We are Always Searching Happy Goal 作:Redemptor
SIDE-H | カリムとアンティリーネの子供、レオンが生まれた後。
ついに、来るべき時が来た。
手元へ届けられた報告書を読んでいたアインズは、心の中で深い溜息を吐いた。
「ロリコン野郎め……結局、やらかしたか」
まだ、アルベドとシャルティアはこの事実を知らない。
だが、それも時間の問題だろう。
これから起こるであろうことを考えると、存在しないはずの胃が痛くなるような気がした。
やはり、何らかの対策をもう少し講じておくべきだったのかもしれない。
「奴の言葉や行動を真似るのも、そろそろ限界だしな……」
効果そのものは悪くなかった。
実際、命令を下した時には、以前よりも迅速かつ完璧に物事を処理するようになっていた。
彼女たちの成長も目覚ましい。
ただし。
良かったのは、そこまでだった。
日を追うごとに、彼女たちから向けられる愛情は激しさを増していた。
時には二人が一時的に手を組み。
部屋へ忍び込んだ後、ベッドの上で誘惑したり、自分を押し倒そうとしたりすることさえ、少しずつ増え始めていた。
それでも現在は、ワールドエネミーという大きな問題が現れたことで、どうにか一息つくことができている。
だが。
もし、そのワールドエネミーたちすらすべて撃退することになったなら。
大陸の外へまで進出し。
真に不敗の神話を築き。
世界の実権を握って君臨するようになったならば。
その時には、もはや使える言い訳など残っていないだろう。
いっそのこと、同じプレイヤーであるあのロリコン野郎ごと排除してしまおうか。
そんな考えが頭をよぎったこともある。
だが、約三年間にわたってカリムを見てきた限り。
彼には魔導国やナザリックへ敵対する意思など、ほとんど見られなかった。
それどころか、大陸外の世界を征服するために魔導国が戦争を起こしたとしても。
本人は大して気に留めないような男だった。
「いつまでも、避け続けるわけにもいかないが……」
いつになるにせよ。
いずれは彼女たちの想いへ、何らかの形で応えてやらなければならない。
自分にとっては、子供のような存在だ。
だからこそ。
逃げ続けるだけでは、彼女たちの心を傷つけることになる。
魔導国とナザリックはもちろん。
自分の大切な子供たちが悲しんだり、不幸になったりすることも。
あってはならない。
「──デミウルゴスか」
様々な考えを整理していた、その時。
扉を叩く音が聞こえた。
許可を出すと、デミウルゴスが丁重な態度で室内へ入ってきた。
「はい、アインズ様」
デミウルゴスは新たな報告書を差し出すと、今後の計画について説明を始めた。
「あの者と、ハーフエルフとの間に生まれた子供についてでございます」
アインズは黙って続きを促した。
「未だサンプルが不足しているため、確実な結論を出すには至っておりません」
「しかし、プレイヤーとプレイヤーの末裔との間に子供が生まれた場合、非常に高い確率で、プレイヤーに近い潜在能力を持つ存在が生まれるものと考えられます」
デミウルゴスは淡々と報告を続けた。
「また、確率こそ高くありませんが、純血種とハーフエルフとの間から、ハーフエルフに近い特徴を持つ子供が生まれる可能性も確認できます」
「────そして、その子供が成長した場合」
デミウルゴスは、一度言葉を区切った。
「意図的にアウラ、マーレと接触させることも、計画の一つとして考えております」
「アウラと、マーレを……」
報告を聞いていたアインズは。
デミウルゴスの最後の言葉に興味を持ち、穏やかな声で繰り返した。
一体、どのような意図があるのだろうか。
「もちろん、この計画は、以前アインズ様がなされたことの延長線上にございます」
デミウルゴスは続けた。
「それに、上手くいけば、あの者が有する能力についても探ることができるかもしれません」
「なるほど。そうか」
さすがはデミウルゴス。
そこまで考えていたとは。
アインズは満足そうな声で答えた。
意図的に接触させ。
友人となる。
そして、友人から頼み事をされたなら、それを聞いてやる。
そういうことなのだろう。
「よし。それならば────」
アインズは小さく頷いた。
「しばらく、見守るとしよう」
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