We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

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We are Always Searching Happy Goal - 5

「……あんた、結局徹夜したの?」

 

暗い夜が過ぎ、夜明けと共に太陽が少しずつ顔を出し始めた頃。

 

アンティリーネは目を覚ました。

 

もしかすると、これまでの出来事はすべて夢だったのではないか。

 

目眩がするほど疲弊していたせいで見た、ただの夢だったのではないか。

 

そんな不安が、ふと胸をよぎった。

 

あの怪物たちに尋問され、ありとあらゆる酷い目に遭わされ、全身を縛られたまま、牢獄の中で来るはずもない救いを待ち続ける。

 

そんな現実よりは、外で見張りをしている男と一緒にいる方が、遥かにましだったからだ。

 

まだ、彼を警戒している。

 

まだ、彼に心を開いたわけではない。

 

まだ、彼に寄りかかっているわけでもない。

 

それでも。

 

助け出してくれたことには、感謝している。

 

そう思いながらテントの外へ出ると、男は昨日とまったく同じ場所で見張りをしていた。

 

「よお、アンティリーネ。起きたか? 窮屈じゃなかったか?」

 

「……まあ、それなりに」

 

アンティリーネは昨日と同じように、少し離れた椅子に腰を下ろし、適当に相槌を打った。

 

「……名前はいつ教えてくれるわけ? 不便なのよ。こっちはあんたの名前を知らないんだから」

 

そうして昨日の出来事を思い出した彼女は、不満げに名前を教えるよう促した。

 

自分だけが名前を明かしたというのが、どうにも悔しかった。

 

それに、しばらくは一緒に行動しなければならないのに、相手の名前も知らないというのはおかしい。

 

何より、不便だった。

 

「またその話か? 後になれば全部教えてやるよ。今は、うーん……まだちょっと早いな」

 

「その『後』って、一体いつなのよ!」

 

今回も自分の名前を明かすことを先延ばしにされ、アンティリーネは少し寝ぼけた声で怒った。

 

一体いつまで名前を教えないつもりなのか。

 

そして、どんな理由があって教えないというのか。

 

「まあ、もう少し待ってくれって」

 

もちろん、男は彼女のそんな態度にも相変わらず笑みを崩さず、のらりくらりと答えた。

 

まるで子供をあしらうように。

 

その表情を見て、アンティリーネは呆れ果てた。

 

同時に、この男より力がないことが。

カロンの導きが今、自分の手元にないことが。

 

少しだけ悔しく思えた。

 

すると、男は突然気が変わったのか、彼女に一つの名前を告げた。

 

「……まあ、どうしても気になるなら。そうだな。とりあえずは『カリム』と呼んでくれ」

 

「とりあえずは? 偽名なの? それとも、私の絶死絶命みたいなコードネーム?」

 

「コードネームか。少し似てるかもな」

 

男の名を聞いたアンティリーネは、訝しげな表情で問い返した。

 

普通、名前を教えるならフルネームを教える。

 

それが嫌なら、姓か名のどちらかだけを教える。

 

それすら嫌なら、自分のようにコードネームのようなものを教える。

 

だが、目の前の男が口にしたものは、そのどれとも違う気がした。

 

何より、「とりあえずは」と言った。

 

それはつまり、適当に誤魔化した可能性もあるということだ。

 

「似てるって、何よそれ」

 

名前は聞けた。

 

だが、どうにも腑に落ちない。

 

アンティリーネは、必ず本当の名前を聞き出してみせるという一念で、さらに問い詰めた。

 

「うーん、これをどう説明したものかのう」

 

彼女の執拗な眼差しを受けても、カリムは相変わらず笑みを浮かべたままだった。

 

そして、わざとらしく老人のような口調を真似しながら言葉を続ける。

 

「魔導王の名前は知っているか?」

 

「アインズ・ウール・ゴウン」

 

「それじゃあ、六大神たちの名前は?」

 

「……六大神の名前。スルシャーナ……でも、それが何なの?」

 

自分は確かに、本当の名前を聞き出すために質問したはずだった。

 

それなのに、会話が進むにつれて、なぜか授業でも受けているような感覚になっていく。

 

これが一体、何の関係があるというのか。

 

アンティリーネは軽く眉をひそめ、首を傾げた。

 

「……ユグドラシル出身の奴らは、俺を含めてな。それが本当の名前ってわけじゃないんだ。そうだな。ある意味では、アンティリーネ、お前のコードネームである絶死絶命みたいなものだ」

 

「へえ」

 

初めてまともな説明が返ってきた。

 

そう感じたアンティリーネは、少し興味を覚えた様子でカリムの言葉に耳を傾ける。

 

──つまり、この男が教えてくれたカリムという名前は、私にとっての絶死絶命と同じようなもの。

 

そして、アインズ・ウール・ゴウンやスルシャーナも同じ概念で、本当の名前は別にあるということか。

 

「少し興味深いわね。なるほど、ある意味では当然なのかしら」

 

カリムの言葉について少し考え込んだ彼女は、今度は悪魔の例を思い浮かべた。

 

真名を知られると、悪魔にとっては大変なことになるのだとか、何とか。

 

だとすれば、神々にも似たようなものがあるのではないだろうか。

 

そう考えると、この男がずっと名前を明かさずに先延ばしにしていたのも、少しは理解できた。

 

──それでも、相変わらず少し腹立たしいことに変わりはなかったが。

 

「俺の本当の名前は、うーん。────いや、やっぱり後にしよう」

 

「……あっそ。お好きにどうぞ」

 

一度は決心がついたように見えた。

 

だが、カリムは本当の名前を告げようとして、結局また気が変わったらしい。

 

今回も教えなかった。

 

もちろん、アンティリーネは最初から期待などしていなかった。

 

どうせ今回も適当に誤魔化し、あれこれ理由を並べて逃げるのだろう。

 

まさに、その通りだった。

 

それでも、何の収穫もなかったわけではない。

 

コードネームとはいえ名前を聞くことはできた。

 

それに、神々について改めて考えるきっかけにもなった。

 

少しは。

 

本当に、ほんの少しは。

 

この男のことを、悪くないと思ってもいいのかもしれない。

 

「あ、そろそろ村の見物をしたいんだけど。美人な現地人さん! まだガイドする気はない?」

 

──やっぱり、とてつもなく腹の立つ男だ。

 

────────────

 

「ふぅ。結局、目的地も決められなかったな」

 

カリムはアンティリーネの隣のベッドに寝転がりながら、そうぼやいた。

 

現地人がガイドをするのが筋なのに。

 

美女が案内する異世界旅行が、出発早々きしみまくっている。

 

そんなよく分からないことばかり言いながら。

 

もちろん、アンティリーネもその言葉を聞くたびに、少し不快そうな素振りを見せながらぼやいた。

 

「……先にやろうって言ったのは、そっちだからね」

 

「ええい、そう言うなよ。俺はお前を牢獄から出してやったし、少し貧相だけど食い物もやった。寝る場所も用意してやったし、洗ってやったし」

 

「……誰かが聞いたら誤解するでしょ、本当に」

 

カリムの言ったことは、すべて事実ではあった。

 

牢獄から出してくれた。

 

衣食住のうち、衣服を除いた二つについては、彼のおかげで今すぐどうにかできる状態だった。

 

ただ、最後の一言だけは少し引っかかった。

 

確かに彼に助けられはした。

 

だが、あくまでボディソープやシャンプーといった、この世界では非常に珍しいものを借りただけだ。

 

体を洗ったのは、自分自身である。

 

「それでも、いい匂いだったけど」

 

アンティリーネは小さく呟いた。

 

──確かに、いい匂いだった。

 

普段彼女が使っているものと比べれば、間違いなく相当な高級品だろう。

 

「……あ、そういえば。見張りはしなくてもいいの?」

 

「結界を張っておいたから大丈夫だ。外からはこのテント自体が見えない」

 

「そう?」

 

──本当に、芸の多い男ね。

 

そういえば、見張りをしていたわけじゃなくて、やることがあると言っていた。

 

カリムの言葉を聞いたアンティリーネは、最初から大してしてはいなかった警戒をさらに緩め、眠りに落ちた。

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