We are Always Searching Happy Goal 作:Redemptor
SIDE – E | カリムがエ・ランテル近郊の空き地にベースキャンプを設営した直後。
「デミウルゴス。あの男が、エ・ランテルの近くに自分だけのベースキャンプを設営したわ」
「ベースキャンプ、ですか?」
アルベドは第九階層で少し休んでいたデミウルゴスを見つけると、彼に近づき、あの男に関する新たな報告を口にした。
本来、エ・ランテルの住民でもない男が、無断でベースキャンプを設置した。
いささか荒唐無稽な報告だった。
「まあ、構わないのではないでしょうか」
「何ですって?」
「アルベド。すでにご存じでしょうが、あの男にそれを使って何かを企むつもりなど、毛頭ないはずです」
「どうしてそう確信できるのかしら?」
看過できない事態だ。
そして、これは早期に解決しなければならない。
そう考えてアルベドはデミウルゴスに報告した。
しかし、どういうわけか、デミウルゴスは終始平然とした態度だった。
その泰然自若とした姿に、アルベドは理解できないという表情で問い返す。
「あの男が危険であること。それは理解しています。実際、あの男は単独で第九階層まで突破した、唯一の存在ですからね」
「なら、なおさら傍観せずに止めるべきではないの?」
相変わらず平然とした態度で、余裕のある声で話すデミウルゴスを見ながら、アルベドは正論を口にした。
このまま放置しておけば、ナザリックと魔導国にとって最大の敵になりかねない。
そうなる前に未然に防ぐ。
それは、彼女の言う通り妥当な判断だった。
「──だからこそ、これ以上止める必要はないでしょう」
「どういうことよ────」
「これまで観察してきた結果、あの男は直感で動くタイプです。あのベースキャンプも、間違いなくその類いのものでしょう」
止める必要はない。
そう言い切るデミウルゴスの言葉に、アルベドは一瞬ぽかんとした表情を浮かべた。
正論に対して、暴論で返されたような気分だった。
だが、デミウルゴスはアルベドの反応など気にする様子もなく、言葉を続ける。
「それに、あのベースキャンプも結局のところ、我々の観察対象の一部に過ぎません」
「観察対象?」
「アルベド。男女が互いに惹かれ合い、互いを見つめ合うようになると、その先に何が起こると思いますか?」
「唐突に何よ? 一般的に考えれば、結婚して────」
「そして愛を育み、やがて結ばれるでしょう」
デミウルゴスは、妙に歓喜に満ちた表情を浮かべた。
そして、少しばかり熱を帯びた声で言葉を続ける。
「気になりませんか? あの男とハーフエルフの間に子供ができるのかどうか。そして、もしできたなら、その子がどのような存在として生まれてくるのかが」
その言葉を聞いたアルベドは、少し前にデミウルゴスが言っていたことを思い出した。
アウラとマーレにとって、非常に良い教科書になるだろう。
まさか、その話だったのか。
それを悟ったアルベドは、少し拍子抜けしたような表情を浮かべた。
だが同時に、胸の奥に妙な好奇心が芽生えるのを感じる。
もし、あの男がデミウルゴスの言う通り奇跡を見せてくれるなら。
もしかすると、自分もまた、そのような奇跡を叶えられるのではないだろうか。
そう考えた瞬間、アルベドの表情にも、デミウルゴスと同じような歓喜が浮かんだ。
そして彼女は、あの男がもたらすであろう奇跡に、静かな期待を抱くようになった。
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29.5話を再度投稿してしまっていたようです。大変失礼いたしました。迅速にご指摘いただき、誠にありがとうございます。 [__]