ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

39 / 165
#第三十九話

ケースケを運び込んだのは、町の中心から少し離れた宿泊施設だった。

「ここなら静かに休めるよ」

カーラに案内された部屋を見た瞬間、朔夜は思わず足を止めた。

見覚えがある。

白を基調とした室内。

大きな窓。

_柔らかな寝台。

ブリザーガとの戦いが終わった後、自分が目を覚ました部屋だ。

「あ……」

思わず声が漏れる。

あの時は全身が痛かった。

皆が無事なのかも分からなかった。

けれど今は違う。

仲間達は笑っている。

星も少しずつ復興している。

そう思うと、なんだか感慨深かった。

「#朔夜?」

「いや、なんでもない」

首を振る。

ケースケを寝台へ寝かせると、一行はカーラに案内されて町の広場へ向かった。

[newpage]

広場は祭りのような賑わいだった。

「あっ! 来たぞ!」

「英雄様達だ!」

「こっちこっち!」

次々と料理が運ばれてくる。

温かなスープ。

焼いた魚。

見たことのない果実。

そして大量の肉料理。

「うまそぉぉぉ!!」

真っ先に飛びついたのはジャイアンだった。

「早い者勝ちだ!」

「食べ物を取り合わない!」

トウマのツッコミが飛ぶ。

その隣ではアキノリが目を輝かせていた。

「すごいなぁ……」

「これ全部食べていいの?」

「もちろんです!」

町の人々は笑顔だった。

復興の喜びが広場全体に満ちている。

だが――

#朔夜だけは少し落ち着かなかった。

視線の先。

広場の外れに積まれた食料。

その量は決して多くない。

(待って……)

緑は戻り始めたばかりだ。

畑もまだ本格的には機能していないはず。

食料事情に余裕があるとは思えない。

なのに。

今、目の前には大量の料理が並んでいる。

それはつまり――

(これ……無理してない?)

気付いてしまった。

そして気付かなければ良かったとも思った。

途端に居心地が悪くなる。

[newpage]

「ドラえもん」

広場の端で#朔夜は声をかけた。

「ん?」

「ちょっと相談がある」

事情を説明すると、ドラえもんも表情を曇らせた。

「なるほどね……」

腕を組む。

しばらく考える。

そして。

「よし」

ポケットへ手を突っ込んだ。

「こういう時はこれかな」

取り出したのは懐中電灯のような道具だった。

「成長促進ライト!」

「名前そのまま」

「分かりやすいでしょ?」

ドラえもんは胸を張った」

[newpage]

二人は祭りの喧騒から離れた。

町の外。

かつて森だったという場所。

今は雪解けの跡が広がるだけだ。

「ここに当てればいいんだよね?」

「うん」

ドラえもんはライトを構えた。

淡い光が地面を照らす。

すると――

芽吹いたばかりの若木がゆっくり成長を始めた。

「おお……」

#朔夜が感心したその時。

「何やってるんだ?」

振り返る。

そこにはトウマが立っていた。

事情を聞くと、彼は少し考え込む。

「なら僕も手伝う」

オーガを取り出した。

「来い――幻魔・お松!」

光が弾ける。

現れた妖気が木々へ流れ込んだ。

次の瞬間。

メキメキメキメキッ!!

地面が震える。

「え?」

「ちょっ」

木々が一斉に成長を始めた。

一本。

二本。

十本。

百本。

あっという間に視界が緑で埋まる。

枝が伸びる。

葉が広がる。

根が張る。

森が生まれていた。

しかも。

かなり大きい。

「……」

「……」

#朔夜とドラえもんは黙った。

目の前には。

月見台小学校の裏山に匹敵する規模の森が完成していた。

[newpage]

「何事だ!?」

「爆発か!?」

「敵襲!?」

騒ぎを聞きつけた仲間達が駆け寄ってくる。

そして全員が固まった。

巨大な森。

ついさっきまで何も無かった場所に。

沈黙。

数秒後。

全員の視線がこちらへ向く。

#朔夜。

ドラえもん。

トウマ。

三人は顔を見合わせた。

そして。

「「「やっちゃった☆」」」

テヘペロ。

全員が同時に同じツッコミをした。

「誤魔化せるかぁぁぁぁぁ!!」

仲間達のツッコミが森中に響き渡った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。