We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

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We are Always Searching Happy Goal - 25

「じゃあ、登録名は……カリムとアンティリーネで」

 

翌朝。

 

同じベッドで同時に目を覚ましたカリムとアンティリーネは、簡単に身支度を済ませ、そのまま冒険者登録へと向かった。

 

カリムには、『リアル』と呼ばれる世界で使っていた本名があった。だが、ユグドラシル時代から今に至るまで使い続けてきた『カリム』という名のほうが馴染んでいたため、当然のようにそちらの名で登録することにした。

 

一方、アンティリーネは少し悩んだ。

 

自分の名を知っている者は、スレイン法国の中でもごく少数に限られている。その中でも、自分という存在の詳細まで知る者はさらに少ない。

 

漆黒聖典の構成員でさえ、自分について詳しく知る者は決して多くなかった。

 

コードネームにするか、偽名にするか。

 

少し迷った末、結局は本名であるアンティリーネを選んだ。

 

冒険者として登録すれば、いずれ法国に知られることになるかもしれない。だが、現在の法国は、目の前に存在する魔導国という巨悪への対応で手一杯のはずだ。

 

仮に知られたとしても、それなりに時間はかかるだろう。

 

「それじゃあ次は、チーム名を決めないとな」

 

「チーム名?」

 

「ああ、チーム名だ」

 

登録だけでなく、チーム名まで決めるのか。

 

アンティリーネには少し理解できなかった。

 

私たち以外にも、誰かを入れるつもりなのかしら。

 

「なんか格好いいじゃないか。それに、俺一人で活動するわけじゃなく、お前と一緒に活動するんだからな。もちろん、他の連中を入れるつもりはないぞ」

 

「そう?」

 

少し突拍子もない理由だった。

 

だが、彼の言葉を聞いてみると、確かにチーム名はあってもよさそうだった。

 

決別でもしない限り、これからずっと二人で活動していくのだから。

 

そして何より、チーム名を使えば、本名をある程度隠すこともできる。

 

「……それなら、『スターフォール』はどう? あなたがユグドラシルから来たことにも合っているし、色々とちょうどいい気がするわ」

 

「スターフォール? いいな、それ!」

 

アンティリーネは、普段からカリムの命名センスがあまり良くないことを知っていた。そのため、少し勝手ではあったが、チーム名は彼女が決めることになった。

 

カリム自身もまた、自分の命名センスが良くないことは自覚していた。

 

実際、自作の装備の名前は、遥か昔に実在したゲームのアイテム名からそのまま取ってきたものばかりだった。

 

そういう事情もあり、彼は彼女が少し勝手にチーム名を決めたことに文句を言うどころか、そのセンスに全幅の信頼を寄せた。

 

「それでは、チーム名はスターフォール。所属メンバーはカリム様、そしてアンティリーネ様……」

 

「あ、もしかして、チームメンバーの名前って必ず公表されるんですか? その、非公開とか、そういう形にはできませんか?」

 

登録が終わる直前、カリムはやや繊細な要望を、受付嬢にそれとなく伝えた。

 

それを聞いた受付嬢は、少し困ったような表情を浮かべる。

 

最初からそんな要望を出してきた者は、カリムが初めてだったからだ。

 

普通なら、有名になることを望み、チーム名はもちろん、自分の名前まで広く知られることを願うものだ。

 

だが、この男はその逆を望んでいた。

 

「あ、はは……それは、その」

 

「できるんですか? それとも、できないんですか?」

 

「……何してるのよ」

 

カリムが受付嬢を困らせていると、アンティリーネは彼の脇腹を軽くつねって突っ込みを入れた。

 

人目もある。

 

いつまでも見ているには、こちらの顔が熱くなってしまいそうだった。

 

もちろん、ただ恥ずかしかっただけではない。

 

自分のことを考え、できるだけ自分の名が外に知られないようにしようとしている彼の気遣いも感じられたからだ。

 

──そう思った瞬間、竜王国からバハルス帝国に至るまで、自分の名前を熱心に広めて回っていたカリムの姿を思い出し、彼の脇腹をさらに強くつねった。

 

「それを分かっている人が、あんなに軽々しく宣伝して回っていたの?」

 

アンティリーネの小言に図星を突かれたカリムは、ただ豪快に笑うだけだった。

 

「あはは……こういう例は初めてですので、その……活動実績が少なかったり、活躍があまり目立たなかったりすれば、自然とあまり知られないのではないかと……」

 

「あははっ!」

 

自分のことなど気にも留めず漫才のようなやり取りを続ける二人を前に、受付嬢はひどく戸惑いながらも、どうにか答えた。

 

理由は分からない。

 

だが、二人から放たれる雰囲気は、冒険者になったばかりの新人のそれではなかった。

 

伝説や神話の中でさえ見たことがないような、常識から外れた気配。

 

特に男のほうからは、圧倒的な力が立ち上っているように感じられた。

 

彼女自身は冒険者ではない。

 

それでも、数多くの冒険者を見てきた受付嬢には、それが分かった。

 

受付嬢が非常に斬新な解決策を提示すると、カリムは思いがけない方法を聞いたと言わんばかりに、純粋に感心した。

 

そんな方法があったのか。

 

まったく考えもしなかった方法だった。

 

「そ、それでは、こちらを」

 

ある程度状況が落ち着くと、受付嬢は二人に銅級のプレートを差し出した。

 

それは、二人が正式に冒険者となった瞬間だった。

 

「おめでとうございます。登録は完了いたしました」

 

受付嬢の言葉に、二人は同時に銅のプレートを受け取った。

 

そして、似ているようでいて、少し異なる感情を抱く。

 

カリムは、この世界でも結局は職を持つことになり、結局ここでも働くことになったという事実に、少し複雑な気持ちを抱いた。

 

未来への期待と、不確かなものに対する悩み。

 

アンティリーネは、話にしか聞いたことのなかった冒険者になれたことに、未知の世界へ踏み出すような高揚を覚えた。

 

「あ、銅級の場合、簡単な採集や、町の周辺でのお使い程度の依頼を受けることができます」

 

受付嬢はプレートを渡しながら、銅級でできることを説明してくれた。

 

銅級は冒険者としての出発点であり、非常に低いランクであるため、受けられる依頼はかなり制限されている。

 

そのことも丁寧に教えてくれた。

 

それを聞いたカリムとアンティリーネは、少し残念そうな表情を浮かべる。

 

ある程度は予想していた。

 

だが、いざ言葉にされると、少々拍子抜けしてしまうのも仕方がなかった。

 

「それでも、新しいスタートだからな。頑張ってみるか!」

 

それでも落ち込んでいるよりは、最初なのだから景気よく動いたほうがいい。

 

そう考えたカリムは、胸を弾ませながら冒険者活動を始めるため、外へと出た。

 

────────────

 

「これ、大変だな。もう飽きたんだけど」

 

意気揚々と叫び、活気ある冒険者生活の始まりだと張り切って依頼を受けてから、十分。

 

カリムの『目』のおかげで、依頼はあっという間に終わってしまった。

 

だからだろうか。

 

カリムは不満げな声を漏らした。

 

こんなに退屈だとは思わなかった。

 

こんなにつまらないとは思わなかった。

 

いっそ何かを作っているほうが、まだやりがいがありそうだ。

 

「……だから、誰がそんなに早く終わらせろって言ったのよ」

 

文句を言う彼に、アンティリーネは呆れ混じりに小言を返した。

 

だが、彼の言葉には共感できた。

 

確かに、こういった仕事は彼らにとってあまりにも単調だった。

 

それでも、アンティリーネはカリムとは違い、できるだけ不満を表に出さなかった。

 

どうせ、必ず通らなければならない道だ。

 

文句を並べたところで、何かが変わるわけではない。

 

できるだけ早く上に上がるしかなかった。

 

「こんなに早く終わるとは思わなかったんだよ。まあ、終わったんだし、戻るか」

 

アンティリーネの言葉に、カリムは軽口を叩きながら立ち上がった。

 

依頼はすべて終わった。

 

ここにこれ以上いても、やることはない。

 

早く帰って浴びるように酒を飲み、そのまま眠ることを考えると、少し気分が浮き立った。

 

「もう? 帰って何をするの? やることがないなら、前みたいに手合わせしてよ」

 

「手合わせ? うーん……それもいいな」

 

カリムがにやにやしながら立ち上がると、アンティリーネはすぐに彼が何を考えているのか察した。

 

そんな時間があるなら、自分の相手をしてほしい。

 

そう言う彼女の言葉を聞き、カリムは少し悩んだ。

 

遊興か。

 

それとも、手合わせか。

 

どちらにしても、損をすることはない。

 

「よし。どうせ周りに人もいないしな」

 

少し考えた後、カリムは快く彼女の提案を受け入れた。

 

人目があれば少し困っただろう。

 

だが、来た道はもちろん、周囲にも誰一人いない。

 

見ている者がいない以上、手合わせをするにはちょうどいい状況だった。

 

場所が少し残念ではあったが、かといってこの周辺に手頃な場所があるわけでもない。

 

「ふむ」

 

軽く考えをまとめ、アンティリーネのほうを見た時。

 

彼女はすでに、自分へ向かって突進してきていた。

 

問答無用か。

 

カリムは軽く笑い、素手で彼女の攻撃を受け止めながら手合わせを始めた。

 

「おいおい。本当に気が短いな」

 

「あなたのほうがずっと強いんだから、これくらいは受け入れなさいよね」

 

カリムが小さく不平をこぼすと、アンティリーネは柔らかく笑いながら言った。

 

こうでもしなければ。

 

これくらいの奇襲でなければ、そもそも勝負の形にすらならない。

 

これくらいしなければ、私の本気は届かない。

 

「ワハハ! そう来なくちゃな!」

 

カリムは豪快に笑った。

 

そうして、二人の手合わせが始まった。




本日もお読みいただき、誠にありがとうございます。
明日もまたお越しいただけますと幸いです。
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