We are Always Searching Happy Goal   作:Redemptor

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We are Always Searching Happy Goal - 55

カリムとアンティリーネの間に子供が生まれたという知らせは、瞬く間にエ・ランテル全体へ広まっていった。

 

道ですれ違う住民たちは、まるで自分たちのことのように喜んだ。

 

中には、祝いの言葉を伝えるため、二人の家を訪ねてくる者もいた。

 

そして、二人に抱かれた赤ん坊を見ると、その整った顔立ちや神秘的な特徴へ次々と感嘆の声を上げた。

 

「母親に似たんだろうね。男の子なのに、随分と綺麗な顔立ちだ」

 

「この子も、左右で目の色が違うのかい?」

 

「将来どんな姿になるかは分かりませんけど、今のところ奥様にそっくりですね」

 

人々から向けられる称賛に、アンティリーネは柔らかな笑みを浮かべながら答えた。

 

褒められているのは主にレオンだった。

 

それでも、母親である自分まで一緒に認められているような気がして、胸の奥へ誇らしい感情が広がっていった。

 

「確かに、顔が俺に似なくてよかったぜ!」

 

誇らしい気持ちになっていたのは、アンティリーネだけではない。

 

カリムもまた、住民たちの称賛を聞くたびに、満足そうな表情を浮かべていた。

 

この世界で初めて築いた、自分自身の家庭。

 

そして、初めて授かった子供。

 

自分自身が褒められることも、もちろん悪い気分ではない。

 

だが、自分の子供が褒められる喜びは、それとは比較にならなかった。

 

親になるとは、こういうものなのかもしれない。

 

カリムは、少しずつその感情を理解し始めていた。

 

「ぷにぷにしてて、不思議」

 

アンティリーネは胸に抱いた息子を見つめながら、その小さな頬へ軽く口づけた。

 

そして、レオンの小さな手をそっと握る。

 

手のひらへ伝わる温かな体温。

 

驚くほど柔らかな肌の感触。

 

目が合うと、何かを理解しているかのように返ってくる微笑み。

 

そのすべてが、たまらなく愛おしかった。

 

何よりも。

 

自分によく似た子供を見ていると、幼い頃の自分を目の前にしているような感覚があった。

 

それゆえに、レオンへ向ける感情は、さらに特別なものとなっていた。

 

「きゃあ」

 

レオンがアンティリーネの顔を見て笑う。

 

すると、アンティリーネもつられるように笑った。

 

太陽にも負けないほど明るく見える小さな笑顔へ、彼女は慈愛に満ちた微笑みを返す。

 

そのたびにレオンは腕の中で身をよじり、元気よく意味のない声を発した。

 

まだ赤ん坊であるため、言葉を話すことはできない。

 

それでも、その表情と声が幸福を表していることだけは、疑いようがなかった。

 

──私も、この子のように笑っていた時があったのだろうか。

 

自分によく似た息子を眺めながら、アンティリーネは再び過去へ思いを向けた。

 

たとえ望まれない形で生まれたのだとしても。

 

自分も、生まれたばかりの頃だけは、誰かの目に可愛らしい赤ん坊として映っていたのだろうか。

 

それとも。

 

自分の顔を見るたびに、両親は互いの姿や、忌まわしい過去を先に思い浮かべていたのだろうか。

 

今となっては、知る方法などない。

 

そして、どちらであったとしても。

 

もう確かめる必要はなかった。

 

一つだけ、確かな事実がある。

 

この子は、自分とは違う。

 

望まれないまま生まれた子供ではない。

 

カリムと自分が、心から望んで迎えた子供だ。

 

自分とは違い。

 

温かな家庭の中で、愛情に満ちた幼年期を過ごすことになる。

 

──私は、あなたたちとは必ず違う道を歩む。

 

アンティリーネは、レオンを抱きながら静かに決意した。

 

鍛錬を口実に、子供を傷つけることは絶対にしない。

 

力を求めるあまり、無理やり追い詰め、死地へ送り出すこともしない。

 

毎日、惜しむことなく愛情を注ぐ。

 

誕生日には、必ず家族で祝う。

 

意見が違ったとしても、レオンが自分で望む道を見つけたなら。

 

まず、その気持ちへ耳を傾ける。

 

必要なら道を開き。

 

迷っている時には、背中を押す。

 

そして、いつでも味方であり続ける。

 

それが、アンティリーネが思い描く母親の姿だった。

 

「うん。確かに可愛いな」

 

アンティリーネがレオンと触れ合いながら、過去と未来について考えていると。

 

いつの間にか近づいてきたカリムが、レオンの頬を優しく撫でた。

 

突然違う感触に触れられ、レオンは小さな目を丸くする。

 

そして、小さく柔らかな手でカリムの指を掴み、そのまま一生懸命に揺らした。

 

「ワハハハハ! いやあ、もう随分と力が強いな!」

 

「まだ赤ん坊よ」

 

「それでも、普通より強そうじゃないか?」

 

「あなたが言うと、本当にそう思えてくるから困るわね」

 

アンティリーネは、楽しそうに触れ合う父子の姿を見て、穏やかに笑った。

 

「ああ、それはそうと」

 

カリムはレオンに指を握らせたまま、アンティリーネへ尋ねた。

 

「アンティリーネ。身体の方は、もう大丈夫そうか?」

 

「え? 身体?」

 

一瞬、何を聞かれているのか分からず、アンティリーネは首を傾げた。

 

「ああ。もうほとんど平気よ。治療師からも、順調に回復しているって言われたけど。それがどうしたの?」

 

「そろそろ、また始めてみるかと思ってな。長い間できなかっただろ?」

 

「できなかったって、何が────」

 

カリムがどこか期待するような顔をしているのを見て、アンティリーネはしばらく考えた。

 

妊娠が分かってから出産するまで、ほぼ十ヶ月。

 

その間、夫婦として穏やかに触れ合うことは何度もあった。

 

だが、以前のように過ごせなかった時間も確かに存在する。

 

「もう?」

 

その可能性が頭をよぎった瞬間。

 

アンティリーネは、はっと目を見開いた。

 

しかし、すぐに別のことへ気づく。

 

止まっていたのは、それだけではない。

 

二人がほとんど毎日のように続けていた手合わせもまた、長い間中断していた。

 

「ああ。手合わせ……」

 

「なんだ。何を考えてたんだ?」

 

「な、何でもないわ」

 

突然驚いた表情を浮かべたアンティリーネを見て、カリムは不思議そうに尋ねた。

 

だが、彼女は少し顔を逸らし、何でもないと誤魔化した。

 

その反応から何となく察したのか。

 

カリムは小さく笑ったものの、深く追及することはなかった。

 

「まあ、長く休んでいたからな。いきなり前と同じようにやるつもりはないさ」

 

カリムは真面目な表情へ戻る。

 

「最初は、身体の動きを確かめる程度だ。ほとんど基礎からやり直すつもりで、少しずつ戻していけばいい」

 

「それから、今後はレオンのことも考えないとな」

 

「レオンの?」

 

「ああ。将来、こいつが戦士の道を選ぶ可能性もあるだろ?」

 

「それは、そうね」

 

カリムの言う通りだった。

 

手合わせを中断してから、およそ十ヶ月。

 

その期間は鍛錬もほとんど行わず、冒険者としての依頼や身体を使う仕事も、カリムへ任せていた。

 

アンティリーネの基礎性能や、それまで積み上げてきた実力が失われたわけではない。

 

それでも、身体の感覚が以前より鈍くなっている可能性は否定できなかった。

 

「子供に恥ずかしくない姿を見せないとね」

 

レオンが将来、戦士の道を選ぶのであれば。

 

最初に教える役目は、カリムより自分の方が向いているかもしれない。

 

カリムが戦士として最高の手本であることは間違いない。

 

しかし、それはある程度の基礎を持つ者にとっての話だ。

 

歩くことすらできない子供へ、最初からカリムの常識外れな動きを見せたところで、参考になるとは思えない。

 

むしろ、戦士の道へ進む前から、絶望させてしまう可能性すらあった。

 

もちろん、アンティリーネ自身も規格外の強者である。

 

それでもカリムと比べれば、力や速度を細かく調整しながら、基礎から段階的に教えることができるだろう。

 

「よし。それじゃあ────久しぶりに、上へ行ってみるか!」

 

久しぶりの日課。

 

アンティリーネの目に、懐かしさと期待が宿った。

 

二人は必要な準備を整えると、レオンと共にベースキャンプへ向かった。

 

───────────

 

「多少動きが鈍くなっているのは感じるが、それでも全く錆びついてはいないな、アンティリーネ」

 

二人は久しぶりにベースキャンプへ到着した。

 

カリムはまず、安全を確保した場所へテントを設置する。

 

さらに、複数の防護アイテムと警戒用の結界を展開した。

 

その中央へレオンを寝かせ、完全に眠ったことを確認する。

 

最初は、家へ寝かせてから二人だけで来る案も考えた。

 

しかし、魔導国や法国がレオンへ接触を試みる可能性を、完全に否定することはできない。

 

それならば、自分たちの手が届かない場所へ残すよりも。

 

すぐ近くで守れる場所へ連れてくる方が安全だった。

 

手合わせを行う場所は、テントから離れすぎない範囲に限定した。

 

誰かがレオンへ近づこうとすれば、必ず二人の視界か結界へ引っかかる。

 

外にいることだけを見れば、家より危険に思えるかもしれない。

 

だが、現在のベースキャンプは。

 

レオンにとって、世界で最も危険な二人に守られた、世界で最も安全な場所でもあった。

 

治療師から身体の回復に問題がないと確認されてはいた。

 

それでも、最初から激しい手合わせを行うつもりはなかった。

 

今日はあくまで、身体の状態と感覚を確かめるための軽い調整だった。

 

長く休んでいたため、アンティリーネの動きには僅かな鈍さがあった。

 

思った通りに身体が反応しない瞬間もある。

 

しかし、それも最初だけだった。

 

アンティリーネは自分の動きと現在の身体の状態を冷静に確認し。

 

短い時間の中で、変化した感覚へ適応していった。

 

無理に以前の動きを再現しようとはしない。

 

現在の身体で可能な、最適な重心と動き方を探す。

 

そうして少しずつ感覚を取り戻し。

 

最初の手合わせを、無事に終えることができた。

 

「一週間もあれば、ほとんど元に戻るだろうな」

 

手合わせ後。

 

二人はいつものように、内容について意見を交わしていた。

 

カリムの分析によれば、実力そのものが落ちたわけではない。

 

ただ、長期間動かなかったことで、感覚と反応が僅かに鈍っているだけだった。

 

それも、一週間ほど軽い鍛錬を続ければ、十分に取り戻せる。

 

むしろ、出産後の身体へ完全に適応すれば。

 

以前より僅かに成長する可能性すら感じられた。

 

「そう?」

 

自分の身体だからこそ、アンティリーネ自身にもよく分かっていた。

 

カリムが繰り返し強調してきた、基礎性能と実戦能力。

 

そのどちらも大きく失われていない。

 

それでも、十ヶ月近く休んでいたのだから、多少厳しい評価を受けると思っていた。

 

予想以上に肯定的な答えを聞き。

 

アンティリーネは、僅かに誇らしそうな笑みを浮かべた。

 

「ただし、まだ無理はするなよ」

 

「うん。そうしなきゃね」

 

レオンを産んでから、もうすぐ一ヶ月。

 

身体はほとんど回復していた。

 

それでも、急いで以前と同じ強度へ戻す必要はない。

 

今のアンティリーネには、守らなければならない自分以外の存在もいるのだから。

 

「あっ。レオンが起きたみたいだぞ」

 

フィードバックを続けていると。

 

テントの中から、レオンの小さな泣き声が聞こえてきた。

 

二人はほとんど同時に立ち上がり、急いでテントへ向かった。

 

アンティリーネは、目を覚ましたばかりのレオンを胸へ抱き上げ、優しく身体を揺らした。

 

「よしよし。お母さんはここにいるわよ」

 

慣れないながらも、できる限り優しく声をかける。

 

カリムも隣に立ち、一緒にレオンをあやした。

 

少し慌てているアンティリーネの姿を可愛らしいと思ったが。

 

今それを口にすれば、余計に彼女を困らせるだけだろう。

 

カリムは豪快に笑いたくなる気持ちを抑え、真面目に父親として手を貸した。

 

「お腹が空いて、起きたのかしら」

 

しばらくあやしても泣き止まないレオンを見て、アンティリーネは心配そうにカリムを見上げた。

 

手合わせの音で起こしてしまったのだろうか。

 

寝床が気に入らなかったのか。

 

それとも、単純に空腹なのか。

 

助けを求めるような彼女の眼差しに、カリムは優しく微笑んだ。

 

「そうかもしれないな。俺は少し外を見張っていようか?」

 

「あっ、う、うん────」

 

アンティリーネは反射的に頷きかけた。

 

しかし、すぐにカリムの服の裾を掴む。

 

「い、いや。その……傍にいて」

 

「もちろん」

 

カリムがすぐ近くに座ると、アンティリーネは少しだけ安心した表情を浮かべた。

 

そしてレオンを抱き直し、空腹を満たすための世話を始める。

 

すると、先ほどまでの泣き声が嘘のように小さくなり。

 

レオンは母親の腕の中で、再び穏やかな表情を取り戻した。

 

カリムは、その母子の姿を静かに見守った。

 

アンティリーネは、隣から向けられる温かな視線を僅かに意識したものの。

 

すぐに、腕の中のレオンへ意識を戻した。

 

この子を生んだ者として。

 

かつて自分を育てた者たちとは、まったく異なる感情で。

 

偽りのない愛情と慈しみを込めながら。

 

アンティリーネは、大切な息子を胸の中へ優しく抱き寄せた。

 




本日もお読みいただき、誠にありがとうございます。
明日もまたお越しいただけますと幸いです。
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