We are Always Searching Happy Goal 作:Redemptor
「うっ、──あーっ! 疲れた!」
プレゼントをもらった翌日。
二人は依頼をこなしながら、エ・ランテル周辺にある、人通りの少ない空き地をいくつか見つけていた。
そして彼らはその空き地をベースキャンプとし、定期的に修練と手合わせを始めることにした。
依頼の途中で行うこともあれば、依頼を終えた帰り道に行うこともある。
そして今のように、時間を決めて定期的に行うこともあった。
「それでも驚きだぜ、アンティリーネ? 俺が両手どころか、剣まで使うことになるとはな」
手合わせは全体的に順調だった。
もちろん、毎回結果は同じだった。
だが、成果がなかったわけではない。
これまで両手だけで相手をしていたカリムが、ついに武器を使い始めたのだ。
最初と比べれば、とてつもない成果だった。
「……ちっ。それでも、ただの剣じゃない。アイテムでも何でもない、ただのありふれた剣よ」
疲れ果てたアンティリーネは、今回も不満そうな表情を浮かべながら、そのまま地面に寝転がった。
確かに、最初よりは良くなった。
それは分かっている。
それでも、不満だった。
カリムは相変わらず泰山のような存在であり、自分はいまだに、ほんのわずかな有効打すら与えられずにいるのだから。
「ハハッ! それでも驚くべき速度だぜ。もう少しやれば、俺も少し本気を入れなきゃいけなくなりそうだな」
アンティリーネの愛嬌混じりの不満に、カリムは豪快に笑いながら言った。
若干のリップサービスは含まれていた。
だが、その言葉に嘘はなかった。
高レベルでありながら、彼女にはまだ開花させるべきポテンシャルがかなり残っている。
全体的な戦闘センスもまた、目覚ましい速度で成長していた。
「……本気? それは、気になるわね」
アンティリーネは荒い息を吐きながらも、どこか誇らしげな声で言った。
まだ足りない。
それは分かっている。
だが、ここからもう少し強くなれば、彼に届くということなのか。
遠く、高く、ただ見上げるばかりだった目標が、少しずつ輪郭を持ちはじめたような気がした。
「……初めてだわ、こんな気持ちは」
ここまで本気で強くなりたいと思ったことがあっただろうか。
強くなるために、ここまで必死になったことがあっただろうか。
魔導王の部下であるダークエルフに敗れた時とは違う悔しさがあった。
もっと一生懸命修練していれば。
もっと実戦経験を積んでいれば。
もしそうだったなら、結果は違っていただろうか。
それとも、カリムにもっと早く出会っていたら。
今のように恋人同士になっていただろうか。
単なる上司と部下の関係になっていただろうか。
あるいは、畏れ多くて近づきがたい後代の神として、彼はただ君臨していただろうか。
「おいおい。美女がそんなところに寝転がってちゃ駄目だろ。ほら」
アンティリーネが荒い息を吐きながら、なかなか起き上がろうとしないのを見ると、カリムは豪快に笑いながら手を差し伸べた。
その姿に、彼女は少し頬を膨らませながらも、彼の手を握って立ち上がった。
「……それにしても、どうしてそんなに強いのよ」
カリムの手を握り、胸元へ引き寄せられるようにして起き上がったアンティリーネは、不満と甘えが混ざった声で言った。
カリムに出会ってから、もう六ヶ月が少し過ぎている。
その間、彼の強さを直接見もした。
経験もした。
おかげで、カリムがどれほど規格外の強者なのかを知ることになった。
だからだろうか。
恋人として。
そして戦士として。
アンティリーネは純粋に、彼がここまで強い理由が気になった。
「さあな。真剣に考えたことはないよ」
彼女が腕の中に収まったまま尋ねると、カリムは軽く微笑みながら答えた。
なぜ自分はここまで強いのか。
なぜ、これほどの領域まで至ったのか。
それについて、真剣に考えたことはなかった。
明確な目標があったわけでもない。
ただ、興味に惹かれて進んでいるうちに強くなった。
そして圧倒的な力で、様々なものの心をへし折ってきただけだった。
こんな理解しがたい奇怪な経緯を話せば、アンティリーネはきっと怪訝な顔をするだろう。
「何よ、それ」
真剣に考えたことがないなんて。
予想外の答えに、アンティリーネは少し呆れたような表情で彼を見た。
ただ突然強くなったとでも言うのか。
それとも、むしろその逆で、考える暇もないほど積み重ねてきたということなのか。
「神様たちは、みんなそうなの?」
「まあ、俺みたいな場合もあるし、その逆もあるだろうな」
特に説明する方法がなかったカリムは、アンティリーネの質問に、適当に誤魔化すように答えた。
当然、アンティリーネはそんな彼を少し睨みつける。
「ハハッ! ごめん、アンティリーネ。でも、本当にどう説明していいか分からなかったんだ」
睨みつける彼女を見て、カリムは豪快に笑いながら謝った。
もっと詳しく説明したい気持ちはあった。
だが、それがうまくできなかったのだ。
その姿に、アンティリーネは仕方ないという表情を浮かべた。
思い返してみれば、自分も同じだった。
他の漆黒聖典の隊員たちや末端の兵士たちに、自分がなぜここまで強いのか。
そして、どうすれば自分と同じ境地に至れるのか。
それを説明する方法など、持っていなかった。
「うん、そうみたいね」
自分にとって、カリムやあのダークエルフが、届かない遠い壁のような存在であるなら。
自分自身もまた、他の漆黒聖典の隊員たちや末端の兵士たちにとっては、決して届かない目標のようなものだった。
そう考えると、カリムがうまく説明できないのも、ある程度は理解できた。
「さあ、それじゃあ。少し休憩して、またやるか?」
腕の中で物思いに沈むアンティリーネを見て、今度はカリムの方から再戦を提案した。
その言葉に、拒む理由などなかった。
アンティリーネは目を輝かせる。
「うん、いいわよ」
まだ疲れていた。
だが、そんなことは関係なかった。
多少無理をしている自覚はある。
それでも、焦っているわけではない。
純粋に、この先にある境地が気になった。
もし、もっと強くなって、彼と同じような場所に立てるなら。
同じ高さから、彼と視線を交わすことができるなら。
これくらい、どうということはなかった。
それに何より、少し休めばすぐに回復できる。
少し驚いたことに、カリムは回復魔法まで使えたため、回復速度はかなり早かった。
──軽くカリムのマッサージを受けながら、アンティリーネは次のラウンドに備えた。
「だいぶ良くなったな、アンティリーネ」
「くっ」
少し休憩した後、次へ。
正午まではまだかなり時間があったため、二人は引き続き手合わせを行った。
アンティリーネはカリムに回復魔法をかけてもらい、さらにマッサージまで受けたため、事実上コンディションは最高だった。
万全の状態である。
必ず、どうにかして有効打を与えてやる。
本気を見せ、届いてみせる。
今回もそんな思いでぶつかっていき、そしてごく当然のように、手合わせは同じように流れていった。
「ちっ──ここね!」
無知なほど強い力。
そして、集中しても絶対に追いつけない速度。
依然として圧倒的な実力差を前に、アンティリーネは反射に頼るしかなかった。
当然、その反射でさえ押されていたため、最初は相手にすらならなかった。
たった一合すら持ちこたえることができなかった。
だが、今は違う。
ごくわずかだが、反射的に防げる回数が増えていた。
「くっ!」
一合。
そして、二合。
反射的に、何とか受け止めた。
そして今の二合が、彼女の限界だった。
右か!
二撃目を受け止めた直後、彼女は本能的に次へ反応した。
しかし、受け止めることはできなかった。
「速っ!」
あくまで反応できただけだ。
体がついてこなかった。
攻撃を自覚するよりも早く、彼女はいつの間にか地面を転がっていた。
「ワハハッ! いやあ、それでも、もうある程度反応できてるじゃないか。悪くなかったぜ、アンティリーネ? もちろん、全力じゃなかったけどな」
カリムの最後の一撃で、二人の手合わせは終わった。
彼は豪快に笑いながら、アンティリーネを起き上がらせる。
薄々感じてはいた。
だが、相変わらず全力ではなかったという彼の言葉に、アンティリーネの自尊心は少し傷ついた。
それでも、ある程度彼の本気を引き出せたという事実は変わらない。
そのことに、ささやかな満足感だけはどうにか覚えることができた。
「……ちっ。今のあの一撃も、防げたのに」
アンティリーネは、不満に愛嬌を混ぜながら、拗ねたような表情で彼に言った。
絶対に、もう少しで防げたはずなのに。
そして、もしかすると反撃もできたかもしれないのに。
「まあ、それでも、もう少しやったら、このただの刃物じゃなくて、他のアイテムで相手をしなきゃいけなくなるな」
彼女の可愛い不満に、カリムは冗談めかして言った。
リップサービスは含まれていた。
だが、ここからもう少し成長すれば、ただの剣で相手をするのは、今の彼女の武器と力に対して礼を欠くことになるだろう。
もう少し本気を込めて。
もう少し派手なアイテムを取り出さなければならない。
そう思いながら、カリムは現在の彼女の状態を探った。
九十。
この領域は、とっくに超えていたか。
以前は、ざっと見積もって八十九、あるいは九十に見えていた。
しかし今は、うっすらと九十一程度に感じられる。
正確な数値までは分からない。
だが、他の部分もまた、以前より確実に上昇していた。
こういうものが、神人という証なのか。
もちろん、カリムはこの世界の人間ではない。
そのため、神人という存在の意味について、まだ深く知っているわけではなかった。
ユグドラシルから来たプレイヤーと、この世界の者との間に生まれた存在。
しかし、それにどれほど大きな意味があるのか。
結局、血筋に価値を見出す発想など、あのディストピアと同じではないか。
それ以上の意味はない。
以前の彼はそう思っていた。
だが、その考えは竜王国を通り、バハルス帝国を経て、エ・ランテルに至るまでの間に、完全に間違っていたのだと気づかされた。
魔導国と白金の竜王という例外を除けば、アンティリーネほどの力を持ち、なおかつこれほどの成長力を見せる存在は、まったくいなかったからだ。
それだけ、この世界において、ユグドラシルから来たプレイヤーは神にも等しい存在なのだろう。
そして、その血を受け継ぎ、覚醒した者たちは特別なのだ。
「……思ったより、もっとドーパミンが出るな」
もしかすると、また別の目標と楽しみを見つけたのかもしれない。
そう思いながら、カリムはいつの間にか肩へ寄りかかり、腕を絡めてきたアンティリーネの体温を感じていた。
そして正午が完全に過ぎる前に、二人は家へと帰った。
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明日もまたお越しいただけますと幸いです。