ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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いっつも思っていたんです。なぜのび太達は冒険後に怒られないのか。盛り上がりを下げない為だとは分かってはいるのですが…そんな疑問をそのままプロット出ししてみました。


#第十三話 怒られたのは自分だけ!?

夜。

月見台の住宅街は、静かだった。

街灯の明かり。

遠くで鳴く犬の声。

春夜の少し冷たい風。

「……よし」

#朔夜は家の塀を乗り越え、小さく息を吐いた。

窓の明かりは少ない。

多分、もう家族は寝ている。

(いける)

そう判断し、そっと二階の自室へ向かおうとした――その時。

「#朔夜」

背後から、鋭い声。

びくり、と肩が跳ねた。

ゆっくり振り返る。

そこにいたのは。

腕を組み、仁王立ちする母だった。

[newpage]

「どこに行ってたの!」

「…………」

終わった。

本能的に理解した。

#朔夜は一瞬だけ現実逃避しかけたが、無理だった。

母の圧が強い。

「え、えっと……」

視線が泳ぐ。

いや、嘘はまずい。

でも本当のことももっとまずい。

「ドラえもん達と遊んでた……?」

最後が若干疑問形になった。

自分でも怪しいと思う。

だが、嘘ではない。嘘では。

「それなら――」

母が一瞬だけ納得しかける。

しかし次の瞬間。

「って騙されないわよ!!」

やっぱり駄目だった。

「うっ」

正論。

何も言い返せない。

「スマホも繋がらないし! 警察呼ぶ寸前だったんだからね!?」

「ご、ごめんなさい……」

完全に縮こまる。

その時。

「まぁまぁ」

助け舟が入った。父だった。

新聞片手に、どこか呑気な顔をしている。

「そういう年頃なんだよ」

「あなたは甘いの!」

「でも無事だったんだし」

父は苦笑しながら#朔夜を見た。

「な?」

「……うん」

全力で頷いた。

[newpage]

「ほら、とりあえず今日はもう寝なさい」

「はい!」

#朔夜は即答し、そのまま二階へ逃げ出した。

階段を上がる。

逃げる。

一秒でも早く安全圏へ。

その途中。

すれ違いざまに、父が小さく呟いた。

「遊ぶのはいいけど、夜遊びはほどほどにね」

「…………」

やっぱり全部バレていたらしい。

[newpage]

自室へ飛び込み、ベッドへ倒れ込む。

「やらかした〜……」

枕へ顔を埋めた。

まさか異星冒険の後に、現実で怒られるとは思わなかった。

しかも。

(ブリザーガより怖かったかも)

いや、さすがにそれは盛った。

少しだけ反省する。

そして、スマホを取り出した。

通知が大量に溜まっている。

【グループ:異世界交流会(仮)】

アキノリが勝手につけた名前だった。

「ダサ……」

でも変えるほどでもない。

#朔夜はトーク画面を開いた。

[newpage]

【ケータ】

『無事帰れたー?』

 

【のび太】

『ぼくめちゃくちゃ眠い……』

 

【アキノリ】

『ジャイアンリサイタル第二部開催決定!!』

 

【トウマ】

『やめて』

 

【ナツメ】

『やめなさい』

 

【ジャイアン】

『なんでだよ!!』

 

カオスだった。

でも。

ちゃんと繋がっている。#朔夜は少しだけ安心する。

(……よかった)

世界が違っても、ちゃんと連絡は届くらしい。

[newpage]

ちなみに。

ドラえもん達は、特に怒られなかったらしい。

『いつものことだから』とのことだった。

「慣れって怖……」

ことあるごとに未来だの宇宙だの行っているせいか、親御さん達の感覚が若干麻痺している気がする。

ナツメ達も平気だった。

まぁ。

ナツメ。

トウマ。

アキノリ。

全員中学生だ。

多少遅くなっても、そこまで問題視されないのかもしれない。

……いや。

ひとりだけ、おかしい。

【ケータ】

『オレも怒られなかった!』

 

「なんで?」

思わず真顔になる。

ケータは自分とそこまで年齢が変わらないはずだ。

なのに。

なぜ。まさか。

ドラえもん達と同じで、冒険のし過ぎて親御さんが鈍感になっているのだろうか。

[newpage]

つまり。

今回ちゃんと怒られたのは、自分だけだった。

「理不尽じゃない……?」

ベッドへ倒れ込みながら呟く。

スマホが震えた。

 

【しずか】

『でも、ちゃんと帰れてよかったね』

その一文に、少しだけ肩の力が抜けた。

窓の外では、春の夜風が静かに吹いている。

平和な夜。

――少なくとも、今はまだ。

 

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