ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#第十九話 その頃鬼太郎は。

妖怪ポスト。

人知れず置かれたそのポストは、人間にも妖怪にも開かれている。

困った時。

不思議なことに巻き込まれた時。

誰かが縋るように投函した手紙は、時折、鬼太郎達の元へ届く。

だが最近、その内容には妙な共通点があった。

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[chapter:『気づけば知らない町にいた』]

[chapter:『昨日まで一緒だった友達がいなくなった』]

[chapter:『探してください』]

[chapter:『帰ってきたけど、何も覚えていない』]

一件なら偶然。

二件でもまだ分かる。

だが、短期間でここまで続けば話は別だった。

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目玉おやじは積み上がった手紙を眺め、小さく腕を組む。

『……多いのう』

鬼太郎は一通を手に取った。

差出人の名前。

裕太。

内容は簡潔だった。

友達が突然いなくなった。

警察も探している。

でも、普通の迷子じゃない気がする。

見つかった子供の話も聞いた。

町が違う。

時間もおかしい。

だから——妖怪かもしれない。

鬼太郎は黙って便箋を畳んだ。

『行ってみるか』

目玉おやじが頷く。

『空間を渡る妖怪という線もある』

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それから数日。

鬼太郎達は手紙を頼りに各地を巡った。

何もない場所。

古い神社。

路地裏。

共通していたのは一つ。

わずかな妖力。

普通の人間なら絶対に気づかない程度。

だが鬼太郎の妖怪アンテナは違った。

風もないのに髪が揺れる。

微かな違和感。

それを繋ぎ合わせた先。

辿り着いたのは月見台町だった。

『この辺りで反応が強くなってる』

鬼太郎が呟く。

猫娘は辺りを見回した。

『私は情報集めてくる』

地域猫なら、人間が気づかないことも見ている。

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猫娘は近くで日向ぼっこしていた猫達へ近寄った。

『ねぇ、最近変なことなかった?』

猫達は一斉に顔を上げた。

『また来たニャ?』

『前にも聞かれたニャ』

『変な猫ニャ』

猫娘は首を傾げる。

『……変な猫?』

『丸かったニャ』

『青かったニャ』

『道具出してたニャ』

『猫なのに猫じゃなかったニャ』

意味が分からない。

『名前は?』

猫達は沈黙した。

しばらく考えて。

『……忘れたニャ』

『興味ないニャ』

『鈴ついてたニャ』

猫娘は頭を抱えた。

全然参考にならない。

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それでも話を聞き続けると、一つだけ共通点があった。

『山の方ニャ』

『黒いドアがあったニャ』

『みんなそこ行ってたニャ』

黒いドア。

猫娘の表情が変わる。

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山奥。

草木をかき分け進む。

そこにあった。

不自然なほど綺麗な、黒い扉。

森の中に立っている。

鬼太郎はしばらく観察した。

妖怪の気配。

空間の揺らぎ。

そして——向こう側。

『開くぞ』

取っ手を回す。

音もなくドアが開いた。

その先。

広がっていたのは知らない森だった。

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空気が違う。

匂いが違う。

何より妖気が濃い。

目玉おやじが目を細める。

『異界……か』

鬼太郎は地面を見る。

追っていた妖力。

今までより遥かに濃い。

『近い』

鬼太郎達は進む。

やがて一反木綿に乗り、上空へ。

空から追跡する。

妖力の痕跡は一直線だった。

進むほど強くなる。

やがて。

森が途切れた。

その先に見えたのは神社。

そして——人影。

鬼太郎は目を細めた。

人間。

妖怪。

囲まれている一体。

その中心にいたのは。

毛並みを乱し、縮こまるムジナだった。

既に戦意はない。

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だが。

囲んでいる側は違った。

誰かが前に出る。

空気が張る。

鬼太郎は眉を寄せた。

一反木綿から身を乗り出す。

『……やめるんだ!』

その声と同時に。

鬼太郎は空から飛び降りた。

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