ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#第三十八話

六月も終わりに近づいていた。

朝から蒸し暑い。

教室の窓は全開だが、生ぬるい風しか入ってこない。

「暑い……」

「まだ六月なのに……」

教室のあちこちからそんな声が聞こえる。

そんな中、前の席の男子が嬉しそうに言った。

「あとちょっとで夏休みだー!」

「宿題なんて後でやればいいしな!」

「毎日ゲーム三昧だぜ!」

盛り上がるクラスメイト達。

だが――

「そうねぇ」

担任教師はにっこり笑った。

「夏休みということは、その前に期末テストがあります」

教室が静まり返る。

「それから大量の宿題と自由研究もあります」

「うわぁぁぁぁっ!?」

悲鳴が響いた。

「勉強がたくさんできるわね!」

先生の笑顔に、教室中から絶望の声が上がった。

#朔夜も思わず肩を落とす。

(自由研究か……)

何をやるかまったく決めていなかった。

[newpage]

放課後。

#朔夜はのんびりと帰り道を歩いていた。

自由研究。

天体観測。

植物採集。

工作。

どれも今ひとつ気が乗らない。

(何か面白い題材でもあればな……)

そんなことを考えていると――

「おーい!」

聞き慣れた声が飛んできた。

振り返ると、

そこにはドラえもん。

さらにのび太、ジャイアン、スネ夫、しずかもいた。

「どうしたの?」

#朔夜が尋ねると、ドラえもんは封筒を取り出した。

「招待状だよ!」

「招待状?」

「カーラからなんだ」

 

 

有星神社。

そこにはすでにナツメ、トウマ、アキノリ、ケータ達も集まっていた。

カーラからの手紙にはこう書かれていた。

[newpage]

『皆様へ

ヒョーガ・ヒョーガ星の氷が解け始めました。

まだ完全ではありませんが、緑も少しずつ戻ってきています。

皆様のおかげです。

ぜひお礼をさせてください。

カーラより』

[newpage]

「おぉ~!」

のび太が声を上げた。

「復興したんだ!」

「完全じゃないけどね」

ナツメが微笑む。

「でも確実に良くなってるみたい」

「星中の人がお礼したがってるらしいね」

ドラえもんも嬉しそうだ。

黒い扉をくぐる。

眩しい光。

次の瞬間。

冷たい風が頬を撫でた。

「うわぁ……」

しずかが感嘆する。

まだ少し寒い。

だが最近の蒸し暑さを考えれば天国だった。

「気持ちいいなぁ……」

のび太は思わず空を見上げる。

遠くには雪解け水の流れる音。

そして芽吹き始めた緑。

以前とは明らかに景色が違っていた。

その時だった。

「えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

背後から盛大な悲鳴が響いた。

全員が振り返る。

そこには見覚えのない少年が立っていた。

[newpage]

「え?」

「誰?」

スネ夫が首を傾げる。

少年も同じくらい驚いている。

「な、なんだここ!?」

「あれ?」

ナツメが目を瞬かせた。

「ケースケ?」

「姉ちゃん!?」

どうやら知り合いらしい。

いや――

姉ちゃん?

「弟?」

#朔夜が尋ねる。

ナツメは苦笑した。

「うん。弟」

「ケースケっていうの」

「はじめまして……」

ケースケはぎこちなく頭を下げた。

事情を聞くと簡単だった。

最近ナツメ達の行動が怪しい。

放課後になると突然いなくなる。

知らない連絡が増えている。

気になって尾行した。

そして――

黒い扉を見つけた。

「そしたら……」

ケースケは震える指で周囲を示した。

「こんな場所に……」

「尾行成功だね」

しずかが感心する。

「感心しちゃダメだろ」

トウマが即座に突っこんだ。

[newpage]

その時。

「おやおや~」

白い影が現れた。

「初めましてですな!」

ウィスパーである。

ケースケは固まった。

数秒。

沈黙。

そして。

「し、白いキモい奴がいる!?」

空気が凍った。

ウィスパーも凍った。

次の瞬間。

「キモいですとぉぉぉぉぉぉ!?」

絶叫。

「私は妖怪執事ウィスパー!」

「由緒正しき妖怪コンシェルジュ!」

「キモいとは何ですかキモいとはぁぁぁぁ!」

ものすごい勢いで迫る。

「うわぁぁぁぁぁ!?」

ケースケは後退。

さらに後退。

そして――

バタン。

綺麗に気絶した。

「……」

静寂。

のび太がぼそりと呟く。

「前もこんなの見た気がする」

「僕も」

ケータが苦笑する。

#朔夜も同感だった。

(確かに見覚えがある……)

初めて妖怪を見た人間の反応としては満点だった。

そんな中。

#朔夜はカーラへ歩み寄った。

「カーラ」

「うん?」

「どこか休ませられる場所ある?」

地面に倒れたケースケを見ながら言う。

「このままじゃ可哀想だし」

カーラは一瞬きょとんとした後、

くすりと笑った。

「もちろん!」

「町を案内するよ!」

そして一行は、未だ意識を失ったままのケースケを運びながら、復興し始めたヒョーガ・ヒョーガ星の街へ向かうのだった。

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