夜の神社。
鬼太郎の登場。
そして髪の中から現れた目玉おやじ。
一瞬で空気は止まっていた。
「…………」
誰も喋らない。
ドラえもん達は、完全に固まっていた。
のび太が口を開ける。
しずかが瞬きを忘れる。
ジャイアンが腕組みしたまま停止。
スネ夫だけ、ぷるぷる震えていた。
そして。
「め、目玉が喋ってるぅぅぅぅ!!?」
絶叫。
全員がビクッとなる。
目玉おやじが眉(?)を吊り上げた。
「目玉とは失礼な!」
ぴょこんと鬼太郎の肩へ飛び乗る。
「儂にはちゃんと目玉おやじという立派な名前があるわい!」
「いやそこじゃないでしょ!?」
スネ夫が半泣きになる。
「普通しゃべらないよ!?」
ドラえもんが複雑そうな顔で呟いた。
「いや……未来だとしゃべる猫型ロボットはいるけど……」
全員。
ゆっくりドラえもんを見る。
ドラえもん。
「……あ」
沈黙。
目玉おやじがじろっと見る。
「お主も大概じゃな」
ドラえもんも少しだけ目を逸らした。
「……否定できない」
「ドラえもん、負けるんだ……」
のび太が妙に感心していた。
[newpage]
その横で。
朔夜は小さく息を吐いた。
(……前もこんな感じだったな)
巨大妖怪。
未来ロボット。
異世界。
初対面で混乱。
最近ちょっと慣れてきてる自分が怖い。
そして視線を動かす。
鬼太郎は静か。
目玉おやじは話している。
アキノリ達は盛り上がっている。
……一人、比較的話しかけやすそうな人がいた。
長身。
落ち着いた雰囲気。
鋭そうだけど、ちゃんと常識人に見える。
朔夜は近づいた。
「あの」
猫娘が振り返る。
「ん?」
「……鬼太郎さん達って、どういう人なんですか?」
猫娘は少し目を丸くした。
それから小さく笑う。
「簡単に言うと」
鬼太郎を見る。
「妖怪の問題を解決して回ってる」
「人間と妖怪、両方を守る側」
「そんな感じかな」
「へぇ……」
朔夜は少し意外だった。
もっと退魔師みたいな感じかと思っていた。
猫娘は続ける。
「最近は色んな場所を調べてたの」
「迷子」
「帰れなくなる人」
「知らない町へ行く人」
「その調査でここまで来た」
朔夜は少し考える。
「……じゃあ、猫にも聞いたり?」
猫娘が頷く。
「地域猫に聞いた」
「そしたら変な話が出てきてね」
少し困った顔。
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「青い猫が先に調べてたって」
#朔夜は数秒停止した。
青い猫。
……青。
猫。
首輪。
鈴。
未来。
ゆっくり振り返る。
ドラえもん。
どら焼きを食べてた。
「あ」
猫娘も気づいた。
「……あれ?」
朔夜が指差す。
「たぶん、あれです」
猫娘。
じっと見る。
ドラえもん。
じっと見る。
ドラえもんも気づく。
「え?」
猫娘。
「……猫?」
ドラえもん。
「ロボットです」
猫娘。
「……猫?」
ドラえもん。
「ロボットです」
何故か譲らない。
青狸呼ばわりされて、キレる展開にはならなくて良かった。
[newpage]
その時だった。
結界の奥。
こそこそ。
ムジナが静かに立ち上がる。
(今だ……)
誰も見てない。
鬼太郎も話してる。
逃げられる。
そーっと。
結界へ近づく。
一歩。
二歩。
手を伸ばす。
触れた。
バチィィィィィィン!!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
盛大なスパーク。
ムジナは吹っ飛んだ。
全員振り返った。
静寂。
ムジナ。
真っ黒。
涙目。
「…………」
思わず全員の視線がムジナに行く。
震える、ムジナ。
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「き、鬼太郎ぉ~……」
涙目で手を伸ばす。
「助けてくれぇ~……」
鬼太郎は静かに見た。
しばらくして。
近づく。
だが、結界は解除しない。
鬼太郎はしゃがみ込んだ。
静かな声。
「みんなから聞いたよ」
ムジナが震える。
鬼太郎は真っ直ぐ見た。
「どうして、こんなことをしたんだ?」
風が吹く。
神社が静まり返る。
誰も喋らない。
ムジナだけが、小さく肩を震わせていた