夜の神社。
結界の中ではムジナが縮こまり、その前へ立つ鬼太郎。
「そいつをいじめないでくれ」
静かな声。
だが、空気は一瞬で張り詰めた。
黒い妖気が揺れる。
前へ出たのはシャドウサイド状態のジバニャンだった。
「……ナニモンだ、てめェら」
低い声。
妖気が広がる。
ジャイアンも腕を組む。
「急に出てきて何なんだよ」
鬼太郎は答えない。
ただ、ムジナを庇うように前へ立つ。
その仕草に空気がさらに硬くなる。
「待って」
突然、アキノリが声を上げた。
皆が見る。
アキノリは鬼太郎をじっと見ていた。
「……いや」
「どっかで…」
首を傾げる。
何か引っかかっている。
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ドン!!
杖が地面を叩いた。
「双方、止まるんじゃ!!」
全員が止まる。
神社の奥。
祖母が厳しい目で見ていた。
「ここは神域じゃ。勝手に戦を始めるでない」
ジバニャンが不満そうに唸る。
ジャイアンも納得していない。
だが祖母は構わず鬼太郎を見る。
そして小さく頷いた。
「久しいのう」
鬼太郎も静かに礼を返した。
その様子に、全員が目を瞬く。
祖母は振り返った。
呆れたように言う。
「お主ら、本当に分からんのか?」
「この方は、人と妖怪の境を守る者」
「妖怪達の調停役」
「かの有名な――鬼太郎じゃ」
静寂。
数秒。
「……え?」
反応したのはナツメだった。
鬼太郎を見る。
もう一度見る。
目を見開く。
「……あ」
さらに近づく。
「え、ちょっと待って」
「この雰囲気……」
「……鬼王の時の?」
全員が見る。
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ナツメが突然声を上げた。
「だから見覚えあったんだ!!」
アキノリもハッとする。
「あーーーー!!」
「いた!!」
「鬼王の時の!!」
トウマだけ少し遅れる。
鬼太郎を見る。
考える。
数秒。
「…………」
「あぁ」
思い出した。
「話しに聞かされてた...」
ナツメが即ツッコむ。
「遅い!!」
鬼太郎は逆に少し首を傾げる。
「……鬼王?」
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鬼太郎の前髪の奥から、別の声がした。
「むっ?」
もぞもぞ。
ひょこっと、小さな目玉が現れる。
「おお……!」
目玉おやじだった。
その小さな目が、ナツメ達を見る。
そして。
腰についた妖怪ウォッチを見る。
目を丸くした。
「その時計……!」
全員が止まる。
目玉おやじは驚いたように言った。
「お主ら……あの時の子達か!」
ナツメが頷く。
「そうです!」
アキノリも笑う。
「鬼王の時はありがとうございました!」
目玉おやじは納得したように頷いた。
「そうかそうか」
「姿も少し違うから、分からなんだ」
鬼太郎も静かに見る。
「……なるほど」
そして。
視線を結界へ向けた。
縮こまるムジナ。
鬼太郎は静かに言った。
「だったら、話は早い」
「まず、この妖怪の話を聞いてほしい」
ムジナが、びくっと肩を震わせた。