We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

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We are Always Searching Happy Goal - 39

「神よ、どうか、このようにお願い申し上げます! 後代の神として、法国をお導きください!」

 

「あー、だから。そういうのは面倒なんだよ」

 

アンティリーネの案内を受け、スレイン法国へ到着したカリムは、彼女の予想通り、非常に面倒な目に遭っていた。

 

初対面から跪かれ、神として君臨し、国を導いてほしいと頼まれる。

 

それだけならまだしも、行く先々で半ば強制的に崇拝の対象とされ、目眩がするほどだった。

 

そのたびに、アンティリーネは彼に言っていた通り、周囲へ目配せをした。

 

だが、時局が時局なだけに、まったく効果がなかった。

 

さらには漆黒聖典の隊員たちまで似たような反応を見せたため、彼女一人では止めようがなかった。

 

「ど、どうか……このように、お、お願いいたします」

 

おさげに結んだ青髪の女性――『無限魔力』でさえ、普段の生意気な態度はどこへやら、かつてないほど卑屈な姿で膝をついていた。

 

その姿を見て、アンティリーネは現在の法国がどれほど絶望に苛まれ、窮地に追い込まれているのかをすぐに理解した。

 

「な、なにとぞ……どうか、お願いを……」

 

「────面倒だな」

 

執拗に懇願され続け、ついにカリムの忍耐が限界を迎えた。

 

時間を戻せるなら、法国に行ってみようと言い出した自分自身をこっぴどく殴り飛ばしてやりたい。

 

そう思うほどだった。

 

縛られるのは真っ平だ。

 

推戴されるなど、さらに息が詰まる。

 

「ひ、ひいっ……!」

 

適当に相槌を打っていたカリムが、突然口を閉ざした。

 

そして次の瞬間、空気が変わる。

 

アンティリーネを含むその場の全員が、圧倒的なオーラに飲み込まれた。

 

特に、カリムのすぐ目の前にひれ伏していた無限魔力は、顔が青ざめるどころではなかった。

 

まるで全身の血の気が完全に引いてしまったかのように、激しく震えていた。

 

「カ、カリム……」

 

その中で、アンティリーネだけは比較的まともに立っていることができた。

 

彼女は少し勇気を出し、彼を落ち着かせようと、わずかに震える声で名前を呼ぶ。

 

もし、それでも彼が怒りを収めないなら。

 

その時は、必死に彼の胸に抱きついてでも止めるつもりだった。

 

「────ふぅ」

 

アンティリーネが自分を呼ぶと、カリムは現在の感情を押し殺し、深く息を吐いた。

 

同時に、その場を支配していた圧倒的なオーラも消え去る。

 

その様子を見て、アンティリーネもまた、カリムに続いて安堵のため息を漏らした。

 

「繰り返し言うが、俺は神なんてものには興味がない。国を導くつもりもない」

 

「あぁ……」

 

真剣な表情で、淡々と告げるカリム。

 

神になど興味はない。

 

スレイン法国を導くつもりもない。

 

その言葉に、法国の一同は非常に残念そうな表情で嘆息を漏らした。

 

──しかし、続くカリムの言葉に、彼らはある程度の活気を取り戻した。

 

「だが、手助けくらいならできる。まあ、簡単な手合わせくらいは見てやれそうだ」

 

「お、おおっ……」

 

カリムの口から手合わせという言葉が出ると、彼らは短くも、今度は喜びの感嘆を漏らした。

 

神の教え。

 

それも、神が直接下される教え。

 

一生を生きても。

 

いや、数百年生きたとしても、享受できるとは限らない栄光だった。

 

「よし。じゃあ、さっそく始めてみようか」

 

「はぁ────」

 

どうして、不吉な予感はいつも的中するのだろうか。

 

アンティリーネは、今回も即興で場を設けるカリムを見て、妙に初めて会った時の感情が湧き上がってくるのを感じた。

 

もっとも今回は、彼に対する苛立ちではない。

 

これから地獄を味わうことになる漆黒聖典の隊員たちへの哀悼だった。

 

「今、ですか?」

 

「ああ。今だ」

 

何の準備もなく、すぐに始めようという神の言葉。

 

それに、アンティリーネを除く法国の人間たちは、戸惑った表情で問い返した。

 

もちろんカリムは、人々がどう思おうと気にも留めず、準備を始める。

 

「まあ、心配する必要はない。あくまでも手合わせだからな」

 

「し、しかし、今は場所が────」

 

「何してる。かかってこないのか」

 

カリムは彼らがもじもじしているのを見ると、少し苛立った表情で指をくいっと動かし、合図を送った。

 

その姿に、漆黒聖典の隊員たちは少し間を置き、互いに視線を交わした。

 

そしてやがて決心を固めたように、そのままカリムへ飛びかかる。

 

自分たちが持つすべての能力を発揮し始めた。

 

多少唐突ではあった。

 

だが、だからといってそのまま棒立ちしていれば、二度とこんな機会は訪れないような気がした。

 

だからこそ、彼らは必死に打ち込んだ。

 

「────!!」

 

時局が時局だ。

 

ゆえに、彼らは万全の状態ではなかった。

 

もちろん、勝てるとは思っていない。

 

目の前にいる存在は、ユグドラシルから降臨した、六大神と同等の存在なのだから。

 

だからといって、無力感に苛まれ、適当に済ませるつもりもなかった。

 

「なっ」

 

本当に一瞬だった。

 

何が起きたのか、認識することすらできなかった。

 

認識した時には、第一席次から第十二席次まで。

 

全員が、地面に転がっているだけだった。

 

「一体、何が……」

 

その光景を見守っていた神官長たちはもちろん、警備隊や他の特殊部隊まで。

 

皆が魂を抜かれたように見つめるしかなかった。

 

いくら何でも、法国最強の戦力を相手に。

 

それも、たった片手で。

 

認識する間もなく全員をノックダウンさせてしまうとは。

 

「うん。結局こうなるわよね」

 

全員が圧倒的な力に我を忘れている中、唯一アンティリーネだけが正気を保ったまま、現在の状況を眺めていた。

 

手合わせとは名ばかりだ。

 

事実上の腹いせだった。

 

アンティリーネは小さくため息をつき、静かに彼のそばへ近づいた。

 

「もう。私が叱るって言ったじゃない」

 

「悪い。少し加減が効かなかった」

 

アンティリーネが優しく窘めると、カリムの中に残っていた怒りはすぐに解けた。

 

そして彼は、冗談めかして謝った。

 

考え直してみると、先ほどの自分はやり過ぎたような気がする。

 

彼らは単に、自分に願いを求めただけだった。

 

そして自分は、その願いを怒らずに断ればよかったのだ。

 

ここまで怒る必要はなかった。

 

元の表情に戻ったカリムは、この中で最も強そうに見える長い黒髪の男性に近づき、手を差し伸べた。

 

「悪かったな」

 

「あぁ……!」

 

神が先に近づき、先に手を差し伸べてくださる。

 

その事実に、第一席次は一瞬、感激の涙を流しそうになった。

 

第一席次は震える手でカリムの手を握り、ゆっくりと立ち上がる。

 

「まあ、しばらくは滞在する予定だから、学ぶ必要があったり、フィードバックが必要だったりするなら来いよ」

 

「……承知いたしました!」

 

カリムは軽く笑いながら彼を立たせ、背中を叩いた。

 

ただ、軽く頑張れという意味でそうしただけだった。

 

──もちろん、第一席次はまったく違う意味で受け取った。

 

直接応援までしてくださるとは。

 

今なら、あの怪物のような魔導国の軍団を相手にしても、持ちこたえられそうな気がした。

 

「お疲れ様、カリム。それじゃあ、ガイドしてあげるわ」

 

カリムと第一席次の会話が終わったのを確認すると、アンティリーネはカリムに声をかけた。

 

以前、法国ならガイドが可能だと言った自分の言葉を思い出し、今回こそ、彼があれほど望んでいた異世界のガイドをしてあげると言ったのだ。

 

その姿に、カリムは法国へ到着してから初めて豪快に笑った。

 

「ワハハハハ! そうかそうか。うちのアンティリーネがしてくれるなら、何でも大歓迎だ!」

 

それまでとはまったく異なる雰囲気に、その場にいた法国の人間たちは皆、少し驚いた表情を浮かべた。

 

特に第一席次は、過去に自分が記憶していた番外席次の姿とは百八十度違う姿だったため、なおさら驚くしかなかった。

 

私に勝てる男なら、その存在が人間でなくてもいい。

 

子供が生まれたら、どの程度だろうか。

 

確かに、あの言葉は、私は誰とも結婚しない、誰の子供も産まないという意味で言ったはずだった。

 

しかし、今の番外席次は、まるで神の子供を望んでいるように見えた。

 

心境の変化でもあったのだろうか。

 

それとも本当に、自分に勝った存在の子供を産みたかったのだろうか。

 

第一席次は少し複雑な心境で、聖殿の方へ歩いていく二人の後ろ姿を見つめた。

 

そして、しばらく深い考えに沈んだ。

 

────────────

 

「お、ここが、アンティリーネ。お前が過ごしていた場所か?」

 

アンティリーネの案内を受け、最初に到着した場所は、彼女が過ごしていたシクルサンテクスの聖殿だった。

 

魔導国のナザリックやバハルス帝国とは違った趣を持つ、かなり雄大で美しい雰囲気の場所だった。

 

それと同時に、宗教的な色がかなり強く感じられ、妙に不快な感覚もあった。

 

もちろん、アンティリーネがすぐそばにいたため、カリムは嫌な顔を見せたりはしなかった。

 

そのような行為は、彼女の存在そのものを否定することと同じだったからだ。

 

「うん。そして────ここが、私の寝室よ」

 

アンティリーネは、聖殿の内部をあちこちカリムに見せて回った。

 

五柱の神の装備が眠っている場所。

 

そのため、彼女は常にここで過ごしながら待機していた。

 

おかげで、聖殿の内部については隅々まで把握している。

 

少し大げさに言えば、目を閉じても歩き回れるほどだった。

 

「ほう」

 

聖殿の内部のほとんどを見て回った二人は、最後の場所として、アンティリーネが主に過ごしていた部屋へ向かった。

 

彼女は、自分の予想とは違って、熱心に耳を傾けながら見学するカリムのおかげで目を輝かせていた。

 

彼に、自分が知っている知識のほとんどを語った。

 

そしてそのまま、自分が過ごしていた寝室まで来ることになったのだ。

 

平凡に過ごしていた場所だった。

 

しかし、アンティリーネは妙に恥ずかしい感情を抱いた。

 

現在のこの状況は、恋人を自分の部屋に招いたのと同じだったからだ。

 

アンティリーネが少し恥ずかしそうな声で言うのを聞きながら、カリムは先ほどよりもさらに目を輝かせた。

 

恋人の部屋。

 

アンティリーネほどではないにせよ、経験が少なく初心者に近い彼にとって、それは新鮮な経験だった。

 

前の世界でも、こんな機会は滅多になかった。

 

──そして、これからもそんな経験はないと思っていた。

 

「こうなると分かっていたら、もっと早く来てみればよかったな」

 

ここまで楽しそうに浮かれている彼女の姿に、カリムは少し名残惜しい気持ちになった。

 

同時に、アンティリーネのおかげで、自分が完全に失っていた欠片を、少しずつ取り戻しているような気もした。

 

「────」

 

カリムは憂いに満ちた眼差しで、まるで過去を回想するような表情のまま、自分の部屋を見回しているアンティリーネを後ろからそっと抱きしめた。

 

瞬間的に感じた温もりに、アンティリーネは体を小さく震わせる。

 

だが、すぐに慣れたようにそのまま彼の胸へ寄りかかり、目を閉じた。

 

そして、過去の幸せだった出来事を思い浮かべながら。

 

これからの未来を、静かに夢見始めた。

 




本日もお読みいただき、誠にありがとうございます。
明日もまたお越しいただけますと幸いです。
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