村へ戻った#朔夜たちは、ひとまず追跡を振り切ることに成功していた。
黒い城での戦闘の緊張がまだ残っているものの、村には一見いつも通りの空気が流れている。
「……どうやら、撒けたみたい」
#朔夜の言葉に、ドラえもんが小さく頷いた。
「少なくとも、今すぐ追ってくる気配はないよ」
その言葉で、ようやく一同の緊張がわずかに緩んだ。
その一方で、のび太たちの目の前では劇的な再会が起きていた。
「ペコー!!」
「のび太!」
かつての冒険で別れた仲間――クンタック王子としての本来の姿を取り戻したペコと、のび太の再会は感情そのもののぶつかり合いだった。
ジャイアンやスネ夫ですら、珍しく言葉を失っている。
だがその輪の外で、#朔夜は静かに周囲を見回していた。
「ナツメは?」
その一言で空気が変わる。
さっきの撤退以降、彼女の姿はない。
その違和感に、猫娘が重く口を開いた。
「……やっぱり気づいてた」
彼女は一度目を伏せる。
「カミーラの支配を断つには、本体を倒すしかないのよ。」
つまり、まだ戻せる可能性はある。
だが、時間は限られている。
急遽、作戦会議が始まった。
神社の一角に全員が集まり、ドラえもんが地図を広げる。
トウマ、ケータ、妖怪たち、そして朔夜。
緊張の中、スネ夫がぽつりと言った。
「ねぇさ、これ……あの“巨神兵”使えば一発じゃない?」
空気が一瞬止まる。
「巨神兵……?」
#朔夜とトウマが同時に首をかしげた。
ドラえもんが説明を始める。
「ええっと……古い兵器みたいなもの。使えば戦況は変えられるけど、制御が難しいんだ」
「つまり超巨大な戦力装置だよ」
#朔夜はようやく理解したように頷いた。
だが問題は別にあった。
「人数が……足りない」
ドラえもんが静かに言った。
ナツメが抜けたことで、必要とされる“条件人数”が成立しなくなっていた。
スネ夫が眉をひそめる。
「妖怪とかも数に入るの?」
「そこが曖昧なんだよね……」
妖怪勢を含めるかどうかで議論は止まる。
そのとき、目玉おやじがぽつりと言った。
「人間でなくとも、“意思を持ち、対話できる者”ならば縁として数えることもできるじゃろう」
だが、それでも確定ではない。
空気が重くなる。
その沈黙を破ったのは、さらに別の問題だった。
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ドラえもんが突然声を上げる。
「……待って、“魔女”って今言った?」
その視線の先にあったのは、水鏡通信で映し出された二人の影。
アニエスと、もう一人の少女――アデル。
ドラえもん達は初めてその存在を見る。
「魔女!? 本当に存在するの!?」
ジャイアンとスネ夫も警戒するように身構える。
無理もない。これまでの敵幹部は西洋妖怪ばかりだったからだ。
カミーラ、ヴォルフガング、フランケン――その流れを考えれば警戒は当然だった。
一方で朔夜は、わずかに目を細める。
「アニエスは知ってる。でも……その隣の子は初耳」
アデル。
その名前には聞き覚えがなかった。
画面の中の二人は短く言葉を交わし、すぐに結論を出す。
「行くわ。夕方までには合流できる」
通信は切れた。
「夕方に決行だ」
ドラえもんが静かに告げる。
ナツメ救出のタイムリミット。
巨神兵起動の条件。
そして、“魔女”の合流。
すべてが同時に動き始めていた。
#朔夜は空を見上げる。
そしてどこかで確信する。
これはもう、小さな戦いではない。