ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#第三十話

六月も終わりに近づいた休日の朝。

#朔夜は自室のベッドに寝転びながら、手の中のコンパクトミラーを眺めていた。

有星家の倉庫から見つかった古い手鏡。

結局、あの日以降も何一つ変わったことは起きていない。

それなのに、なぜか時々気になってしまう。

「ほんと、なんなんだろうな……」

独り言を漏らしながら蓋を開く。

鏡面には自分の顔が映った。

その瞬間。

窓から差し込んだ光が反射する。

「っ!?」

真正面から光を浴び、#朔夜は思わず顔を背けた。

眩しい。

ただそれだけのはずだった。

けれど。

なぜだろう。

胸の奥がざわついた。

言葉にできない違和感。

嫌な予感。

何か良くないことが起こるような――。

「……気のせい、だよね」

そう呟いた直後だった。

机の上のスマホが激しく震えた。

着信。

画面には『ナツメ』の文字。

慌てて通話を取る。

「もし――」

『朔夜!?』

いつもより切羽詰まった声だった。

『トウマが誘拐された!』

一瞬、思考が止まる。

「……は?」

『詳しい話は神社でする!すぐ来て!』

通話はそこで切れた。

静まり返る部屋。

先程の嫌な予感が頭をよぎる。

#朔夜は急いで立ち上がった。

[newpage]

十分後。

いつもの裏山。

そこには既にドラえもん達が集まっていた。

「#朔夜!」

のび太が手を振る。

だがその表情には余裕がない。

「アキノリから連絡が来たんだ」

ドラえもんも真剣な顔をしていた。

「とにかく神社へ行こう」

全員が頷く。

嫌な予感は、ますます大きくなっていた。

 

 

有星神社。

境内にはナツメとアキノリが待っていた。

二人とも疲れた顔をしている。

「何があったんだ?」

#朔夜が尋ねる。

アキノリは大きく息を吐いた。

「今日の朝、『うすらぬら』に書き込まれた案件を調べに行ってたんだ」

「うん」

「それ自体は解決した」

しかし、とアキノリは顔を曇らせる。

「帰り道で襲撃された」

その一言で空気が変わった。

ナツメが続ける。

「酒呑童子の手下よ」

「暴走した妖怪を何体も連れてきたの」

「俺たちは応戦した」

「でも……」

アキノリが拳を握る。

「気づいた時にはトウマがいなかった」

沈黙。

しずかが小さく息を呑む。

「誘拐……されたの?」

ナツメは静かに頷いた。

「多分」

#朔夜は眉をひそめた。

トウマは決して弱くない。

なのに、相手に連れ去られるなんて。

事態は思った以上に深刻だった。

「探そう!」

ドラえもんが前に出る。

「たずね人ステッキを使う!」

四次元ポケットから取り出された杖が空中でくるりと回った。

同時に。

アキノリも妖魔レーダーを起動した。

「二重で追跡するぞ」

二つの反応は同じ方向を指していた。

「いた!」

アキノリが叫ぶ。

全員が走り出した。

[newpage]

森を抜ける。

山道を駆ける。

そして。

前方から轟音が響いた。

ドォォン!!

地面が揺れる。

木々が大きく揺れた。

「な、何!?」

スネ夫が悲鳴を上げる。

急いで駆け寄った一同は、その光景に息を呑んだ。

そこには。

巨大な妖怪と戦う一人の青年の姿があった。

鋭い眼差し。

青い髪。

独特な衣装。

そして圧倒的な妖力。

激しい衝撃が周囲の木々を揺らしている。

「……っ!」

ナツメが目を見開いた。

「カイラ様!?」

その声に朔夜が驚く。

様?

知り合いなのか?

アキノリも目を見開いていた。

「なんでカイラ様がこんなところに……!?」

 

 

一方。

少し離れた場所にはトウマの姿があった。

木にもたれかかっている。

額には傷。

服も汚れている。

だが無事だ。

「トウマ!」

ナツメが駆け寄る。

「いてて……」

トウマは苦笑した。

「後ろからやられたみたい」

どうやら命に別状はないらしい。

朔夜はほっと息を吐いた。

しかし視線は再び戦場へ向く。

巨大な妖怪。

そしてカイラ。

押されているようにも見える。

だが。

不思議と負ける気配がしない。

まるで王者がそこに立っているかのようだった。

その時。

巨大な妖怪が不気味に笑った。

「邪魔をするな」

青髪の青年は表情一つ変えない。

冷たい視線を向ける。

「黙れ」

その声は静かだった。

けれど。

誰よりも威圧感があった。

「私は貴様らと戯れるために来たのではない」

張り詰める空気。

戦いはまだ終わっていなかった。

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