ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#第六十九話

「バックベヤード!」

救出された直後だというのに、鬼太郎は休む間もなく立ち上がった。

「お、おい鬼太郎!」

目玉おやじの制止も聞かず、鬼太郎は一反木綿へ飛び乗る。

「まだ終わってない!」

その声には焦りが滲んでいた。

バックベヤードが健在である以上、戦いは終わらない。

一反木綿は大きく翻り、そのまま神殿の外へ飛び出していった。

「あっ!」

猫娘が慌てて追い掛ける。

「まったく、無茶ばかりしおって……!」

目玉おやじも頭を抱えながら後を追う。

#朔夜も弓を握り直した。

「行こう」

頷き合い、一行は再び戦場へ向かう。

神殿を出ると、戦況はさらに激化していた。

遠方では巨神兵とバックベヤードが激突している。

黒い太陽と巨神の戦い。

大地が揺れ、空気そのものが震えていた。

その途中。

轟音が響く。

ドォォォン!!

巨大な樹木が根元から吹き飛んだ。

「うわっ!?」

#朔夜が振り返る。

そこには巨大な怪物がいた。

全身が膨れ上がり、筋肉が異様なまでに肥大化している。

目は血走り、理性の欠片も見えない。

ヴィクター・フランケンシュタインだった。

「侵入者、トラエル」

巨大な拳が振り下ろされる。

アニエスが箒で飛び退く。

その隣でアキノリが叫んだ。

「言ってることとやってることが違うんだけど!?」

「チガワナイ。ジャマスルナッ!」

叫びながら岩を投げるヴィクター。

もはや説得力は皆無だった。

「こっちは大丈夫!」

トウマが叫ぶ。

幻魔・お松の力が周囲を覆っていた。

洗脳されていた王国の民達も次々と正気を取り戻している。

[newpage]

「先に行け!」

「了解!」

#朔夜達は走った。

その先。

最も激しい妖気がぶつかり合っていた。

「ケータ!」

「ナツメ!」

そこではケータ達が苦戦していた。

砂かけ婆。

アデル。

そしてケータ。

三人がかりでも押されている。

相手は吸血鬼カミーラ。

そして。

吸血鬼化したナツメだった。

「ナツメ!」

#朔夜が叫ぶ。

しかし返事はない。

虚ろな瞳。

青白い肌。

完全に操られていた。

「ふふふ」

カミーラが笑う。

「仲間同士で戦う気分はどうかしら?」

「……っ」

ケータが歯を食いしばる。

攻撃できない。

ナツメがいるからだ。

その時だった。

#朔夜の脳裏に鳥かごの光景がよぎる。

鬼太郎を救出した時。

自分の放った矢。

(あの時……)

鳥かごは落ちた。

狙った場所に当たった。

なら。

#朔夜は静かに弓を構える。

カミーラ。

その姿を見据える。

「#朔夜?」

ケータが振り返る。

だが#朔夜は答えない。

集中していた。

[newpage]

外せない。

ナツメが近い。

失敗は許されない。

深く息を吸う。

世界の音が遠ざかる。

カミーラだけが世界に残る。

弦を離した。

ヒュッ―――

誰も見えなかった。

矢が飛ぶ姿を。

音すら無い。

まるで最初からそこにあったかのように。

次の瞬間。

ドスッ。

カミーラの胸に矢が突き刺さっていた。

「……え?」

誰よりも驚いたのは#朔夜だった。

「な……」

カミーラが目を見開く。

ゆっくりと胸を見る。

刺さっている。

確かに刺さっている。

「まさか……」

数歩後退る。

身体が崩れ始める。

「そんな……」

「ありえない……」

声が掠れる。

「あなた……何者……?」

そして。

身体が光に包まれた。

「バックベヤード様……」

最後の言葉を残し。

カミーラは無数の光となって消滅した。

[newpage]

静寂。

誰も動かなかった。

「……倒した?」

ケータが呟く。

#朔夜自身も理解できていなかった。

ただ矢を放った。

それだけだった。

だが結果として。

カミーラは消えた。

その瞬間。

ナツメの身体から黒い靄が抜けていく。

「う……」

ふらりと膝をつく。

「ナツメ!」

ケータが駆け寄る。

アデルも慌てて支える。

「ここ……どこ?」

ナツメは目を瞬かせた。

そして周囲を見回す。

「ケータ?」

正気だった。

「戻った!」

ケータが叫ぶ。

#朔夜はようやく安堵の息を吐く。

どうやら成功したらしい。

 

 

一方その頃。

巨神兵の足元。

「うおおおおっ!!」

名刀電光丸が閃く。

ガギィィン!!

サーベル隊長が後退した。

「まだだ!」

その隣ではブルススが巨大な拳を叩き込む。

ドォォォン!!

サーベル隊長は吹き飛ばされた。

さすがの彼も余裕を失っていた。

額には汗。

呼吸も荒い。

「貴様ら……!」

追い詰められていた。

確実に。

その時。

不意に。

頭上から声が降ってきた。

「力が欲しいか?」

サーベル隊長が顔を上げる。

木々の上。

夕陽を背にした人影が立っていた。

その姿は逆光で見えない。

だが。

どこか不気味な気配だけが漂っている。

[newpage]

「……お前は!?」

サーベル隊長が唸る。

すると人影は笑った。

「お前は敗北する」

「だが――」

その声は妙に甘く。

耳に残る。

「力を得れば、まだ戦える」

夕陽が沈み始める。

そして。

戦場には新たな影が差し込もうとしていた――。

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