ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#二十七話

古い神社の保管庫だけあって、中には年代物の道具が山ほどある。

祭事に使うらしい木箱。

見たこともない形の飾り。

古びた巻物。

埃っぽい空気の中、皆それぞれの持ち場で作業していた。

そんな中。

「なぁスネ夫」

ジャイアンが小声で呼びかける。

「例のやつ、やるか?」

「もちろん」

スネ夫はニヤリと笑った。

その手には、小さな袋。

中から取り出したのは――ネズミのおもちゃだった。

「絶対びっくりするよな」

「大成功間違いなしさ」

二人は顔を見合わせる。

ろくでもない顔だった。

少し離れた場所で箱を整理していた#朔夜は、その様子を見て眉をひそめる。

(あれ、絶対ろくなことしないな)

止めた方がいい気もした。

だが。

その時にはもう遅かった。

「ドラえも~ん」

スネ夫が猫なで声を出す。

「ん?」

振り向くドラえもん。

「ちょっと見てよこれ」

「なに?」

近付いた瞬間。

ジャイアンが横から勢いよく飛び出した。

「うりゃあ!!」

ネズミのおもちゃがドラえもんの目の前へ突き付けられる。

一瞬。

本当に一瞬だけ静止した。

[newpage]

「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!!!」

絶叫。

倉庫が揺れた。

「ネズミぃぃぃぃぃ!!!!!」

「うわっ!?」

「でた!」

「早っ!」

半狂乱になったドラえもんが猛ダッシュで走り出す。

箱にぶつかる。

柱にぶつかる。

埃が舞う。

誰も止められない。

「ぎゃああああああ!!」

「ドラえもん落ち着いて!!」

しずかが叫ぶ。

しかし聞いていない。

完全にパニックだった。

そして。

最悪の方向へ向かう。

倉庫の奥。

大きな棚の前。

そこではナツメが脚立を使って整理作業をしていた。

ドラえもんが突っ込んできた衝撃で。

棚が。

ぐらり、と傾く。

「――っ」

#朔夜の背筋が冷えた。

まずい。

考えるより先に身体が動く。

「ナツメ!」

「え?」

朔夜はナツメの腕を掴み、強引に引き寄せた。

次の瞬間。

ドゴォォォォン!!

もの凄い音。

巨大な棚が横倒しになった。

箱が飛ぶ。

埃が舞う。

倉庫全体が揺れる。

静寂。

誰もが言葉を失った。

「……」

「……」

「……」

[newpage]

奥の部屋から凄まじい勢いで足音が響いた。

「何事じゃ!!」

アキノリの祖母だった。

勢いよく現場へ入ってくる。

そして。

倒れた棚。

散乱した荷物。

固まる面々。

ネズミのおもちゃを持ったままのジャイアン。

全部見た。

一瞬で理解したらしい。

「……ほう」

静かな声だった。

それが逆に怖い。

スネ夫とジャイアンが同時に背筋を伸ばす。

「骨川」

「は、はい!」

「剛田」

「お、おう!」

「表へ出ようかの」

笑顔だった。

だが目が笑っていなかった。

「いや、その」

「悪気は」

「表へ」

有無を言わせぬ声。

二人は顔を見合わせる。

そして。

「はい……」

しょんぼりと外へ連行された。

数分後。

外から声が聞こえる。

「神聖な場所で何をしとるかぁぁぁ!!」

「すみませぇぇぇん!!」

「ごめんなさぁぁぁい!!」

ビリビリと空気が震えた。

倉庫の中にいた全員が肩を跳ねさせる。

「……」

「……」

「怖……」

ケータが呟いた。

トウマが無言で頷く。

#朔夜も少しだけ青ざめていた。

有星家の祖母は怒らせてはいけない。

全員がそう認識した瞬間だった。

しばらくして。

ようやく空気が戻り始める。

「と、とりあえず」

ドラえもんが申し訳なさそうに言った。

「棚を元に戻そうか……」

原因の大半は自分だと思っているらしい。

「そうだね」

「このままじゃ危ないし」

皆で倒れた棚へ向かう。

力を合わせ。

ゆっくりと持ち上げる。

ギギギ……。

古い木材が軋む。

[newpage]

その時だった。

棚の上部から何かが滑り落ちた。

コトッ。

小さな木箱。

誰も気付かなかったらしい。

倒れた衝撃で落ちてきたようだ。

「ん?」

アキノリが拾い上げる。

手のひらに乗るくらいの大きさ。

桐らしい木材で作られている。

表面には見慣れない模様。

長い年月を感じさせる色合いだった。

「なんだこれ」

「開く?」

「開くんじゃない?」

皆が集まる。

アキノリが慎重に蓋へ手を掛けた。

カチリ。

小さな音。

蓋が開く。

そして。

中から現れたのは――。

「……鏡?」

しずかが呟いた。

手のひらほどの大きさ。

丸い形。

開閉式の手鏡。

まるで古い装飾品のようだった。

金具は少しくすんでいる。

だが不思議と壊れてはいない。

長い間眠っていたはずなのに。

どこか神秘的な雰囲気を纏っていた。

「倉庫の奥からこんなの出てくるんだ……」

のび太が目を丸くする。

「結構古そうだね」

ドラえもんも覗き込んだ。

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