ガサリ――。
茂みの奥から現れたそれに、全員が身構えた。
「来た……!」
ナツメのウォッチが強く光る。
のび太は油揚げを抱えたまま固まっていた。
そして。
現れたのは――。
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「……なんだアレ」
朔夜が思わず呟く。
そこにいたのは、もふもふした神秘的な妖怪――ではなかった。
モサモサだった。
全体的に毛がボサボサ。
しかも妙に二足歩行に慣れている。
加えて。
シュールストレミングス[[rb:シュールストレミングス> 激臭爆弾]]の臭気直撃で涙目。
「ぐぬぬぬぬ……!!」
目を真っ赤にしたムジナが、鼻を押さえている。
哀れである。
「なんか……思ってたより締まらねぇな……」
#朔夜は微妙な顔をした。
「もっとこう、妖怪らしい威厳とか……」
「くっさぁぁぁぁ!!」
ムジナが絶叫した。
台無しだった。
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「よくも人を迷わせてくれたニャン!」
ジバニャンが飛び出した。
その身体が黒い妖気に包まれる。
「シャドウサイド!」
漆黒の炎のような妖気が吹き荒れた。
「うぉぉぉぉ!?」
ムジナが慌てて尻尾を振るう。
その一撃が。
「ミッチー!?危な――」
べしぃっ!!
「み゛っ゛――」
ミッチーが遥か彼方へ吹き飛んだ。
キラーン……。
夜空の星になった。
「「「ミッチィィィ!!?」」」
即落ち二コマである。
しかし。
その隙は致命的だった。
「今だニャン!!」
シャドウサイド状態のジバニャンの一撃が、ムジナに炸裂。
「ぶべらっ!?」
ムジナは綺麗に一回転して地面に激突した。
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「……勝った?」
のび太がおそるおそる聞く。
ピクピク痙攣している。
どう見てもノックアウトである。
「よし!」
ドラえもんがポケットから掃除機のような道具を取り出した。
『四次元掃除機』
「吸い込んだものを四次元ゴミ袋に保存できるんだ!」
「なんでもあるな、そのポケット……」
#朔夜が半目になる。
ズゴゴゴゴゴ!!
「ぬわぁぁぁぁぁぁ!?」
気絶していたムジナは、そのまま吸い込まれていった。
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数十分後。
一行は桜町ニュータウンへ戻っていた。
アキノリの祖母が張った結界の中心。
そこへ。
ぽいっ。
「ぬぐっ!?」
四次元掃除機から放り出されたムジナが地面を転がる。
周囲には淡い光の壁。
完全封鎖である。
「さて」
トウマが腕を組む。
「なんで人を迷わせてた?」
「…………」
ムジナはそっぽを向いた。
「答えろ」
「…………」
「おい」
「…………」
全く口を割らない。
アキノリが頭を掻く。
「こりゃダメだな……」
「武力行使する?」
ナツメがさらっと怖いことを言う。
「待て待て待て」
#朔夜が止めに入る。
だが。
「ひっ……!」
ムジナは完全に怯えていた。
ジバニャン(シャドウサイド)が無言で前に出る。
威圧感が凄い。
「言わないと……どうなるか分かるニャン?」
「ひぃっ!!」
もう悪役側が可哀想になってくるレベルである。
その時だった。
「やめるんだ!!」
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突然。
空から声が響いた。
全員が反射的に見上げる。
夜空を裂くように、一つの影が舞い降りた。
下駄の音。
翻るちゃんちゃんこ。
そして。
片目を髪で隠した少年。
「……あれ?」
#朔夜が目を瞬く。
ドラえもん達も目を丸くした。
その少年は、ムジナの前に立つ。
「そいつをいじめないでくれ」
静かな声だった。
だが、その場の空気が一変する。
アキノリのおばあちゃんが目を細める。
「ほぉ……」
少年はゆっくりと名乗った。
「僕は――鬼太郎」