We are Always Searching Happy Goal 作:Redemptor
カリムとアンティリーネがエ・ランテルに到着し、自分たちだけの家を見つけ、冒険者登録を済ませた後、ミスリル級への昇格に成功してから一ヶ月という時間が過ぎていた。
すぐにでも最高位まで駆け上がるかと思われたが、彼らの冒険者ランクは依然としてミスリル級のままだった。
カリムは最高位まで届かなかったことを残念がっていた。
しかし、それはあくまでも冒険者ランクについての話だ。
ここ、エ・ランテルでの生活そのものには大満足していた。
事前に聞いていた情報の通り、エ・ランテルは治安が良く、他の都市よりもさらに活気があるように感じられた。
全体的な文明の水準もかなり高い。
そして何より、ナザリックの主要人物たちが直接的な脅威を及ぼしてくるようなことはなかった。
もちろん、監視の気配は感じられる。
だが、それは旅の最中にも感じていたことだった。
──もし、奴らが先に約束を破って攻撃してきたら、どう立ち向かうべきか。
表には出していなかったが、ナザリックに侵入し、アンティリーネを救出したその瞬間から、カリムは常にそれを考えていた。
一体どういうつもりで、あの場では大人しく見逃したのだろうか。
いまだに分からない。
全力を出せば、あの場にいた奴の部下たち──確か五人ほどいた──を相手にしても、勝算はあった。
しかし、魔王のようなあの骸骨野郎を相手にした場合だけは、どうしても答えが見えなかった。
自分と同じように、どこか無限に近いものを感じさせる存在。
そして、相性も良くない。
そんな直感が強く働いたのだ。
幸いなことに、その魔王はあの場で攻撃してこなかった。
それどころか、大人しくこちらの交渉に応じてくれた。
根本的に同じ世界の出身だから、そうしたのだろうか。
それとも、何らかの計画を企んでいるのだろうか。
「わからないな」
こういう方面は、からきし駄目だ。
考えれば考えるほど頭が痛くなる気がして、カリムはそこで考えるのをやめた。
良いことは良いことだ。
このまま、あちらから先に戦いを挑んでこない限り、こちらが先に刃を向ける理由は一つもない。
数十年ぶりの放浪の末に、ようやく手に入れた新婚のような生活だ。
それを無理やり、それも自分から壊す理由などなかった。
「ん? 何が?」
──思わず呟いていたらしい。
あまりにも考え込んでいたせいで、声に出てしまっていたのだ。
それを聞いたアンティリーネが、不思議そうに尋ねてくる。
「え? いや、なんでもないさ」
「何よ。教えて」
カリムが真剣な表情から、いつもの悪戯っぽい顔に戻ると、アンティリーネは少しむくれたような表情で彼の肩にもたれかかった。
「ただ、後で子供が生まれたら、どんな名前にしようか、みたいなことを考えてただけだ」
「……何よ、それ」
恥ずかしいことを何でもないように口にするカリムを見て、アンティリーネは唇を尖らせながら言った。
確かに、それは非常に重要なことだ。
真剣に考える価値もある。
彼女自身も、彼と恋人同士になってから、そのことについて真面目に考えたことがあった。
しかし、だからといって、こんなに堂々と言うようなことではない。
「ふん、もういいわ。市場にでも寄ってから帰りましょう」
間違いなく、また突飛な想像をしていたに違いない。
しつこく尋ねれば、またおかしな返事が返ってくるだろう。
そう考えたアンティリーネは、小さく文句を言いながら、自然に話題を変えた。
カリムがこれ以上妙なことを言えないようにするためでもあった。
「そうするか」
アンティリーネの提案に、カリムは軽く笑いながら頷いた。
これで二回目か。
完璧ではない。
それでも、『漆黒聖典』の『絶死絶命』という仮面を、彼女が確実に脱ぎ捨てつつあるのが感じられた。
そして、もしかすると。
こちらこそが、彼女の本当の姿なのかもしれない。
そう思うと、カリムは改めて心に誓いながら、そっと彼女の肩を抱き寄せた。
そして、二度目のデートを楽しむため、市場へと足を踏み入れた。
────────────
「あら、また来てくれたのね! 奥さん、今日は果物がとっても新鮮よ!」
二人は二度目のデートのために市場へ入り、そのまま馴染みの果物屋へ向かった。
カリムのインベントリには、大抵の食材が揃っている。
しかし、珍しく果物の類はあまり入っていなかった。
そのため、二人は自然と果物屋をよく訪れるようになっていた。
果物屋の主人は二人を見るなり、アンティリーネに向かって親しげに声をかけた。
奥さん、だなんて。
まだ、そんな仲ではないのに。
そう呼ばれた瞬間、アンティリーネは顔から耳まで一気に赤くなった。
まだ耳を隠して歩いていたため、果物屋の主人は、顔を赤らめた彼女を見て微笑むだけだった。
見ているだけで温かい気持ちになるような二人だ。
店の主人はにこにこと笑いながら、今日入ったばかりの果物を持ってきた。
「おお、いやあ。すごく新鮮そうですね」
店の主人が持ってきた果物を見て、カリムは純粋に感嘆した。
アンティリーネはカリムの隣にぴったりと寄り添ったまま、静かにその様子を眺めていた。
「でしょう? とっても甘いのよ。奥さんの口にも合うはずだわ。袋に入れましょうか?」
「ハハッ! いやあ、ありがとうございます」
気前よく袋に詰めてくれる店の主人に、カリムは人懐っこい笑みを浮かべて礼を言った。
「また来ますね」
「ええ、またいらっしゃい」
袋に詰められた量は、予想よりはるかに多かった。
それを見たカリムもまた、お返しとばかりに、元の値段よりずっと多くの金を支払った。
当然、店の主人は少し驚いて断ろうとしたが、豪快に笑うカリムの好意を最後まで断りきることはできなかった。
「へえ。竜王国でもそうだったし、バハルス帝国でもそうだったけど、そういうところはちゃんと覚えているのね」
「当然だろ。もらったものがあるなら、返すものもなきゃな」
恥ずかしそうに静かに見ているだけだったアンティリーネは、店を出るなり微笑みながらそう言った。
カリムもまた、そんな彼女ににっこりと笑って答える。
もらった恩があるなら、返さなければならない。
一升受けた恩は一斗で返せ。
目には目を、歯には歯を。
生きてきた中で彼が最も強く学び、実践し、信念としてきたことだった。
そして、その信念はこの世界でも変わらず実践されていた。
「最初はよく分からなかったけど、あなたの言うことが正しいみたいね」
最初に竜王国で彼の信念を見た時、アンティリーネには理解できなかった。
少し非効率的だとさえ思っていた。
しかし、一緒に過ごすうちに、彼の信念を少しずつ理解し始めていた。
周囲と親交を深め、小さくても助けを借り、思いのほか重要な情報を得る。
そうした経験を重ねるうちに、それが決して無駄なことではないと気づいたのだ。
「まあ、俺はアンティリーネ、お前みたいに天性で明るくて愉快な奴じゃないからな。こうでもしないと、俺みたいな人間はすぐ内に閉じこもっちゃうんだよ」
「そう?」
──見た目はその逆みたいだけどね。
カリムの言葉は、少し理解しづらかった。
しかし、確かなことが一つある。
もしナズルおばさんと一緒にいられたなら。
あるいは、まともな家庭で育っていたなら。
自分も先ほどのカリムのように、周囲や隣人に親切に接し、もっと自然に交流できる人間になっていたのかもしれない。
「それはそうと、今度は服でも買いに行こうか」
「うん、そうね」
果物屋での用事を済ませた二人は、そのまま次の店へ向かった。
カリムのインベントリにおいて、果物のような食材の次に足りなかったもの。
それは衣類だった。
もちろん、装備として着られる服はたくさんある。
だが、普段着は非常に少なかった。
何より、女性用の衣類はまったくと言っていいほどなかった。
下着も同様である。
一応、そういったもの自体は存在していた。
しかし、わざわざそんな服まで入れて持ち歩くなど、カリムは考えたこともなかった。
使う当てもなかった。
ギルドもなかったため、着せてみるような相手もいなかった。
そうしているうちに、自然とインベントリの中から普段着という分類の服はほとんど消えていったのだ。
そういうわけで、竜王国にいた頃から、二人がよく立ち寄る場所は果物屋と服屋だった。
足りないもの。
あるいは、今の生活に必要なもの。
それを満たすため、自然と体がそちらへ向くようになっていた。
「やっぱり、ここが一番いいな」
すべての都市に行ったわけではない。
すべての国に行ったわけでもない。
そして、すべての店を知っているわけでもない。
それでも、直接見て、経験してきた店の中では、ここエ・ランテルの店が一番だった。
店の外から漂う雰囲気そのものが違って見える。
外観も他の国や都市に比べて清潔で、よく整っていた。
服の種類も非常に豊富で、材質もかなり良さそうに見える。
カリムから見れば、バハルス帝国はともかく、竜王国とはまったく比べものにならない水準だった。
「いらっしゃいませ」
カリムとアンティリーネが店に入ると、服屋の主人が微笑みながら、二人をとても嬉しそうに迎えた。
「どうぞ、心ゆくまでごゆっくりご覧ください」
服屋の主人と軽く挨拶を交わした二人は、店内をゆっくりと見て回り始めた。
「これはどうだ?」
「う、うーん……」
カリムは女性用の普段着の中から、自分の好みに合う服を選んで手に取り、それをアンティリーネに見せた。
それを見たアンティリーネは、非常に真剣な表情で悩んだ。
そして、やがて決心したようにそれを手に取り──小さくため息をついて、そっと元の場所へ戻した。
「……いいわ。私が選ぶ」
「ん? あ、分かった」
──選んでくれたのはありがたいけれど、信じすぎたら大変なことになりそう。
アンティリーネは、服だけは自分の審美眼を信じることにした。
当然、それを見たカリムは少し意気消沈した。
これなら絶対に似合うはずなのに。
本当に、綺麗に見えるはずなのに。
残念そうに、自分が手に取った服をじっと見つめ続ける。
「見てくるわね」
「ああ」
今すぐ手に取れば、間違いなくまた小言を言われるだろう。
そう考えたカリムは、アンティリーネが他の服に気を取られている隙に、こっそりと服屋の主人を呼んだ。
そして──服屋の主人に内密な相談を持ちかけ、やがて密かに、少しばかり大胆な服をいくつか買うことになった。
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