警報音が鳴り響く中。
「んにゃろう!!」
真っ先に飛び出したのはジャイアンだった。
「待ってジャイアン!!」
のび太が叫ぶ。だが止まらない。
「ぶっ飛ばしゃいいんだろ!!」
ラボの扉を勢いよく開け、吹雪の中へ突撃していく。
「バカ!!」
今度はアキノリが飛び出した。
「無策で突っ込んでも意味ないって!!」
慌てて追いかける。
「ジャイアン待ちなさい!」
しずかも叫んだ。
ドラえもんは額を押さえ、
「もうっ!」
即座にポケットへ手を突っ込む。
「みんな、これ!」
取り出したのはタケコプター。
のび太、しずか、スネ夫へ次々渡していく。
「上空から援護するよ!」
「えぇぇまた飛ぶのぉ!?」
のび太が涙目になる。
「文句言ってる場合!?」
ナツメが即ツッコミ。
一同は吹雪の空へ飛び立った。
◇
その先。
氷原の中央に、“それ”はいた。
巨大だった。
山のような氷の塊。
人型にも見える異形。
吹雪そのものを纏い、白い冷気を撒き散らしている。
ブリザーガ。
近づくだけで空気が凍る。
「……大きい」
トウマが息を呑む。
ジャイアンはすでに地上へ降下していた。
「うおおおおお!!」
ドラえもんが慌てて別の道具を放り投げる。
「ジャイアン! これ使って!!」
「おう!!」
よく分からないまま受け取っていた。
一方。
「#朔夜くん!」
ドラえもんが弓を差し出した。
「え?」
「これ!」
弓には奇妙な装置が取り付けられていた。
「自動矢生成アタッチメント! 引けば無限に矢が出る!」
「そんな雑な……」
いや未来道具だから今さらか。
#朔夜は小さく息を吐き、弓を構えた。
戦闘が始まる。
◇◇
『おりゃあああ!!』
メラメライオンの炎。
『いくズラ!!』
コマさんの妖術。
トウマの剣撃。
ジャイアンの突撃。
のび太達の秘密道具。
矢が飛ぶ。
爆発が起こる。
吹雪が乱れる。
だが。
「効いてなくない!?」
ケータが叫ぶ。
ブリザーガは微動だにしない。まるで巨大な氷山そのもの。
攻撃が表面を削っても、すぐ再生していく。
「どうすんだよこれぇ!?」
スネ夫が半泣きになる。
その時。
朔夜は目を細めた。
◇◇◇
(……あれ?)
ブリザーガの腕。
メラメライオンの炎が直撃した部分だけ、
ほんのわずかに。
本当にわずかに。
氷が溶けている。
再生も遅い。
「……炎」
朔夜が呟く。
次の瞬間、叫んだ。
「炎!、効いてる!!」
一同が振り向く。
「え!?」
ケータが目を見開いた。
「本当か!?」
ドラえもんも反応する。
「氷の再生が遅れてる!」
その言葉で空気が変わった。
「炎主体に切り替える!!」
トウマが叫ぶ。
『燃えてきたメラァァァ!!』
メラメライオンが炎を爆発させる。
コマさんの妖術。
雪女の冷気制御。
青龍の巨大な妖力。
そこへドラえもん達の道具も加わる。
◇◇◇◇
極寒。
灼熱。
温度差が空間を歪ませていく。
ブリザーガの身体が軋み始めた。
バキッ――!!
巨大な氷が砕け落ちる。
「効いてる!!」
のび太が叫ぶ。
さらに炎。
さらに衝撃。
氷の肉体が次々剥がれていく。
やがて。
「……土?」
しずかが呟いた。
氷の奥。
そこに見えたのは、大地のような茶色い層。
まるでゴーレムの核。
◇◇◇◇◇
「今だ!!」
トウマが叫ぶ。
『いくズラァァァ!!』
『吹き飛ばすメラァ!!』
『凍てつけ――!!』
青龍。
雪女。
メラメライオン。
三体の妖力が重なった。
極端な温度変化。
膨張。
収縮。
そして。
――轟音。
ブリザーガの身体が、一気に崩壊した。
氷の巨体が砕け散る。
吹雪が止む。
静寂。
白い雪だけが、ゆっくり舞っていた。
「……倒した?」
のび太が呟く。
誰もすぐには答えられなかった。
なんでそんな簡単に倒せるんだよ!