We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

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We are Always Searching Happy Goal - 26

「はぁ……今回も何もできなかったわ!」

 

「当然だろ! でも、いやあ、少し驚いたぜ。まさか両手を使う羽目になるとは思わなかったからな」

 

アンティリーネの奇襲から始まった手合わせは、ごく当然のようにアンティリーネの敗北で終わった。

 

彼女は自分の持てる力をすべて注ぎ込み、本気で挑んだ。

 

しかし、やはり今回も届くことはなかった。

 

カリムは相変わらず、彼女にとって泰山のような存在であり、ほんのわずかな有効打すら与えることができなかった。

 

これだけを見れば、前回と結果はまったく同じで、何の収穫もないように見える。

 

だが、そうではなかった。

 

──常に素手で、それも手のひらだけで彼女を受け止めていたカリムが、ついにアンティリーネを相手に両手を使い始めたのだ。

 

もちろん、まだ武器は使っていない。

 

それでも、これは凄まじい進歩だった。

 

速度に関しても、まだ追いつくことはできない。

 

それでも、『反射的に』防げる回数は、ほんの少しずつ増えてきていた。

 

「……あー、それでも悔しいわ」

 

確かに、彼に両手を使わせたことは、とてつもない成果だった。

 

それでも、アンティリーネは悔しかった。

 

実力差は認めている。

 

それでも、武器すら使わせることができないなんて。

 

まだ彼の速度を目で追うことすらできないなんて。

 

今では愛する人であり、同時に、ある時から自分の目標となった人でもある。

 

だが、それでも戦士としての矜持にひびが入るのは仕方のないことだった。

 

「それでも、成長速度はかなり速いぜ? 正直、驚いたよ、アンティリーネ」

 

カリムは、少し拗ねたような声で不満を漏らす彼女を見ながら、手を貸して立たせ、そう褒めた。

 

拗ねている彼女のために多少の誇張は入っていたが、その言葉に嘘はなかった。

 

最初に彼女を見た時。

 

『この目』で見たアンティリーネは、ユグドラシルで言えばレベル八十台後半。

 

ざっと見積もって、八十七、あるいは八十八程度に見えた。

 

そして、改めて見た今の彼女は、八十九、あるいは九十ほどに見える。

 

全体的な『ステータス』もまた、上がっているように感じられた。

 

もちろん、正確にどの部分がどのように伸びたのかまでは分からない。

 

だが、全体として成長していることは確かだった。

 

「……本当?」

 

「ああ」

 

悔しさはまだ残っていた。

 

それでも、彼に褒められたことで少し気分が良くなりつつ、やはり完全には納得しきれない。

 

アンティリーネが少し疑うような表情で見つめると、カリムは軽く笑いながら答えた。

 

「本当に?」

 

「本当だって」

 

アンティリーネが何度も確認を求めると、カリムはくすりと笑い、彼女が望む答えを返した。

 

それを聞いたアンティリーネは、少し機嫌を直したようにカリムの隣へぴたりと寄り添い、腕を組んで肩に寄りかかった。

 

「分かったわ」

 

まるで愛らしい少女のように振る舞う彼女を見て、カリムはたまらなく可愛く感じた。

 

そして空いている手で、彼女の頭を乱暴に撫で回した。

 

「やめてってば」

 

髪がくしゃくしゃになるほど撫でられ、アンティリーネは面倒くさそうな声で言った。

 

もちろん、本当に不快だったわけではない。

 

むしろ、気分は悪くなかった。

 

「ちっ。そんなに子ども扱いしないでよね。私のほうが年上のはずなんだから」

 

「じゃあ、お姉さんって呼んでやろうか?」

 

「……結構です」

 

それでも、毎回こうして年下扱いされるのは、アンティリーネにとって少し不思議な感覚だった。

 

ハーフエルフとして、一般的な人間種よりは長く生きてきた。

 

そのため、なかなか慣れなかったのだ。

 

かといって、彼から年長者として扱われるのも、それはそれで落ち着かない。

 

古狸のような彼に「お姉さん」と呼ばれるところを想像してみた。

 

──想像しただけで、手足が縮み上がるような気分になったため、すぐに考えるのをやめた。

 

「ワハハッ! ちょっと冗談を言ってみただけさ」

 

アンティリーネが少し顔を赤らめながら、彼の胸元に軽く顔を擦り寄せると、カリムは豪快に笑いながら言った。

 

「まあ、それはそうと、こういう依頼は早く片づけていこうぜ。最高ランクまで、どれくらいかかるんだろうな」

 

「アダマンタイトのこと? さあね。聞いた話だと、漆黒のモモンだったかしら。彼は異例の速さで昇格したらしいけど」

 

「異例の速さ? どれくらい速かったから、そう言われてるんだ?」

 

「さあ? 私も聞いたことがあるだけだから」

 

ふと、カリムは最高ランクであるアダマンタイトに至るまで、どれほどの時間がかかるのか気になった。

 

その言葉を聞いたアンティリーネは、『漆黒のモモン』の例を挙げた。

 

もちろん、彼女は漆黒のモモンという冒険者についての噂を知っているだけだ。

 

彼がどこから来て、どこで生まれ、実際にどれほどの時間で昇格したのかまでは知らない。

 

あくまで、例として挙げただけだった。

 

漆黒のモモンか。

 

その名を聞いたカリムは、静かに呟いた。

 

それなら、その漆黒のモモンとかいう奴よりも、自分がもっと早く昇格すればどうなるのか。

 

これからは、自分の名が先に語られるようになるのではないか。

 

そう考えた瞬間、長い間消えていた競争心の火種が、胸の奥で燃え上がるのを感じた。

 

「よし、それなら! 一丁やってみるか!」

 

────────────

 

「おめでとうございます! こちら、銀級のプレートになります」

 

冒険者登録から二日。

 

カリムとアンティリーネは、凄まじい速度で依頼を次々と片づけていった。

 

その結果、銅級から銀級へ。

 

二階級分の昇格である。

 

速度そのものは、かなり悪くなかった。

 

ただし、二人はどこか物足りなさを感じていた。

 

少なくとも金級までは行けると思っていたのに、結果は予想よりも少し低かったからだ。

 

「これじゃあ、記録に名を刻むのは到底無理そうだな」

 

漆黒のモモンがアダマンタイトに到達するまで、どれほどの時間を要したのかは分からない。

 

それでも、少なくともあいつより早く上がってやる。

 

そう心に誓っていたカリムだったが、いざ結果を聞いてみると、少し拍子抜けした気分になった。

 

「それでも、このペースなら最後まですぐ行けそうだけどね」

 

少しがっかりした声でプレートを受け取るカリムに、アンティリーネは慰めるように言った。

 

「やっぱりそうだよな?」

 

彼女に慰められたカリムは、再び気を取り直した。

 

良いことは良いことだ。

 

そう思い、できるだけ前向きに考えることにした。

 

たとえ最高記録は水泡に帰したような気がしても、それなりに近い記録は出せるだろう。

 

そう考えながら、彼は銀級の依頼の中で最も難しそうなものを手に取った。

 

「さあ、それじゃあ、また行ってみるか」

 

休む暇はなかった。

 

一刻も早く、最高ランクまで到達したかった。

 

昔の言葉に、こんなものがある。

 

『そのレベルで眠くなるのか』と。

 

ユグドラシル時代には当てはまらなかった言葉だ。

 

だが、ここでは違う。

 

ユグドラシル時代のスペックと強さはそのままだ。

 

それでも、この世界における冒険者としての序列は、まだ底辺も同然だった。

 

だからこそ、その言葉が妙に胸に刺さった。

 

また一から、なのか。

 

そう思うと、カリムはユグドラシルを初めてプレイした時の感情が、少しずつ蘇ってくるのを感じた。

 

時間が経っても、決して忘れることのできなかったあの感情が。

 

昔の記憶に浸りながら、彼はそのままアンティリーネを見た。

 

もし、あの頃の自分も誰かと一緒にプレイしていたら、どんな気分だったのだろうか。

 

今のような気持ちになれただろうか。

 

今のように、愛らしい仲間であり、頼もしい伴侶がいたなら。

 

もしそうだったなら、俺はあの時、あんな選択をしただろうか。

 

「何よ。私の顔に何かついてる?」

 

プレートを受け取ってからしばらくの間、カリムが自分の顔をじっと見つめていたため、アンティリーネは不思議そうに尋ねた。

 

その声で我に返ったカリムは、何でもないふうを装って答える。

 

「……いや。ただ、綺麗だと思って」

 

もちろん、アンティリーネはある程度予想していたかのように、何でもない表情で軽く受け流した。

 

「あ、そう」

 

まったく。

 

何を考えているのか気になったのに。

 

やっぱり、ずるい人だわ。

 

アンティリーネが無表情のまま、ほんの少し頬を膨らませると、カリムは軽く笑って彼女の肩を抱いた。

 

「ごめん。ちょっと、昔のことを思い出してさ」

 

「昔のこと?」

 

カリムは、めったに自分のことを話さない人だった。

 

そんな彼が、昔のことを思い出すなんて。

 

それは初めてのことだった。

 

だからだろうか。

 

アンティリーネは自分でも気づかないうちに、彼へさらに身を寄せていた。

 

もし興味深い話が出てくるなら、少しでも早く聞きたかったからだ。

 

「大したことじゃないさ。俺は、いつも一人でやっていたからな。もし、あの時も今みたいに……お前がいたら、どうだったんだろうな、って」

 

「へえ」

 

淡々としながらも、どこか物憂げな表情で話すカリムを見て、アンティリーネは軽く笑った。

 

少し遠回しな言い方ではあった。

 

だが、それは告白にも等しい言葉だった。

 

だからこそ、彼女は胸の奥に小さな誇らしさを覚えた。

 

たとえ、彼の相手にすらならないとしても。

 

それでも彼は、自分のことを背中を預けられる存在だと思ってくれている。

 

彼が言っていたことは、すべて本当だったのだ。

 

「意外ね。私も、似たようなことを考えていたの。まあ、私はユグドラシルのことなんて知らないけど」

 

カリムの言葉を聞き、アンティリーネもまた、暗に同じようなことを思い浮かべていた。

 

もし、今のように自分と同等以上の仲間がいたら、どうだっただろうか。

 

もちろん、そんな存在は白金の竜王のような例外を除けば、魔導国が建国される前までは存在しなかったのだが。

 

「ハハッ! まあ、今からでもできたんだから、お互い良かったじゃないか」

 

アンティリーネの言葉を聞いたカリムは、豪快に笑いながら、彼女をもう少し強く抱き寄せた。

 

アンティリーネもまた、大人しく彼に身を預ける。

 

身長差があるため、少しぶら下がるような形になったが、そんなことはどうでもよかった。

 

彼の体温に安らぎを感じながら、アンティリーネは心の中で固く誓った。

 

彼と一緒に、アダマンタイトまで行こう。

 

そう胸に決め、彼女はカリムと共に街へと歩き出した。




本日もお読みいただき、誠にありがとうございます。
明日もまたお越しいただけますと幸いです。
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