ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#第二十八話

「コンパクトミラー?」

しずかとナツメの声が重なった。

男子組は揃って首を傾げる。

「何それ?」

のび太が聞く。

「鏡よ鏡」

しずかが呆れたように言った。

「最近流行ってるじゃない」

「あー」

スネ夫が思い出したように頷く。

「女子が持ってるやつか」

#朔夜は手の中の鏡を見る。

そういえば以前。

母親から、

『最低限の身だしなみには気を付けなさい』

と言われたことがあった。

その時もコンパクトミラーを勧められた気がする。

最近は低学年だけでなく高学年にも流行が広がっているらしい。

興味がない訳ではなかった。

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倉庫の入口では。

「すみませんでした……」

「ごめんなさい……」

ジャイアンとスネ夫が完全に萎れていた。

どうやら相当絞られたらしい。

まずドラえもんへ謝罪。

次にナツメへ謝罪。

そして全員へ謝罪。

反省文を書かされてもおかしくない勢いだった。

「別にいいよ」

ナツメは苦笑する。

「怪我してないし」

そう言っているが。

トウマは腕を組んだままだ。

「結果論だからな」

その一言で二人がさらに縮こまる。

そこへ。

「おお、見つかったか」

アキノリの祖母が戻ってきた。

#朔夜は鏡を持ち上げる。

「これなんですか?」

「うむ?」

おばあちゃんは鏡を受け取った。

じっと眺める。

裏返す。

もう一度見る。

そして。

「……知らん」

「え?」

全員が固まった。

「倉庫の物じゃないんですか?」

「倉庫にあったのは確かじゃ」

おばあちゃんは首を傾げた。

「じゃが、こんな物あったかのう……」

本当に心当たりがないらしい。

少し困ったように鏡を見つめる。

「蓋が取れた拍子に何か封印でも解けたらどうしようかと思ったんじゃが」

「怖いこと言わないでよ!?」

のび太が即座に反応した。

ドラえもんも少しだけ青くなる。

しばらく考えた後。

おばあちゃんは鏡を皆へ見せた。

「これも何かの縁かの」

「欲しい者はおるか?」

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一同は顔を見合わせた。

のび太。

「なくしたら怖い」

 

スネ夫。

「高そう」

 

ジャイアン。

「オレ絶対壊す」

 

ケータ。

「いやオレもパス」

 

トウマ。

「興味ない」

 

アキノリ。

「ばあちゃんの物かもしれないし」

 

誰も手を挙げない。

すると。

自然と視線が#朔夜へ集まった。

「……?」

「いや」

アキノリが笑う。

「さっきから一番見てるし」

「確かに」

しずかも頷く。

#朔夜は少し考えた。

何かある。

そんな気はする。

だが。

だからこそ気になった。

「じゃあ」

「自分が預かる」

そう言うと。

おばあちゃんは満足そうに頷いた。

「うむ」

「頼んだぞ」

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アキノリがジャイアン達を振り返った。

「で?」

嫌な予感しかしない声だった。

「お前ら反省終わったと思ってないよな?」

「え?」

「まだあるの!?」

ジャイアンが絶望する。

「当たり前だろ」

アキノリは笑顔だった。

怖かった。

「ナツメが怪我してたらどうするつもりだったんだ」

二人が沈む。

完全に沈む。

その様子を見て。

ナツメは小さくため息を吐いた。

「私は怒ってないよ」

二人が顔を上げる。

「本当か!?」

「ただし」

その一言で再び固まる。

「次はしないように」

静かな声だった。

だが十分効いた。

「はい……」

「ごめんなさい……」

再び縮こまる二人。

その光景を見ながら。

#朔夜は手の中の鏡へ視線を落とした。

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古びた木製の装飾。

不思議な模様。

長い間倉庫で眠っていたはずの品。

なぜだろう。

ほんの少しだけ。

鏡が冷たく光った気がした。

 

 

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