We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

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We are Always Searching Happy Goal - 3

──寝泊まりする場所が、ないだと?

 

では、今のこれは本当に、ただ当てもなく歩いているだけだというのか。

 

魔導国を相手に堂々と立ち向かい、交渉まで成立させた。

そのうえ、あの者たちの手から自分を救い出せるほどの力と度胸を持ち、さらには神々の世界――ユグドラシル出身だという男が。

 

身を寄せる場所一つ用意せずに、自分を連れ出したというのか。

 

それも、何の計画もなしに。

 

アンティリーネは呆れ果てたような表情で、自分を抱きかかえている男を見上げた。

 

彼の自信に満ちた態度と、現実的な無計画さ。

その二つが、奇妙な不協和音を奏でている。

 

この状況は、到底理解できるものではなかった。

 

そんな彼女の表情を見て、男は楽しそうににやりと笑い、言葉を続けた。

 

「もちろん、今すぐ行く当てはない。だが、俺の目標はだな……」

 

彼はアンティリーネを少し抱き直しながら言った。

 

まるで、とんでもなく壮大な計画でも語るかのような、自信満々の声だった。

 

「こんな絶世の美女と一緒に、悠々自適に世界を旅して、気に入った場所を見つけて定住することさ」

 

その言葉を聞いた瞬間、アンティリーネはどんな顔をすればいいのか分からなくなった。

 

この男は、確かに強大な力と度胸を持っているのかもしれない。

 

だが、考えていることは思慮の浅い子供のようでもあり、あるいは自分をわざとからかっているようでもあった。

 

命の危機に瀕していた状況から抜け出せたのは、幸運だったのかもしれない。

 

しかし、この正体不明の男と共に歩む未来は、また別の意味で苦難に満ちていそうだった。

 

──このままでは、駄目だ。

 

そう思い至ったアンティリーネは、畳みかけるように言った。

 

「それなら、さっさと定住する場所から探した方がよほど得じゃないの? 世界を見て回るのは、その後でも遅くないわ。そうね、例えば私の祖国である法国とか……」

 

合理的な反論だった。

 

彼女の言う通り、まずは定住する場所を探し、旅はその後にしても遅くはない。

旅にばかり気を取られていては、一生を放浪の身として過ごすことになりかねないからだ。

 

そして何より、この男のペースに一度でも巻き込まれれば、抜け出すのに途方もない苦労をすることになるだろう。

 

ほんの少し会話を交わしただけではある。

だが、彼女はこの男について、ある程度の把握を終えていた。

 

だからこそ、素早く判断した。

 

そんな彼女を見て小さく微笑んでいた男は、彼女の口から法国という単語が出た途端、わずかに表情を引き締めた。

 

そして、彼女の言葉を遮る。

 

「……今、法国に行くのは無理だ」

 

「何ですって……?」

 

「今のお前の気持ちは、大体察しがつく。だが、だからこそ今は駄目だ。奴らと交わした約束もあるからな」

 

「約束ですって?」

 

彼女が何を言っても笑みを崩さなかった男が、急にひどく真剣な表情で告げたものだから、アンティリーネは少しだけ弱々しい声で問い返した。

 

「まあ、それは時が来たら教えてやる」

 

男は何かを言いかけたが、まだ早いと判断したのか、それ以上は語らなかった。

 

そして次の瞬間、彼は先ほどまでの真剣さが嘘のように、さらに堂々と、そして図々しく言い放った。

 

「まあ、お前の言う通りだ。先に家を見つけてから旅をする。それも間違いじゃない。だが、それじゃ面白くないだろ? せっかくこんな絶世の美女を手に入れたんだ。世間の奴らに少しくらい自慢しないとな」

 

「は?」

 

その言葉を聞いた瞬間、アンティリーネは何かを言い返す気力をすべて失った。

 

予想通りだった。

 

この男に常識や合理性を期待すること自体が、無駄なのだ。

 

彼は強い。

だが同時に、理解不能な種類の人間でもあった。

 

アンティリーネは深い溜息をつき、抵抗することを完全に諦めたように、彼の腕の中でぐったりと力を抜いた。

 

もはや反論する気力も、力も残っていない。

 

本当に呆れ果てたというように、彼女は何も言わず、ただ目を閉じた。

 

これからこの男に振り回され、どんな呆れた旅路を歩まされることになるのか。

想像するだけで、どっと疲れが押し寄せてきた。

 

こうして二人の奇妙な同行――いや、アンティリーネの立場からすれば、一方的な拉致と変わらない旅が始まった。

 

彼女にとっては、ひどく疲れる旅。

 

そして彼にとっては、幸福とドーパミンに満ちた異世界旅行であった。

 

────────────

 

「さあ、それじゃあ、この世界出身者様。道案内を頼む」

 

「……は?」

 

男の図々しさから始まった、どたばたで滅茶苦茶な見せびらかしの旅は、出だしから難航した。

 

彼は、自分は別の世界から来たのだから、この世界で生まれ育ったアンティリーネが案内役を務めるのは当然だ、という滅茶苦茶な理屈を主張した。

 

そのたびに彼女は真顔になり、案内できる道など知らないと繰り返した。

 

そして何より──

 

「ちょっと。この変な旅行、あんたが先にしようって言い出したんじゃない! あんたがやりなさいよ!」

 

彼女の言う通り、この奇妙な旅を提案したのは彼である。

 

だからこそ、彼女が道案内をしてやる義務などない。

むしろ、提案した本人である彼が何とかするのが筋だった。

 

「何? 俺が? 俺はこの世界の出身じゃないぞ? 当然、アンティリーネ、お前がやるべきだろ」

 

「……私の名前、呼ばないでって言ってるでしょ! ふん、もういいわ!」

 

──また、この奇妙な理屈だ。

 

まだ出会ってから大して時間も経っていない。

それなのに、この男の奇妙な理屈を聞かされ続けていたら、こちらまでおかしくなってしまいそうだった。

 

アンティリーネはそう思いながら、ぷいと背を向けた。

 

あの地獄から救い出してくれたことには、本当に感謝している。

 

だが、だからといって、この男に振り回され続けるのは御免だった。

 

「行く当てはあるのか?」

 

「……ないわ」

 

背を向けたまま、アンティリーネの足が止まった。

 

確かに、彼の言う通り行く当てがない。

 

幼い頃から、ハーフエルフとして。

漆黒聖典の一員として。

そして、コードネーム絶死絶命として。

 

白金の竜王との暗黙の約束もあり、彼女は祖国である法国の外へ出たことがほとんどなかった。

 

当然、友人と呼べる者などいないに等しい。

知り合いに至っては、なおさら皆無だった。

 

「ハハ! なんだ、そりゃ!」

 

男の豪快な笑い声を聞きながら、アンティリーネはこの状況が煩わしく、不満で仕方がなかった。

 

正体不明の男に半ば捕まり、そのまま引きずり回される身の上。

 

プライドの高い彼女にとって、それは到底耐えがたいことだった。

 

この男と同じような性格になるか、あるいは完全に染まってしまえば話は別なのだろうが。

 

「……チッ」

 

しかし、彼女に他の選択肢はなかった。

 

唯一知っている場所は法国。

だが、そこへは行けない。

 

仮に他に行ける場所があったとしても、下手をすれば祖国を危険に晒すことになる。

 

その前に、今の彼女は何一つ持っていなかった。

 

金もない。

武装もない。

 

せめて金か武装、そのどちらか一つでもあればまだしも、この状態で一人歩き回れば、野垂れ死にしてもおかしくない。

 

──カロンの導きでもあれば。

 

厚かましいとは分かっている。

それでも、出る時にこの男へ頼んでおけばよかった。

 

そうしていれば、今すぐ離れても何とかできたかもしれないのに。

 

「仕方ないわね」

 

アンティリーネは小さく溜息をつき、再び男の方へ振り返った。

 

気乗りはしない。

だが、この男と一緒に行くしかなかった。

 

「さあ、行きましょうか」

 

結局、同行することを決めたアンティリーネを見て、男はにやにやと笑った。

 

こんな絶世の美女と共に旅をする。

 

考えるだけで、ドーパミンが爆発しそうだった。

 

もちろん、それはあくまで彼の立場での話である。

 

対するアンティリーネは、やりたくもないことを無理やりやらされている少女のような顔をしていた。

 

「あ、そういえば、あんた。お金はあるの?」

 

「金? この世界の貨幣のことか?」

 

「……まさか、ないとか言わないわよね? ただでさえ目的地もないのに、お金までないなんて言ったら、本当に……」

 

「うーん。俺が転移してきてから、どれくらいだ……二日……か? いや、三日にはちょっと届かないくらいか。だから……」

 

「何ですって?!」

 

──お金までない。

 

目的地もなく、金もない。

 

本当に、この男について行って大丈夫なのだろうか。

 

目眩に加えて吐き気まで覚えたアンティリーネは、額を押さえ、心の中で悲鳴を上げた。

 

ああ、運が良すぎるのも考えものなのね。

 

そう思いながら。

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