ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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魑魅魍魎の意味を調べてみてください。これはヒントです。


#第十一話 予言が刻まれた日

22世紀。

白い照明に満たされた巨大ホールには、異様な緊張が漂っていた。

無数のカメラ。

飛び交うフラッシュ。

ざわめく報道陣。

その中央に立つのは、タイムパトロール本部長官だった。

「……繰り返します」

長官の声は重い。

「現在、タイムパトロール管理下にある歴史犯罪者データベースと、実際の収監記録に重大な齟齬が確認されています」

モニターが切り替わる。

映し出されたのは、複数の犯罪者ファイル。

しかし、その多くには――。

[chapter:【DATA LOST】]

赤い警告表示。会場がざわつく。

「データ破損ではありません」

長官は険しい顔で続けた。

「該当人物の記録そのものが、“最初から存在しなかった”形へ改変されています」

どよめき。

記者の一人が立ち上がった。

「それはつまり……歴史改変ですか!?」

「現在調査中です」

「脱獄では?」

「違います」

長官は即答した。

「脱獄ならば痕跡が残る。しかし今回は――」

一拍。

「“収監した記録”だけが消えている」

空気が凍る。

別の記者が叫ぶ。

「タイムパトロールが把握できない歴史改変が起きていると!?」

返答はなかった。

ただ。

長官の沈黙そのものが、答えだった。

[newpage]

«とあるニュース番組»

『――では次のニュースです』

テレビキャスターは、どこか興奮した様子で原稿を読み上げていた。

『現在SNSを中心に、大きな話題となっている映像があります』

画面が切り替わる。

映し出されたのは、薄暗い牛舎。

手ブレしたスマホ映像。

そして。

藁の上に横たわる、一頭の子牛。

だが。

普通ではなかった。

その顔は――人間だった。

「…………」

テレビ前の視聴者達が息を呑む。

映像の向こうで、誰かが怯えた声を漏らした。

『お、おい……撮れてるか……?』

次の瞬間。

子牛の瞳が、ゆっくりカメラを見た。

そして。

“喋った”。

[newpage]

[chapter:蘇りし かの者は]

[chapter:数多の 魑魅魍魎を 従えん]

[chapter:大いなる闇には 大いなる光を 照らせ]

[chapter:チカラを持つ者]

[chapter:今、ここに集らんことを]

[chapter:さすれば、セカイは救われるだろう]

[newpage]

ブツッ。

映像が途切れた。

数秒。

スタジオは沈黙した。

 

 

東京都内。

マンションの一室。

テレビの光だけが、薄暗い部屋を照らしていた。

「……なに、これ」

少女は不安げに呟く。

スマホ画面には、同じ映像。

SNSのタイムラインが猛烈な速度で流れていた。

 

【#予言の子牛】

【#世界の終わり】

【#合成じゃないのか】

【#怖すぎ】

【#鬼太郎案件】

 

次々増えていく投稿。

憶測。

デマ。

恐怖。

興奮。

世界中がざわついていた。

その時。

「まなー! ご飯よー!」

リビングから母親の声が響く。

「……あ、はーい!」

犬山まな は慌てて返事をした。

スマホを握ったまま立ち上がる。

だが。

部屋を出る直前。

まなはもう一度だけ、画面を見た。

そこには新しい投稿が表示されていた。

【世界中で“黒い扉”の目撃情報】

まなの表情が、強張る。

[newpage]

«閻魔殿・大書庫»

薄暗い書庫の中。

大量の巻物と古書が並ぶ空間で、二つの小さな影が慌ただしく飛び回っていた。

「ライちゃん!!」

「分かってるフウちゃん!!」

風神 と 雷神 。

風神雷神の双子は、青ざめた顔で巨大な予言書を見上げていた。

開かれたページ。

そこへ、新しい文字が浮かび上がっていく。

まるで。

“今この瞬間”、誰かが書き込んでいるみたいに。

[chapter:黒き門、セカイをつなぎ――]

[chapter:災厄は[[rb:境界 > セカイ]]を超える]

[chapter:チカラあるもの、集結せよ]

[chapter:さもなくば]

そこで文字が止まる。

ページが震える。

そして最後に。

血のような赤色で、たった一文が刻まれた。

[chapter:王ですら、[[rb:終焉 > ホウカイ]]を止められぬ]

 

「っ……!」

ライちゃんが息を呑む。

フウちゃんは震える声で言った。

「これ……ヤバいやつだよね?」

「ヤバいやつだ!!」

二人は同時に叫んだ。

次の瞬間。

ばたばたと書庫を飛び出していく。

「カイラ様に報告だー!!」

「急げ急げー!!」

その背後で。

予言書のページだけが、静かに揺れていた。

まるで。

“誰か”が笑っているように。

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