「あっ、ショウタ!おかえりデス!」
「いや、水飲んできただけだし。てか、姉貴着替えなよ。多分、部屋着でしょ?」
「ン?着替えオワッテマスヨ?」
「はっ!?それで外出る気!?ちょっと待ってて!!」
ドタドタドタ
ドタドタドタ
「姉貴このパーカー着て!」
「ありがとうゴザイマス!むぅ……、このパーカーちょっと胸のあたりがきついのデス……。」
「今日は我慢して、なんで女の人ってへそとか肩とか出そうとかするのかなぁ、恥ずかしくないの?」
「ショウタと一緒にいますカラ!それに、成長したオネエチャンをイッパイ見てほしいんデス!」
「恥ずかしいからやめて……!」
「ショウタ…?」
「つつかないで…!ほら!早く行くよ!」
「ハーイ!ワカリマシタ!」
ガチャリ……
「一緒に出かけるのも久しぶりだな」
「ハイッ!子供の頃ぶりデス!」
「俺も懐かしいよ。あの頃はどこへ行くにも姉貴とだった。手をつないで走り回ったよな。」
「エエ、ショウタはよく転んで泣いてマシタ!」
「それは、姉貴の足が速いからだろ……」
「ショウタ……手、つなぎマセンカ?」
「いいよ。ただ、また転ぶことになるのは勘弁な」
「ノープロブレム!安心してクダサイ!ちゃんと歩きますカラ!」
「そっかそっか、それは安心だ」
大人になった姉貴の手は温かかった。
いや、違うか。
昔は手を繋ぐときはいつも泣いてる姉貴を励ますためだった。だから、昔の姉貴の手はいつも冷たかったんだ。
「どうかしましたか、ショウタ?なんだかボーッとしてマス。」
「ん?ああ、ごめん。少し昔のことを考えてた。ほら、あの公園とか」
「オ〜!懐かしいデス!あの頃は遊ぶたびにケガしてマシタ!デモ、昔よりちっちゃくなりマシタ?」
学校では元気のない姉貴も俺といっしょに遊ぶときにはケガするくらい楽しんでくれてたな……。
「ブランコとかがちっさくなったんじゃなくて、俺たちが成長してでかくなったんだよ。ブランコから落っこちて泣いたりしてたよね。」
「それは子供のときだったからデス!今のワタシは大人ですからもう泣きマセン!」
「どうだかな。今も泣いちゃうんじゃないの?」
「泣きマセン!!」
「フッ……泣き虫が治ったみたいでよかったよ。」
アメリカではいじめにはあわなかっただろうか。
アメリカでは友達はできたのだろうか。
ちゃんと心から笑えているのだろうか。
「なあ、姉貴。アメリカではいじめられなかったか?」
「ノープロブレム!大丈夫デス!アメリカでは、青い目も変じゃありません!それに、ワタシ…英語上手なんデスヨ?」
そうか、それならよかった。姉貴が幸せならそれで。
ん?あの木は……
「あっ!見てくださいショウタ!とっても懐かしいです!」
「懐かしいな、でも姉貴は見てて大丈夫なのか?」
「大丈夫です!昔の私とは変わりましたから!」
「そうか、ほんとに大人になったんだな…」
あそこは、姉貴がいじめられていた場所。
いじめてたのは高学年の奴らだった。
髪が金色だからって、目が青いからって……
家族をいじめる奴が、ただ許せなかった。それだけだ
「イイエ、ショウタは優しいデスヨ。だって、ワタシを助けてくれマシタ!だから、ショウタはワタシのヒーローです!」
「えっ、俺口に出してたか?」
「ただの勘デス!だって、お姉ちゃんデスカラ!」
「姉貴にはかなわないな……。おっと、そろそろ商店街に着くな。
けっこう久しぶりに会うけど姉貴はおばちゃんのこと覚えてる?」
「バッチリデス!あの〜……たしか〜……え〜っと……ナンでしたっけ?」
「えっ、マジで覚えてないの?八百屋のばっちゃんだよ。
小さい頃によく行ったあのばっちゃんだよ。」
「アッ!思い出しマシタ!よくオレンジをもらってたところデスネ!」
「正解っ!せっかく帰ってきたんだし、元気な姿見せよーぜ!」
「ハイ!楽しみデス!」