ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

65 / 165
#第六十五話

村へ戻った#朔夜たちは、ひとまず追跡を振り切ることに成功していた。

黒い城での戦闘の緊張がまだ残っているものの、村には一見いつも通りの空気が流れている。

「……どうやら、撒けたみたい」

#朔夜の言葉に、ドラえもんが小さく頷いた。

「少なくとも、今すぐ追ってくる気配はないよ」

その言葉で、ようやく一同の緊張がわずかに緩んだ。

その一方で、のび太たちの目の前では劇的な再会が起きていた。

「ペコー!!」

「のび太!」

かつての冒険で別れた仲間――クンタック王子としての本来の姿を取り戻したペコと、のび太の再会は感情そのもののぶつかり合いだった。

ジャイアンやスネ夫ですら、珍しく言葉を失っている。

だがその輪の外で、#朔夜は静かに周囲を見回していた。

「ナツメは?」

その一言で空気が変わる。

さっきの撤退以降、彼女の姿はない。

その違和感に、猫娘が重く口を開いた。

「……やっぱり気づいてた」

彼女は一度目を伏せる。

「カミーラの支配を断つには、本体を倒すしかないのよ。」

つまり、まだ戻せる可能性はある。

だが、時間は限られている。

急遽、作戦会議が始まった。

神社の一角に全員が集まり、ドラえもんが地図を広げる。

トウマ、ケータ、妖怪たち、そして朔夜。

緊張の中、スネ夫がぽつりと言った。

「ねぇさ、これ……あの“巨神兵”使えば一発じゃない?」

空気が一瞬止まる。

「巨神兵……?」

#朔夜とトウマが同時に首をかしげた。

ドラえもんが説明を始める。

「ええっと……古い兵器みたいなもの。使えば戦況は変えられるけど、制御が難しいんだ」

「つまり超巨大な戦力装置だよ」

#朔夜はようやく理解したように頷いた。

だが問題は別にあった。

「人数が……足りない」

ドラえもんが静かに言った。

ナツメが抜けたことで、必要とされる“条件人数”が成立しなくなっていた。

スネ夫が眉をひそめる。

「妖怪とかも数に入るの?」

「そこが曖昧なんだよね……」

妖怪勢を含めるかどうかで議論は止まる。

そのとき、目玉おやじがぽつりと言った。

「人間でなくとも、“意思を持ち、対話できる者”ならば縁として数えることもできるじゃろう」

だが、それでも確定ではない。

空気が重くなる。

その沈黙を破ったのは、さらに別の問題だった。

[newpage]

ドラえもんが突然声を上げる。

「……待って、“魔女”って今言った?」

その視線の先にあったのは、水鏡通信で映し出された二人の影。

アニエスと、もう一人の少女――アデル。

ドラえもん達は初めてその存在を見る。

「魔女!? 本当に存在するの!?」

ジャイアンとスネ夫も警戒するように身構える。

無理もない。これまでの敵幹部は西洋妖怪ばかりだったからだ。

カミーラ、ヴォルフガング、フランケン――その流れを考えれば警戒は当然だった。

一方で朔夜は、わずかに目を細める。

「アニエスは知ってる。でも……その隣の子は初耳」

アデル。

その名前には聞き覚えがなかった。

画面の中の二人は短く言葉を交わし、すぐに結論を出す。

「行くわ。夕方までには合流できる」

通信は切れた。

「夕方に決行だ」

ドラえもんが静かに告げる。

ナツメ救出のタイムリミット。

巨神兵起動の条件。

そして、“魔女”の合流。

すべてが同時に動き始めていた。

#朔夜は空を見上げる。

そしてどこかで確信する。

これはもう、小さな戦いではない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。