しずつ姿を現し始めた。
少しずつ見えてくる都市を眺めながら、二人は無言で互いの目を見つめ合う。
そして、互いに約束でもしたかのように、軽く微笑んだ。
約四ヶ月間、共に過ごした。
そして結局、二人は恋人同士へと発展した。
法的に認められたわけではない。
どこかの団体に認められたわけでもない。
だが、それはまったく関係なかった。
これほど愛おしい仲間が、他にどこにいるだろうか。
背中を預けられるほど頼もしく、強い伴侶がどこにいるだろうか。
これ以上、二人の関係を表すのにふさわしい言葉は、おそらく存在しないだろう。
そしてついに、彼らは紆余曲折を経て、最終目的地であるエ・ランテルへ到達した。
カリムの意地と衝動から始まったこの旅は、ついに終わりを迎えたのだった。
────────────
最初の一口で、腹が満ちるわけではない。
本来、彼が住んでいた国に古くから存在していた言葉だった。
聞いた言葉の中でも、最も共感している言葉の一つである。
しかし、今この瞬間には、最も必要のない言葉でもあった。
「来たところまでは、良かったんだけどな」
エ・ランテルに到着後、二人はひとまず一番高そうな宿へ入った。
時間も遅かったため、まずは宿屋で過ごしながら、ゆっくり調べるつもりだった。
そうして一日、二日が過ぎた。
三日が過ぎ、そして四日が過ぎた。
しかし、この街について何の知識もなかった二人は、どうすればいいのかまったく見当がつかなかった。
戦場で死闘を繰り広げること。
何もせずに飯だけ食い潰すこと。
そういったことなら得意だった。
だが、家を探し、家庭を築き、未来を設計することに関しては、二人とも完全に駄目だった。
「アンティリーネ、何かいい方法はないか?」
「……それをどうして私に聞くのよ?」
「いや、俺よりはまだよく知ってるんじゃないかと思って」
「……どこを見てそう言ってるの?」
「うーん、地元民だから?」
数日間、まったく進展がなかったため、カリムはアンティリーネに尋ねた。
そして彼女は、その言葉にひどく呆れた表情で彼を見つめる。
地元民だから?
それが理由なの?
「それが言う言葉なの?」
もちろん、到着してから見物よりも先に家を探そうと言ったのはアンティリーネだった。
ただ、それはあくまで、カリムが先にやるべきことを後回しにして、まず酒を飲みに行こうとしたため、突っ込みを入れるためだった。
最初に旅を始めた時に言った、あの言葉を再び彼にぶつけながら。
──その言葉を聞いたカリムは、どこか懐かしげな表情で当時を思い出すだけだったが。
「まあ、時間はたっぷりあるじゃないか。そんなに急がないでおこうぜ」
懐かしげな表情を浮かべるカリムを、アンティリーネが射抜くように睨みつける。
するとカリムは、屈託なく笑いながらそう言った。
その姿に、アンティリーネは呆れたように小さく溜息をつく。
そう。
元々こういう人だったわね。
恋人同士になり、互いに想い合う仲になったとはいえ、それでも多少物足りなかった。
後で家を見つけたら、もう少し小言を言ってやらなければ。
そう、彼女は心に決めた。
──もちろん、彼の言う通り、時間はたっぷりあった。
そして何より、彼が持っている金も多かったため、急ぐ理由は一つもなかった。
「そうね。でも、この前も見たけど、あんた。一体どれくらいお金を持ってるの?」
そうしてふと、彼の無限とも思える財力に疑問を抱いた。
最初は、それがこの世界で使われる金だということすら知らない様子に眩暈がしただけだった。
だが、時間が経てば経つほど、際限なく出てくる金貨に疑問を抱くしかなかった。
「え? さあな。ある時からあまりにも多くなって、数えるのも大変になったんだ。だから詳しいことはよく分からない」
「……それほどなの?」
途中で数えるのを諦めた。
だから詳しいことは分からない。
その言葉に、アンティリーネは少し驚いた表情を浮かべた。
ある程度見当はついていた。
だが、まさか本当にそれほどだったとは。
確かに、これまで旅をしながら収入は一つもなかった。
それなのに、それなりに豪華に過ごしていたことを考えれば納得はいく。
これほどの財力なら、実は何もせずに一生放浪生活をしても平気なのではないか。
──そんな考えが浮かんだ瞬間、アンティリーネは必死に頭を振った。
そんなことではいけない。
この男は。
カリムは。
横で誰かが暴走しないように、きちんとブレーキをかけてやらなければならない。
そして、この世界でそんなことができるのは、私しかいないのだから。
いつの間にか彼に感化されている自分に少し照れくささを覚えながらも、アンティリーネは先に彼の手を握り、外へと出た。
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明日もまたお越しいただけますと幸いです。