ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#第六十七話

夕焼けが大地を赤く染めていた。

バウワンコ王国の外れにそびえる巨大な石像――巨神像。その周囲では、バックベヤード軍の兵士たちが厳重な警戒を続けている。

張り詰めた空気の中。

茂みに身を潜めていたペコが、小さく息を吸った。

「――行くぞ!」

その声と同時に飛び出した。

「巨神像に向かって走れ!!」

一斉に駆け出す一行。

当然、兵士たちも気付く。

「侵入者だ!!」

「止めろ!!」

怒号が飛び交う。

しかし、その直後だった。

「落下犬岩石!」

巨大な岩石が地面へ叩きつけられる。

「百烈肉球!」

紅い炎が兵士たちを吹き飛ばした。

さらに空からは朱雀が舞い降り、灼熱の羽ばたきで進路を切り開く。

反対側では麒麟が雷光を放ち、敵陣をかき乱していた。

「今のうちだ!」

ブルススが吠える。

巨体からは想像もつかない勢いで敵兵を薙ぎ払いながら道を作る。

その視線の先には、一人の男。

サーベル隊長。

かつて王国を守った忠臣。

今は敵として立ちはだかる存在。

互いの目が合う。

だが今は立ち止まれない。

一行は巨神像へ向かって走った。

「着いた!」

巨神像の足元へ辿り着いたペコは、首から下げたペンダントを握りしめた。

眩い光が放たれる。

すると巨神像の胸部に刻まれた紋様が輝き始めた。

ゴゴゴゴゴ……。

巨大な石の扉がゆっくりと開いていく。

「開いた!」

のび太が叫ぶ。

「急げ!」

ドラえもん達は次々と内部へ飛び込んだ。

ペコ。

ドラえもん。

のび太。

ジャイアン。

スネ夫。

しずか。

そして巨神像を起動するための仲間たち。

残る者たちは追撃を防ぐ役目だ。

作戦通りだった。

[newpage]

一方その頃。

地上では激しい戦闘が始まっていた。

トウマは妖怪ウォッチを構える。

「頼むぞ、お松!」

呼び出された幻魔・お松が妖力を解放する。

柔らかな光が周囲へ広がった。

その光に触れた鬼太郎ファミリーの妖怪たちが次々と動きを止める。

「……あれ?」

「なんじゃ?」

子泣き爺が目を瞬かせた。

砂かけ婆も周囲を見回す。

洗脳が解けたのだ。

その時だった。

大地が揺れた。

ゴゴゴゴゴゴゴ―――!!

巨神像が動き出したのである。

巨大な腕が持ち上がる。

空気そのものが震えた。

「動いた!!」

誰かが叫ぶ。

その瞬間。

戦場は完全に分断された。

崩れる地面。

巻き上がる土煙。

味方も敵も関係なく引き離されていく。

 

 

#朔夜が気付いた時。

目の前には一人の男が立っていた。

鋭い瞳。

獣のような牙。

人狼ヴォルフガング。

「また会ったな」

低い声が響く。

#朔夜は弓を構えた。

「……。」

隣では猫娘も戦闘態勢に入る。

「今度こそ決着つけるわよ!」

猫娘の爪が閃く。

#朔夜の矢が飛ぶ。

だが。

速い。

異常なほど速い。

ヴォルフガングはまるで風のように攻撃をかわしていく。

「甘い」

猫娘の攻撃を紙一重で回避。

そのまま後方へ跳躍した。

「くっ……!」

「思ったより動く……」

#朔夜も表情を引き締める。

そこへ。

「待たした!」

白い布が空から舞い降りた。

一反木綿だった。

洗脳から解放されたらしい。

「無事!?」

「一反木綿!」

猫娘の表情が明るくなる。

[newpage]

そして。

「やれやれ……」

聞き慣れた声。

猫娘の髪の中から目玉おやじが顔を出した。

「目玉おやじさん!?」

「説明は後じゃ」

目玉おやじは真剣な顔で言った。

「鬼太郎は神殿じゃ」

その一言で#朔夜の表情が変わる。

目的は最初から決まっている。

鬼太郎の救出。

ここで足止めされるわけにはいかない。

「一反木綿!」

「おう!」

#朔夜は飛び乗った。

「猫娘!」

「分かってる!」

猫娘が前へ出る。

まるで撤退するように見えた。

ヴォルフガングもそう判断したらしい。

「逃がさん!」

追撃しようと踏み込む。

その瞬間。

#朔夜の目が細められた。

「――今だ」

振り向きざま。

弓を引く。

放たれた矢は夕陽を裂いた。

完全な死角。

完全な不意打ち。

矢は真っ直ぐ飛び。

ヴォルフガングの肩口へ突き刺さった。

「っ!?」

狼男の身体が大きくよろめく。

睡眠薬の影響もまだ残っているようだ。

反応が僅かに遅れる。

その隙を逃さず、一反木綿が急上昇した。

「行くぞ!」

「うん!」

みるみる距離が開いていく。

ヴォルフガングは追おうとした。

しかし足が止まる。

肩の痛み。

そして僅かな眩暈。

逃げていく#朔夜達の姿を睨みながら、低く唸った。

「……次は逃がさん」

夕焼け空を駆ける一反木綿。

その上には#朔夜と目玉おやじ。

目指す先は神殿。

囚われた鬼太郎がいる場所。

戦場ではそれぞれの戦いが始まっていた。

だが#朔夜たちには、果たすべき役目がある。

「急ぐぞい!」

「うん!」

鬼太郎を救うために。

二人は神殿へ向かって飛び続けた――。

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