ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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やっと、一年目終わったァ!
次でちょっと出した情報をまとめようかなと。
また、サンタの『気の合わないヤツ』とは、ブラックサンタです。ます。なまはげと何が違うんだろう。
[ブラックサンタ]
悪い行いをした子供に罰を与える存在。炭や、動物の臓物を置いて去るのだとか。もっとひどい場合には、連れ去られます。その麻袋に入れられて。まぁ、いろいろ所説あるので、調べてみてはどうでしょうか?


#百六十四話

暴走していた気象制御装置が停止し、町を覆っていた猛吹雪は、次第に穏やかな雪へ変わっていった。

有星神社の境内には、雪の上へ座り込む者、呆然と空を見上げる者、目の前の老人を何度も見直す者がいた。

赤と白の服。

長く伸びた白い髭。

大きな袋と、赤鼻のトナカイが引くソリ。

どう見ても、絵本に描かれているサンタクロースそのものだった。

「本物の……サンタさん?」

のび太が恐る恐る尋ねる。

老人は白い髭を撫で、腹を揺らして笑った。

「さて、どうかのう?」

「ここまで来て、まだごまかすのかよ!」

スネ夫が思わず声を上げる。

先ほどまでサンタクロースの存在を否定していた彼も、目の前の光景を説明できずにいた。

サンタは雪に埋もれた町を見回した。

「この大雪では、今夜の配達に遅れが出そうじゃ」

「……俺のせいだ」

ジャイアンが肩を落とす。

壊れたつまみは、まだ手の中に握られていた。

「俺が機械を壊したから……」

「反省しておるなら、働いて埋め合わせればよい」

サンタは豪快に笑う。

「今夜の配達を、君たちにも手伝ってもらおうかのう!」

「僕も!?」

ケースケが、自分を指差した。

「僕、姉ちゃんについてきただけなんだけど!」

「ここまで来たら、もう諦めた方がいいと思う」

ナツメが静かに答える。

「姉ちゃん、毎回こうなの!?」

「今日はまだ平和な方かな」

「これで!?」

ケースケの叫びが、雪の残る境内へ響いた。

[newpage]

配達の準備を始めようとした時、のび太が何かを思い出した。

「あの、サンタさん」

「何じゃ?」

「僕たち、さっき魔法でサンタさんを呼ぼうとしたんだ」

サンタが不思議そうに眉を上げる。

「わしを?」

「うん。アニエスさんが魔法陣を作って、もう少しで何か出てきそうだったんだよ」

「あと少しだったのよ」

アニエスも口を挟む。

「赤い光が集まって、人の形になりかけていたわ」

のび太はサンタを見上げた。

「どうして応えてくれなかったの?」

サンタはしばらく考えたあと、ゆっくりと首を横へ振った。

「呼ばれた覚えはないのう」

「えっ?」

のび太だけでなく、アニエスも目を見開いた。

「でも、魔法陣には確かに反応があったのよ!」

「だから言っただろう」

アデルが険しい表情で魔術書を見る。

「あの術式は、サンタクロース本人を指定するものではなかった。聖夜に贈り物を運ぶ力へ、無差別に接続しようとしていたんだ」

「無差別って……」

ケースケが顔を引きつらせた。

サンタは髭へ手を当て、空を見上げる。

「そういえば、先ほど異様な気配を感じたの」

先ほどまでの陽気な声が、僅かに低くなった。

「わしとは気の合わない奴が近くを通ったのかと思ったが……どうやら違ったようじゃ」

アデルの顔が強張る。

サンタは何かを思い出すように目を細めた。

「あれはもっと、異界の……」

そこまで言うと、サンタは口を閉じた。

周囲には、まだ状況を理解できていない子どもたちもいる。

サンタは再び笑顔を浮かべた。

「なんにせよ、運が良かったのう」

「何が出てくるところだったの?」

アニエスが尋ねる。

「知らん方がよいこともある」

サンタはそれ以上答えず、大きな袋を肩へ担ぎ直した。

アデルだけは、消えた魔法陣を見つめたままだった。

[newpage]

サンタは一同へ、今夜の配達方法を説明した。

世界中のすべての家を、一人だけで回っているわけではない。

地域ごとに協力者がおり、魔法の通路や転送地点を使ってプレゼントを運んでいるという。

「この町の周辺だけでも手伝ってもらえれば、遅れを取り戻せるじゃろう」

「世界中じゃなくてよかった……」

ケースケが胸を撫で下ろす。

「終わり次第、ほかの地域も頼むかもしれんがのう」

「終わらないやつじゃん!」

サンタが袋へ手を入れると、底が見えないほど深い内部から、一つの包みが浮かび上がった。

イナホは目を輝かせる。

「やはり四次元収納技術です!」

「魔法じゃないかと思うダニ」

「内部を観測させてもらえませんか!?」

「駄目じゃ」

即答だった。

イナホは肩を落としたが、すぐに観測機器を取り出した。

サンタは一同を複数の班へ分ける。

ドラえもんと美夜子は地図と経路の確認。

アニエスとアデルは飛行魔法で、高い建物や雪に閉ざされた場所を担当する。

ジャイアン、アキノリ、ケータは大きな荷物と雪かき。

スネ夫とケースケは住所と包みの整理。

ナツメ、トウマ、しずか、まな、朔夜は、家の中へ静かにプレゼントを届ける役目になった。

「僕も家の中に入るの?」

#朔夜が尋ねる。

「おぬしは音や気配に敏いようじゃからのう。誰かが目を覚ましそうになったら、仲間へ知らせてくれ」

「そのための能力じゃないんですけど……」

「サンタ向きなんじゃない?」

まなが笑った。

フー子はソリの周りを元気よく飛び、風で雪を払い始める。

しかし寒くなると、すぐに#朔夜のフードへ潜り込んだ。

「フー子、手伝うんじゃなかったの?」

「フー……」

「寒い時だけ僕のところに来るよね」

[newpage]

夜の町を、ソリと魔法、どこでもドアが行き交った。

雪の積もった一軒家。

高層マンション。

病院。

親が夜勤で不在の家。

さまざまな場所へ、プレゼントを届けていく。

ある家の窓から中を覗くと、一人の父親が子どもの枕元へ包みを置いていた。

サンタはそれを確認すると、その家へ入らずに通り過ぎる。

「届けなくていいの?」

のび太が尋ねた。

「あの家には、もうサンタがおる」

「でも、今のはお父さんだったよ?」

「その家の子を喜ばせようと、贈り物を用意した。その者も立派なサンタクロースじゃ」

別の家では、母親がプレゼントを抱えたまま眠っていた。

サンタは静かに包みを受け取り、代わりに枕元へ置いた。

さらに、親が用意したプレゼントへ小さなお菓子を加える家もあった。

その様子を見ながら、スネ夫が尋ねる。

「じゃあ、プレゼントを置いているのが親の家も、本当にあるの?」

「もちろんじゃ」

「でも、本物のサンタさんもいるよね?」

のび太が身を乗り出す。

「おぬしの目の前におるじゃろう」

サンタは笑った。

「親や家族が用意できる家では、その者たちがサンタになる。事情があって難しい家には、わしや仲間が届ける。誰かを喜ばせようと贈り物を用意した者は、その夜だけ皆サンタクロースになるのじゃ」

のび太とスネ夫は顔を見合わせた。

「じゃあ、僕たち二人とも正しかったの?」

「そういうことじゃ」

「僕の家はどっちだったの?」

のび太が尋ねると、サンタは片目を閉じる。

「それを教えては、夢がなくなるじゃろう」

「結局そこは教えないのかよ!」

スネ夫が叫んだ。

[newpage]

配達先の一つで、朔夜が部屋へ入った時だった。

床板が僅かに軋む。

ベッドで眠っていた小さな子どもが、ゆっくりと目を開けた。

まなとナツメは咄嗟に物陰へ隠れたが、#朔夜は逃げ遅れる。

子どもは眠そうな目で、フードを被った朔夜を見つめた。

「サンタさん……?」

#朔夜は困った。

白い髭はない。

フードからは、フー子が顔を出している。

「僕は……」

どう答えるべきか考え、枕元の包みを見る。

「……今夜だけは、たぶん」

子どもは安心したように笑い、再び目を閉じた。

#朔夜は音を立てないように包みを置き、部屋を出る。

外で待っていたまなが、楽しそうに笑った。

「#朔夜ちゃんもサンタになったね」

「僕まで?」

「プレゼントを届けたんだから、そうでしょ」

#朔夜は少しだけ考え、頷いた。

[newpage]

最後の配達を終えた頃、空が白み始めていた。

一同は疲れ切った状態で、有星神社へ戻ってきた。

ケースケは雪の上へ座り込む。

「もう二度と、何をするか知らないまま姉ちゃんについて行かない……」

「今日はまだ平和な方だったよ」

「それ、さっきも聞いた!」

サンタがソリへ乗ろうとした時、急に足を止めた。

「おっと、忘れるところじゃった」

大きな袋から、次々に包みを取り出す。

のび太、ドラえもん、しずか、ジャイアン、スネ夫。

#朔夜、まな、ナツメたち妖怪探偵団。

美夜子、アニエス、アデル、イナホ、USAピョン、ケースケ。

全員へ、それぞれに合ったプレゼントが渡された。

フー子には、小さな風鈴。

ピー助、キュー、ミューの分は、のび太へ託される。

ジャイアンへ包みを渡したサンタは、少しだけ真剣な顔をした。

「来年は、つまみを壊さんようにな」

「……はい」

ジャイアンは素直に頭を下げた。

赤鼻のトナカイが走り出し、ソリがゆっくり空へ浮かぶ。

「それでは、また来年!Merry Christmas!」

鈴の音を響かせながら、サンタは朝焼けの空へ消えていった。

のび太は、姿が見えなくなるまで手を振り続ける。

スネ夫も、もうサンタクロースの存在を否定しなかった。

#朔夜は手元のプレゼントを見つめ、それから空を見る。

サンタクロースは、本当に存在した。

そして今夜は、自分たちも誰かへ贈り物を届けた。

誰かを喜ばせようとした者は、その夜だけ皆サンタクロースになる。

朝日が昇り始める中、アデルだけは笑わずに空を見つめていた。

サンタが口にしかけた言葉。

異界の何か。

その気配が、一度こちらへ手を伸ばしかけていたことを、彼女だけは忘れられずにいた。

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