We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

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We are Always Searching Happy Goal - 47

時間は絶えず流れていった。

 

カリムが慌ただしく準備を進める中、アンティリーネはそんな彼を見守りながら、時折一人で街へ下り、散歩を楽しんでいた。

 

結婚式の準備のため、当分の間、鍛錬や手合わせができないことは少し残念だった。

 

だがその分、結婚後にはさらに激しく鍛えるという彼の言葉に、妙な期待を抱いたりもしていた。

 

「おや、お嬢さん。一人だなんて珍しいね」

 

「うん。構ってくれないから、来てみたの」

 

「そりゃあ退屈だねえ。あ、日取りは決まったかい?」

 

「二日後よ」

 

散歩の途中、カリムと共によく訪れていた店へ立ち寄ることもあった。

 

そして自然な会話の流れで、結婚式の日取りを伝えた。

 

その知らせを聞いた人々は、次々と祝福の言葉をかけてくれた。

 

アンティリーネも、そのたびに以前と同じ柔らかな微笑みで応えた。

 

散歩を終えて家へ戻ると、相変わらず準備に追われているカリムへ近づき、街であった出来事を話して聞かせた。

 

そのたびにカリムは手を止め、彼女を抱き寄せたり、頭を撫でたりした。

 

正式に夫婦としての縁を結ぶ日まで、まだ少しだけ時間が残っている。

 

それでも二人の姿は、誰が見ても新婚夫婦そのものだった。

 

夜になっても同じだった。

 

二人は互いに寄り添い、言葉を交わしながら、これまで積み重ねてきた愛情を静かに確かめ合った。

 

「ついに、明日ね」

 

「ああ、そうだな」

 

その夜も、二人は明日の結婚式について語り合った。

 

期待と緊張を胸に抱いたまま、寄り添うようにして幸せな眠りへ落ちていった。

 

───────────

 

式を目前に控えた最後の夜が過ぎ、翌日。

 

ついに、二人の結婚式の日が訪れた。

 

普段より早く目を覚ましたアンティリーネは、家で簡単な身支度を済ませた後、カリムの主導によって建てられた式場へ向かった。

 

そして、その建物を目にした瞬間、驚きを隠せなくなった。

 

「派手すぎない?」

 

エ・ランテルの街並みはもちろん、この世界のどこを探しても、そう簡単には見つけられないような式場だった。

 

高級感と華やかさがありながらも、過度に威圧的ではない。

 

それでも、これをただ自分との結婚式のためだけに建てたのだと思うと、その規模に呆れたような笑みが漏れた。

 

「まさか、このために、あんなに頑張ってたの?」

 

「一生に一度のことじゃないか。ただ、してやりたかったんだ。まあ、俺が住んでいた場所の意匠と、この世界の様式を適度に混ぜてみたのさ。どうだ?」

 

「言ったでしょ。派手すぎるって」

 

カリムは屈託なく豪快に笑った。

 

アンティリーネもまた、そんな彼を見ながら、くすりと笑って答えた。

 

「さあ、それじゃあ中に入って準備しよう」

 

エ・ランテルで初めて家を構えた時と同じように。

 

カリムは自分の花嫁のために、式場の大きな扉を引いて開けた。

 

その姿に、アンティリーネもあの日のことを思い出す。

 

そして優しく微笑みながら、彼に導かれるように中へ入った。

 

式場の内部には、外観とはまた異なる、どこか見覚えのある意匠が広がっていた。

 

まるで、法国で過ごしていた聖殿の要素を、柔らかく穏やかな形へ作り直したようだった。

 

懐かしさを覚える雰囲気の中、アンティリーネは幼い頃の記憶の欠片を思い返しながら歩みを進めた。

 

やがて、式場内に用意された控室へ入る。

 

そこには、カリムがあらかじめ雇っていた介添人たちが待っていた。

 

彼女たちは誠心誠意、アンティリーネの準備を手伝ってくれた。

 

見慣れない道具や手順も多かった。

 

それでも悪い気はせず、アンティリーネは彼女たちの案内に従いながら、慣れない準備を一つずつ進めていった。

 

「いやあ、本当に美しいな」

 

途中、準備を終えたカリムが一度だけ控室へ顔を出した。

 

彼は装いを整えつつあるアンティリーネを見て、素直な感嘆の声を漏らす。

 

アンティリーネはその眼差しに頬を赤らめた。

 

もっとも、化粧のおかげで、カリムがその変化に気づくことはなかった。

 

「それじゃあ、俺は先に入場する。この人たちが合図をくれたら、その時に出ておいで」

 

そう言い残し、カリムは先に部屋を出ていった。

 

アンティリーネは介添人たちと共に、残りの準備を進めた。

 

ブライダル用のインナーを身につけ、髪や化粧もほとんど完成する。

 

後は、その上からウェディングドレス本体とベールを身につけるだけだった。

 

介添人たちは最後の衣装と小物を確認するため、いったん控室の外へ出ていった。

 

その直後。

 

式場の方から、魔法のベルが響いた。

 

本来は進行確認のための合図だった。

 

しかし、緊張のあまり説明を十分に聞き取れていなかったアンティリーネは、それを自分の入場を知らせる合図だと勘違いしてしまった。

 

本当に、こんな瞬間が来るなんて。

 

胸を高鳴らせながら、何度も深呼吸を繰り返す。

 

そして彼女は、ウェディングドレス本体をまだ身につけていないことにも気づかないまま、控室の扉を開けた。

 

自分がどれほど大きな間違いを犯したのかも知らずに。

 

────アンティリーネが緊張の中で準備を進めていた頃。

 

式場の中では、多くの参列者たちが、それぞれ異なる期待を抱きながら新郎と新婦の登場を待っていた。

 

当初、カリムは小規模な式を行うつもりだった。

 

エ・ランテルで親しくなった知人を数人招くだけの、ささやかな式。

 

だが、どういうわけか日が経つにつれ、規模は次第に大きくなっていった。

 

カリムが神官長たちや漆黒聖典の隊員たちの前で結婚を発表したことは事実だ。

 

そして、その知らせはいつの間にか法国全体へ広く知れ渡っていた。

 

神と神人の結婚。

 

法国の高位幹部たちや、カリムと直接面識を持つ漆黒聖典の隊員たちは、二人を祝福するために参列していた。

 

法国だけではない。

 

バハルス帝国からも、多くの者が訪れていた。

 

皇帝は一部の帝国四騎士と高位の者たちを伴って来場した。

 

その中には、カベイヌやニンブルの姿もあった。

 

正式に招待したわけではなかった。

 

それでも、祝福するために来た者をむやみに拒む必要はない。

 

カリムは彼らの姿を見ると、少し嬉しそうに迎え入れた。

 

そして、参列者の中で最も周囲を驚かせたのは、魔導国の者たちだった。

 

ナザリックの守護者統括であるアルベド。

 

階層守護者最強とされる真祖、シャルティア・ブラッドフォールン。

 

そして、世間ではヤルダバオトとして知られているデミウルゴス。

 

彼らは、カリムとアンティリーネの結婚式を直接確認すると言い、少数の随員だけを連れて式場を訪れていた。

 

カリムは彼らの訪問を快く思ってはいなかった。

 

だが、そもそもエ・ランテルは魔導国の首都である。

 

彼らを拒絶できる明確な理由もなかったため、仕方なく参列を認めるしかなかった。

 

さらに、思いがけない客も訪れていた。

 

白金の竜王、ツァインドルクス=ヴァイシオン。

 

魔導国との関係は極めて悪かった。

 

しかし、今回は複数の国家の代表が集まる場であるため、評議国の代表として訪れることができたのだという。

 

ただし、魔導国との摩擦が起こる可能性を避けるため、彼はカリムとアンティリーネに短く祝いを伝えただけで、式が始まる前にその場を去っていった。

 

各国から様々な者たちが集まったため、式場の中は本当に多くの人々で満たされていた。

 

全体としては和やかな雰囲気だった。

 

だが、法国と魔導国の者たちが顔を合わせた瞬間には、冷たい緊張が場を包むこともあった。

 

そのたびにデミウルゴスが先んじて自陣を制し、帝国の皇帝も場を収めるように言葉を添えた。

 

そのため、大きな衝突に発展することはなかった。

 

一時の騒ぎが収まると、厳粛で荘厳な雰囲気の中、式が始まった。

 

進行役を務めるのは、闇の神官長マクシミリアンだった。

 

簡単な紹介の後、まずはカリムが入場する。

 

魔導国の者たちは、その一挙一動を注意深く観察していた。

 

一方、法国の者たちは、神の威風堂々たる入場だと感じたのか、一斉に席を立ち、敬虔な態度で一礼した。

 

実際のカリムは、ごく普通に歩いて入場しただけだった。

 

その他の国々の参列者は、法国の者たちとは異なり、比較的穏当な反応を見せていた。

 

「さて、それでは次へ」

 

次は、この式のもう一人の主役。

 

新婦の入場だった。

 

闇の神官長は厳かな声で合図を送り、それに合わせるように、カリムが入ってきた扉が再び開かれた。

 

そしてそこには。

 

とてつもなく大胆な格好をした、一人のハーフエルフが立っていた。

 

緊張のあまり、介添人たちの説明を十分に理解できていなかったアンティリーネ。

 

彼女は、自分がその上から身につけるはずだったウェディングドレスを忘れ、カリムから渡されていた純白のブライダルインナー姿のまま、式場へ足を踏み入れてしまったのだ。

 

「────!!!!」

 

その瞬間。

 

式場の中は、息をする音さえ聞こえそうなほどの静寂に包まれた。

 

参列者たちは一斉に目を見開く。

 

目の前の光景が信じられないと言わんばかりに、驚きと戸惑いを隠せなかった。

 

真っ先に反応したのは、魔導国のアルベドとシャルティアだった。

 

二人は大きな衝撃を受けたような表情を浮かべる。

 

同時に、何か途方もない発想を得たかのような眼差しを見せていた。

 

特にシャルティアは、何か新しいことを学んだとでも言いたげに、小さな手帳を取り出して熱心に書き込み始めた。

 

次に、法国の者たち。

 

以前、アンティリーネが法国へ戻った時にも、その変化には驚かされた。

 

だが、今回の衝撃はそれ以上だった。

 

特に第一席次は、あまりの光景にしばらく言葉を失った。

 

女性の変化とは、これほどまでに予測不能なものなのか。

 

彼は信じられないものを見るような表情で、深い思考へ沈むしかなかった。

 

それでも、法国の者たちは概ね、彼女を番外席次・絶死絶命として見るのではなく。

 

一人の女性、アンティリーネとして。

 

その未来と幸福を、心から祝福しようとしていた。

 

帝国を含む他国の者たちもまた、彼女の大胆な姿に大きな衝撃を受けていた。

 

同時に、魔導国の文化は一体どこまで進んでいるのかと、見当違いの畏怖を抱く者までいた。

 

式場に集まった者たちの反応を見て。

 

アンティリーネはその時になってようやく、自分がどのような失敗を犯したのかに気づいた。

 

心の中で、今すぐ悲鳴を上げたかった。

 

しかし、ここで慌てたり、泣き出しそうな姿を見せたりすれば、状況はさらに滑稽なものになる。

 

取り返しがつかなくなるだけだった。

 

アンティリーネは辛うじて理性を保った。

 

そして、いっそ何事もなかったかのように振る舞うことを選んだ。

 

これは失敗などではない。

 

最初から意図して選んだ、型破りな花嫁の装いなのだ。

 

そう言わんばかりに、最大限堂々と。

 

背筋をまっすぐに伸ばし、壇上に立つカリムへ向かって歩き始めた。

 

壇上で彼女を待っていたカリムも、最初は目を大きく見開いた。

 

一瞬だけ、驚きを隠せなかった。

 

しかし、すぐに状況を理解する。

 

そして、堂々と歩み続けるアンティリーネの姿を見ると、思わず一度だけ豪快に笑った。

 

それは彼女を嘲る笑いではなかった。

 

この場に満ちた戸惑いを吹き飛ばし、彼女の選んだ態度を肯定するような笑いだった。

 

カリムは彼女に向かって腕を差し出した。

 

アンティリーネも何事もなかったかのように、その腕を取る。

 

二人は自然に寄り添い、共に壇上へ立った。

 

参列者たちのざわめきや囁き声は、しばらく続いていた。

 

だが、肝心の新郎と新婦があまりにも平然と、そして堂々と振る舞っていたため。

 

式は多少奇妙な雰囲気を残しつつも、どうにか無事に進められていった。

 

途中、アンティリーネは遠くから感じられる魔導国の者たちの気配に、一瞬だけ背筋が凍るような感覚を覚えた。

 

それでも、自分の隣にはカリムがいる。

 

その事実を確かめることで、彼女は恐怖を押し退けた。

 

──やがて、すべての式が終わった。

 

人々の祝福と歓声に包まれながら、アンティリーネはカリムと並んで立っていた。

 

その時、彼女は自分の過去の欠片と、改めて向き合った。

 

不幸な環境の中に生まれたにもかかわらず。

 

すべてを投げ出すことなく、今日まで耐えてきた過去の自分へ。

 

よく生きてきた。

 

よく耐えてくれた。

 

そう、別れを告げた。

 

そして、悪縁によって結ばれていた親という存在にも、最後の別れを告げる。

 

すでにこの世を去っているため、この場へ来ることはできない。

 

仮に生きていたとしても、参加する資格があったかは分からない。

 

それでも、自分という命をこの世へ生み出したこと。

 

その一点だけについては、もう憎しみだけで考える必要はないのかもしれない。

 

アンティリーネは込み上げる感情を抑えながら、隣にいるカリムを見上げた。

 

そして、彼のそばへそっと身を寄せ、静かに囁いた。

 

「本当に、本当にありがとう。あなたが私を救ってくれなかったら、私は今頃────想像するのも恐ろしいあの場所で、光を見ることもできず、苦痛の中で一生を終えていたはずよ」

 

言葉は途中で詰まった。

 

それ以上、うまく続けることができなかった。

 

それでも、涙を含んだ声と、彼女の全身から伝わる真心は、カリムに十分すぎるほど届いていた。

 

「だから、今みたいに……これからもずっと、私のそばにいてね」

 

アンティリーネの心からの言葉に、カリムは何も言わなかった。

 

ただ、彼女をこの世の何よりも大切なものとして扱うように、優しく抱きしめた。

 

それは、彼女があれほど望んでいた平凡な家庭の始まりだった。

 

そして同時に。

 

誰かに救われることだけを待ち続けていた人生の、終わりでもあった。

 




本日もお読みいただき、誠にありがとうございます。
明日もまたお越しいただけますと幸いです。
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