四月の夕暮れは、まだ少し肌寒い。
月見台小学校の裏山へ続く坂道を、#[[rb:兔谷> ウガイ]]#朔夜は竹弓を肩に担ぎながら歩いていた。
今日は珍しく午前で授業が終わり、そのまま道場へ向かったのだ。春の大会が近いせいか、師範の稽古もいつもより厳しかった。
「……肩、痛」
ぐるりと腕を回す。
弦を引き続けた右肩がじんわり熱い。
空はすでに藍色へ変わり始めていた。住宅街から少し離れた裏山は、人の気配が薄い。風が木々を揺らし、ざわりと葉擦れが鳴る。
朔夜は足を止めた。
「……あれ?」
木立の奥。
ぽつん、と。
そこだけ切り取られたみたいに、“ドア”が立っていた。
誰かの家の扉のようでもあり、そうではないようにも見える。
黒。
艶のない、深い黒。
その表面には、金色で細かな模様が刻まれていた。
円を描く線。
細い飾り。
そして中央には――月。
「……何これ」
思わず近づく。
触れようとして、手を止めた。嫌な感じはしない。
でも、妙だった。
裏山の地面に、扉だけが立っている。
壁も何もないのに。
「……ドラえもんの道具?」
真っ先に浮かんだのが、それだった。
最近も空き地で、“空飛ぶじゅうたんで配達屋をやる”だの、“雲を育てる”だの、妙な騒ぎをしていた。
#朔夜はため息をつく。
「また変なことしてるなぁ……」
そう呟いて、踵を返した。
◇
「だからさぁ! ぼくだって本気出せばできるんだよ!」
いつもの空き地。
案の定、騒がしかった。
「はいはい、また始まった」
「のび太の“本気”なんて三分もたないだろ」
スネ夫が肩をすくめ、ジャイアンが豪快に笑う。
「そんな言い方したらかわいそうよ」
しずかが困ったように眉を下げた。
「でもほんとなんだって! もし秘密道具があれば――」
「またドラえもん頼みかよ!」
がはは、とジャイアンが笑う。朔夜は少し離れた場所で、その様子を眺めていた。
(……いつも通りだな)
平和すぎる。
騒がしいけど。
でも、だからこそ少し安心する。
「何の話?」
#朔夜が近づくと、のび太が「あっ」と顔を上げた。
「#朔夜! 聞いてよ、ジャイアンたちが――」
「おーい、のび太ぁ!」
そこへ、丸い青い影が走ってくる。
ドラえもんだった。
「大変なんだよ! さっき出した道具が見つからなくて――」
言いながら止まり、#朔夜を見る。
「あれ? #朔夜くん来てたんだ」
「ちょうどよかった。ちょっと聞きたいことある」
「?」
#朔夜は腕を組み、少し真面目な顔になる。
「裏山に変なドアあったんだけど。ドラえもんの?」
一瞬。
ドラえもんの表情が止まった。
「……ドア?」
「黒いやつ。金色で月の模様ついてた」
「黒……?」
ドラえもんは首を傾げる。
「ぼく、そんな道具出してないよ?」
「え」
空気が少しだけ変わった。
スネ夫が顔をしかめる。
「なにそれ、不気味じゃない?」
「誰かが置いたんじゃねーの?」
ジャイアンは気楽そうに言うが、しずかは不安げだった。
「でも、裏山に扉だけって変じゃない?」
#朔夜は小さく息を吐く。
「……やっぱドラえもんじゃないんだ」
「気になるなぁ」
ドラえもんは顎に手を当てた。
「とりあえず見に行こう!」
「えぇ〜!?」
のび太が青ざめる。
「夜の裏山ぁ?」
「のび太さん、怖いんですか?」
しずかがくすっと笑う。
「う、うるさいなぁ!」
「じゃ、決まりだね」
ドラえもんはポケットへ手を突っ込み、
「タケコプター!」
小さなプロペラを取り出した。
◇◇
夜風を切って、一同は裏山へ向かう。
住宅街の灯りが遠ざかり、森の影が濃くなる。
「……あった」
先頭を飛んでいた#朔夜が指差した。木々の間。
黒い扉は、最初に見た時と同じように静かに立っていた。
「うわぁ……」
スネ夫が声を漏らす。
「ほんとにドアだ……」
しずかが呟く。ドラえもんはゆっくり降り立ち、慎重に近づいた。
「どこでもドアに似てるけど……違う」
表面を見つめる。
黒地に刻まれた金の装飾。
中心に描かれた、細い三日月。
「きれい……」
しずかが思わずそう零した。
「この月の模様、なんだか――」
その瞬間だった。
――ギィ。
誰も触れていないはずの扉が、ひとりでに開いた。
「っ!?」
のび太が悲鳴を上げる。
扉の隙間から、白い光が溢れ出した。
眩しいほどの光。
なのに冷たい。
風が吹く。
違う。
“向こう側”から何かが流れ込んできている。
#朔夜は目を細めた。
その光の奥。
一瞬だけ。
誰かの影が見えた気がした――。
質問どんと来い!です。文章作成自体はチャッピー(チャットGPT)ですが、プロットを書いているのは私なので。