ケースケを運び込んだのは、町の中心から少し離れた宿泊施設だった。
「ここなら静かに休めるよ」
カーラに案内された部屋を見た瞬間、朔夜は思わず足を止めた。
見覚えがある。
白を基調とした室内。
大きな窓。
_柔らかな寝台。
ブリザーガとの戦いが終わった後、自分が目を覚ました部屋だ。
「あ……」
思わず声が漏れる。
あの時は全身が痛かった。
皆が無事なのかも分からなかった。
けれど今は違う。
仲間達は笑っている。
星も少しずつ復興している。
そう思うと、なんだか感慨深かった。
「#朔夜?」
「いや、なんでもない」
首を振る。
ケースケを寝台へ寝かせると、一行はカーラに案内されて町の広場へ向かった。
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広場は祭りのような賑わいだった。
「あっ! 来たぞ!」
「英雄様達だ!」
「こっちこっち!」
次々と料理が運ばれてくる。
温かなスープ。
焼いた魚。
見たことのない果実。
そして大量の肉料理。
「うまそぉぉぉ!!」
真っ先に飛びついたのはジャイアンだった。
「早い者勝ちだ!」
「食べ物を取り合わない!」
トウマのツッコミが飛ぶ。
その隣ではアキノリが目を輝かせていた。
「すごいなぁ……」
「これ全部食べていいの?」
「もちろんです!」
町の人々は笑顔だった。
復興の喜びが広場全体に満ちている。
だが――
#朔夜だけは少し落ち着かなかった。
視線の先。
広場の外れに積まれた食料。
その量は決して多くない。
(待って……)
緑は戻り始めたばかりだ。
畑もまだ本格的には機能していないはず。
食料事情に余裕があるとは思えない。
なのに。
今、目の前には大量の料理が並んでいる。
それはつまり――
(これ……無理してない?)
気付いてしまった。
そして気付かなければ良かったとも思った。
途端に居心地が悪くなる。
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「ドラえもん」
広場の端で#朔夜は声をかけた。
「ん?」
「ちょっと相談がある」
事情を説明すると、ドラえもんも表情を曇らせた。
「なるほどね……」
腕を組む。
しばらく考える。
そして。
「よし」
ポケットへ手を突っ込んだ。
「こういう時はこれかな」
取り出したのは懐中電灯のような道具だった。
「成長促進ライト!」
「名前そのまま」
「分かりやすいでしょ?」
ドラえもんは胸を張った」
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二人は祭りの喧騒から離れた。
町の外。
かつて森だったという場所。
今は雪解けの跡が広がるだけだ。
「ここに当てればいいんだよね?」
「うん」
ドラえもんはライトを構えた。
淡い光が地面を照らす。
すると――
芽吹いたばかりの若木がゆっくり成長を始めた。
「おお……」
#朔夜が感心したその時。
「何やってるんだ?」
振り返る。
そこにはトウマが立っていた。
事情を聞くと、彼は少し考え込む。
「なら僕も手伝う」
オーガを取り出した。
「来い――幻魔・お松!」
光が弾ける。
現れた妖気が木々へ流れ込んだ。
次の瞬間。
メキメキメキメキッ!!
地面が震える。
「え?」
「ちょっ」
木々が一斉に成長を始めた。
一本。
二本。
十本。
百本。
あっという間に視界が緑で埋まる。
枝が伸びる。
葉が広がる。
根が張る。
森が生まれていた。
しかも。
かなり大きい。
「……」
「……」
#朔夜とドラえもんは黙った。
目の前には。
月見台小学校の裏山に匹敵する規模の森が完成していた。
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「何事だ!?」
「爆発か!?」
「敵襲!?」
騒ぎを聞きつけた仲間達が駆け寄ってくる。
そして全員が固まった。
巨大な森。
ついさっきまで何も無かった場所に。
沈黙。
数秒後。
全員の視線がこちらへ向く。
#朔夜。
ドラえもん。
トウマ。
三人は顔を見合わせた。
そして。
「「「やっちゃった☆」」」
テヘペロ。
全員が同時に同じツッコミをした。
「誤魔化せるかぁぁぁぁぁ!!」
仲間達のツッコミが森中に響き渡った。