ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#四十話

「でっか……」

のび太がぽかんと口を開けた。

ヒョーガ・ヒョーガ星の外れ。

つい先程まで荒野だった場所には、今や立派な森が広がっていた。

青々とした木々。

涼しい木陰。

小鳥のさえずりまで聞こえてくる。

「いや、本当にやりすぎじゃない?」

しずかが苦笑する。

「ちょっと手伝うつもりだったんだけどな……」

ドラえもんも頭を掻いた。

その隣でトウマがそっと視線を逸らす。

「……」

「トウマも共犯だよ?」

#朔夜が言う。

「否定はしない」

素直だった。

そんな中――

ケータが森を見上げながら叫んだ。

「秘密基地作らない!?」

一瞬の沈黙。

そして。

「それだ!」

「面白そう!」

「やろうぜ!」

一同の意見は見事に一致した。

[newpage]

それから数時間後。

木材集め。

設計。

組み立て。

ドラえもんの道具による補助。

全員で協力した結果――

森の中心には立派なログハウスが完成していた。

「できたぁー!」

アキノリが歓声を上げる。

見た目は木造の小さな山小屋。

だが。

「最後の仕上げ!」

ドラえもんが取り出したのは四角い装置だった。

「空間ひろびろボックスー!」

ぽちっ。

装置を起動した瞬間。

ログハウスの内部空間がぐんと広がる。

「おおおおっ!?」

のび太が飛び上がった。

外から見れば小屋。

中に入れば大部屋。

さらに奥には休憩スペースまである。

「すご……」

しずかが感心する。

「秘密基地っていうか別荘じゃない?」

「細かいことは気にしない!」

ケータが胸を張った。

完成後。

各々好きなように過ごし始める。

ジャイアンはハンモックを確保。

スネ夫は窓際で景色を眺めている。

ケータ達はカードゲームを始めていた。

涼しい風が窓から入り込む。

穏やかな時間だった。

「平和だなぁ……」

のび太は床へ寝転がった。

昼寝には最高の環境。

そのまま目を閉じようとした瞬間。

「そういえば」

#朔夜の声が飛んできた。

「宿題は終わらせた?」

「――っ!?」

のび太の身体が硬直した。

ゆっくり振り向く。

#朔夜は自分のノートを開いていた。

「夏休み始まる前に少しでも進めた方が楽じゃん?」

「いや、その……」

のび太の額に汗が浮かぶ。

「まだ始まってないし?」

「だから今やるんだよ」

正論だった。

逃げ道がない。

その時。

ジャイアンがそっと立ち上がる。

「俺は見回りしてくる!」

「ジャイアン」

「なんだ?」

「宿題」

「……」

「逃がさない」

「くっ!」

完全に読まれていた。

スネ夫はこっそり出口へ向かっていたが、

しずかに首根っこを捕まった。

「スネ夫さん?」

「はい」

「勉強しましょう」

「はい……」

観念した。

[newpage]

しばらくして。

秘密基地の大テーブルにはノートが並んでいた。

「ここはこう考えるんだよ」

#朔夜が説明する。

「なるほど!」

しずかが頷く。

「わかりやすい」

「でしょ?」

ドラえもんも感心していた。

のび太も真面目に問題を解いている。

珍しい光景だった。

そして気付けば――

「ん?」

#朔夜は顔を上げた。

ナツメ。

トウマ。

アキノリ。

ケータ。

いつの間にか他のみんなまで勉強を始めている。

「なんか増えてる?」

「いや」

トウマが肩を竦めた。

「せっかくだし」

「テスト近いしね」

ナツメも答える。

結果。

秘密基地は完全に勉強会会場になっていた。

[newpage]

それから一時間ほど経った頃。

「う……ん……」

小さな声が聞こえた。

全員が振り返る。

部屋の隅。

ソファに寝かされていたケースケが目を覚ましたのだ。

「起きた!」

ナツメが駆け寄る。

どうやらいつの間にか運び込んでいたらしい

どうやって運んだのかは誰も聞かなかった。

たぶんミッチーあたりだろう。

「ここは……?」

ケースケがゆっくり身体を起こす。

周囲を見回す。

そして。

「あ」

視線が止まった。

白い物体。

ふわふわ浮いている。

「おや?」

ウィスパーだった。

数秒。

沈黙。

次の瞬間。

「お化けぇぇぇぇぇぇっ!?」

ケースケが叫んだ。

「誰がお化けですかぁぁぁぁ!!」

ウィスパーも叫ぶ。

「私は妖怪!」

「妖怪執事!」

「由緒正しきコンシェルジュ!」

「来たぁぁぁぁ!!」

ケースケは再びソファへ倒れ込んだ。

今にも気絶しそうだ。

だが今回は耐えた。

ぎりぎりで。

「落ち着いてケースケ」

ナツメがため息をつく。

「この人……じゃなくて妖怪だから」

「違いある!?」

「ある」

即答だった。

そしてナツメは弟に妖怪達の紹介を始める。

ジバニャン。

コマさん。

ウィスパー。

その他大勢。

ケースケは半泣きだった。

[newpage]

その様子を見ながら。

朔夜はふと思う。

(お化けと妖怪の違いか……)

自由研究。

まだ決まっていない。

だが。

妖怪。

幽霊。

怪異。

神様。

実際に存在を知っている今なら。

意外と面白い題材かもしれない。

窓の外では森の木々が風に揺れている。

夏休みは、もうすぐそこだった。

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