We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

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We are Always Searching Happy Goal - 42

法国での旅を終え、二人はエ・ランテルへと戻った。

 

戻ってからは、これといった大きな事件もなく、時間は水のように流れていった。

 

月が替わり、季節が変わる。

 

天候がかなり肌寒くなったため、エ・ランテルの住民たちはもちろん、カリムとアンティリーネの服装にも小さな変化が生じていた。

 

軽かった服装は多少厚みを増し、時折、さらに暖かい服を探すようになった。

 

もちろん、最初からそうしていたわけではない。

 

これくらいの寒さなど何でもないと、アンティリーネが意気揚々と振る舞っていたところ、風邪気味になって手合わせを中断する事態が起きたりもしたのだ。

 

「だから、ちゃんと着込めって言ったのに」

 

「……ふん」

 

ごく当然のように、カリムはアンティリーネを暗にからかった。

 

アンティリーネはそんな彼の態度が少し気に入らず、唇を尖らせて無言の抗議を示す。

 

風邪を引きたくて引いたわけではないのに。

 

「ワハハハハ! 相変わらず、からかい甲斐があるな」

 

つんとした彼女の反応に、カリムはお構いなしに豪快に笑うだけだった。

 

そうして、あらかじめ準備しておいた外套を彼女に着せながら言う。

 

「まだ正確に決まったわけじゃないにしても、未来の嫁さんなんだから、そんなんじゃダメだろ!」

 

「もう、いいわよ」

 

甘い手つきで外套を着せてくれる彼を見て、アンティリーネはくすりと笑いながら答えた。

 

出会ってから一年近く経とうとしているのに、相変わらずな彼の姿。

 

その変わらなさに、今では安心感と温もりを覚えるようになっていた。

 

「うーん。それにしても──その、準備? 順調なの?」

 

「さあ、順調と言っていいのかどうか」

 

アンティリーネはカリムが渡してくれた外套を着ながら、彼に尋ねた。

 

法国から戻った後に話していた、結婚式の準備のことだった。

 

アンティリーネの言葉を聞いたカリムは、少し大げさな身振りをしながら答える。

 

圧倒的な能力と武力を持っている彼ではあったが、結婚というものはカリムにとっても完全に初めての経験だった。

 

そのため、初っ端から難関にぶつかっていたのだ。

 

費用は問題にならなかった。

 

事実上、無限に近い財力を持っているため、いくら金が出ていこうとも怖いものはない。

 

問題は、場所と時期だった。

 

そして何より、参列者についても大きく悩んでいた。

 

財力に任せて大げさにするつもりはない。

 

だが、あまりにも質素に済ませるのは、彼女に対する礼儀ではないような気がした。

 

時期に関しても、現在の法国と魔導国の状況が非常に悪い。

 

むやみに決行すれば、呼びたい参列者たちが来られない可能性もあった。

 

「そうなの?」

 

きっと彼なら、とても順調だ、非常に順調だ、などと豪快に言うと思っていた。

 

しかし、意外な答えが返ってきたため、アンティリーネは少し心配そうな表情でカリムを見つめた。

 

彼と一緒に過ごしてきて初めて見る、真剣で、自信のなさそうな目つきだった。

 

「意外ね。あなたにも自信がないことがあるなんて」

 

「まあね。結婚は一度も経験したことがないからさ」

 

「じゃあ、私が手伝えることはある? 一緒にやることなんだし」

 

アンティリーネは優しく微笑みながら言った。

 

結婚は彼女にとっても初めてだった。

 

だから、胸が高鳴る気持ちは彼と同じだった。

 

──もちろん、最初はそんな行事に興味などまったくなかった。

 

一般的に結婚とは、男女の一対が互いを愛し合い、結ばれる行為である。

 

そしてその果てに、自分たちの血を分けた、神の祝福とも言える子供を授かるもの。

 

ある程度成長した頃のアンティリーネは、そう考えていた。

 

そして同時に、それなら自分はなぜ生まれたのか。

 

そんな疑問を抱くようになっていた。

 

自分の両親は、互いを愛し合っていたのか。

 

まったく違う。

 

では、自分に愛を与えてくれたのか。

 

それも違う。

 

なら、彼らは親と呼ぶにふさわしかったのか。

 

やはり、まったく違った。

 

父親と呼ぶのも恥ずかしい存在。

 

そして、呼称だけが母親であった存在。

 

その間に、望まれぬ暴力と許されざる行為の果てに生まれた子供。

 

互いに愛し合った末に生まれたのではなく、嫌悪すべき行為によって生まれた異端児。

 

そもそも存在するはずもなく、存在してはならなかったはずの子供。

 

それが、自分だった。

 

本当に嫌悪すべきものだった。

 

自分の血統が。

 

この血が。

 

虐げるばかりの存在が、どうして母親なのか。

 

無責任に力だけを振りかざす存在が、どうして父親なのか。

 

思い出せば思い出すほど、平凡な幸せや結婚といったものから遠ざかっていった。

 

一生、縁などないだろうと思っていた。

 

誰かが自分に心からの救いをもたらしてくれる可能性などない。

 

そう思っていた。

 

「そうしてくれるとすごくありがたいけど! 大丈夫だよ、アンティリーネ。君が主役なんだからさ」

 

「ふふっ、分かったわ」

 

しかし、今は違う。

 

自分はいつの間にか、心から結婚式を待ち望んでいた。

 

結婚というものに、少しずつ近づいていた。

 

一年前までは、まったく考えもしなかった結果だった。

 

あの頃の自分に、今の出来事を話して聞かせたら。

 

果たして、あの時の自分はその言葉を信じるだろうか。

 

「私に勝てる男なら、そんな男と子供を作ったら、果たしてどんな子が生まれるのか」

 

いつか、第一席次に言った言葉を、人知れず再び呟きながら、アンティリーネは現在の自分をもう一度見つめた。

 

「もし、彼と子供を作ったら、どんな子が生まれるのだろう。そして私は、果たして彼らとは違う親になれるのだろうか」

 

子供が生まれたら、その子は男の子だろうか。

 

それとも女の子だろうか。

 

六大神以上の存在である彼と、神人である自分の間に子供が生まれたなら、その子の血統は果たしてどれほど凄まじいものになるのだろうか。

 

そして自分は、親とも呼べない存在たちよりも、うまく子供を育てることができるのだろうか。

 

不安でもあり、胸が高鳴りもした。

 

結婚はもちろん、育児もまた、初めてのことだったからだ。

 

男の子なら、冒険者として育てるのが良いだろうか。

 

女の子なら、どう育てればいいのだろうか。

 

「やっぱり、難しいな」

 

相変わらず真剣に悩む彼を見て、アンティリーネは幸せそうな表情を浮かべた。

 

そして、もし子供を育てていく中で困ったことが生じたら、いつでも彼に頼ってもいいのだろうと思った。

 

多少突飛な面はある。

 

だが、その分、何事にも真剣に取り組む彼なら。

 

きっと自分よりも、育児についても一生懸命考えてくれるはずだから。

 

時間は、ちょうど昼時になった頃だった。

 

真剣に悩み、苦労している彼のために、アンティリーネは先にデートへ誘った。

 

カリムは明るく笑い、彼女の提案を快く受け入れた。

 

───────────

 

「そうなの? いやあ、おめでとうございます」

 

「ハハ、ありがとうございます」

 

昼食を終えた後、カリムとアンティリーネはエ・ランテルの都心をあちこち見て回り、平和なデートを満喫していた。

 

依頼はなかったが、冒険者ギルドの建物に入り、他の冒険者たちの姿を見物したりもした。

 

子供を抱いて歩く親たちの姿を、密かに、注意深く観察したりもした。

 

果物屋の主人からは、お祝いの贈り物として、以前よりもさらに新鮮な果物をもらった。

 

服屋の主人からは、後で子供が生まれたら子供用の服を贈ってあげると、約束までしてもらった状態だった。

 

「────あ、それから、カリムさん。これ、頼まれていたもの」

 

「お? 毎回ありがとうございます」

 

前回の逆バニー事件以降。

 

服屋で買った凄い服のうち、逆バニーだけを除き、残りはすべてアンティリーネが気に入らないと言って燃やしてしまった。

 

その様子を、カリムは内心残念がりながら眺めるしかなかった。

 

本当に、よく似合っていただろうに。

 

カリムはそのことを服屋の主人に話し、それを聞いた服屋の主人も一緒になって残念がった。

 

そうして今回も、こっそりとまた別の凄い服たちを彼に渡したのだ。

 

「どうです? これくらいなら、いいでしょう?」

 

「ほう、いいですね」

 

服屋の主人は今回、二着の服をカリムに渡した。

 

カリムは妙に真剣な表情でそれを受け取り、こっそり自分のインベントリへしまい込む。

 

「また変なもの、買ったでしょ?」

 

「え?」

 

少し離れた場所で一人服を見ていたはずのアンティリーネが、いつの間にか彼らの近くに立っていた。

 

そして、少し不満げな顔で二人を睨みつけている。

 

「え、いや? ただちょっと平凡な────」

 

「おじさんも同じよ」

 

「あ、ハハ……」

 

アンティリーネはカリムと服屋の主人、二人をその場で問い詰めるように叱った。

 

彼女に叱られた二人は、ただ遠い山を見るような顔で、別のことを考えているふりをした。

 

「ふん、もういい。また変なものをプレゼントとして渡したら、覚悟してよね」

 

「な、何だって?! それなら、プレゼントじゃなくて、ただ渡せばいいってことだな!」

 

「それ、本気で言ってるの?」

 

呆れるほどのカリムの理屈に、アンティリーネは最初から期待などしていなかったと言わんばかりに、小さくため息をついた。

 

そして彼の腕を掴むと、そのまま無理やりカリムを引っ張って店から出ていく。

 

「そ、その、気を付けて帰りなよ、お嬢さん」

 

妙に笑いながら引きずられていくカリム。

 

そして、そんなカリムを無理やり引っ張っていくアンティリーネ。

 

その二人の姿を見ながら、服屋の主人は困ったような表情で見送るしかなかった。

 




本日もお読みいただき、誠にありがとうございます。
明日もまたお越しいただけますと幸いです。
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