バウワンコ王国での戦い、ヒョーガ・ヒョーガ星での冒険、そして天狗騒動。
様々な出来事を経験してきた#朔夜だったが――。
今回ばかりは本気で怒られていた。
「#朔夜」
朝食の席で母親が静かに言う。
その声に、#朔夜は思わず背筋を伸ばした。
「はい……」
「しばらく外出禁止」
「えっ」
「えっ、じゃない」
即答だった。
逃げ道はない。
「でも夏休みだよ?」
「だから?」
「友達と遊ぶ約束とか……」
「だから?」
圧が強い。
#朔夜は助けを求めるように父親を見る。
だが父親は新聞を広げたまま視線を逸らした。
見捨てられた。
「仏の顔も三度までって言うでしょ」
母親はため息をつく。
「今回で何回目だと思ってるの」
ぐうの音も出ない。
「反省するまで外出禁止」
「……はい」
こうして#朔夜の自由は失われたのだった。
◇
その日の昼過ぎ。
二階の自室で自由研究の資料を広げていた#朔夜のスマホが震えた。
画面に表示された名前を見て目を瞬く。
ドラえもん。
通話ボタンを押す。
『もしもし?』
「どうしたの?」
『今から空き地に来られる?』
「空き地?」
『うん』
ドラえもんの声は妙に楽しそうだった。
「何かあるの?」
『来れば分かるよ』
「教えてよ」
『だめ』
即答。
「なんで」
『秘密だから』
どうやら本当に教える気はないらしい。
だが。
ドラえもんがここまで勿体ぶる時は、大抵ろくでもない――いや、面白いことが起きる。
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「うーん……」
しかし問題がある。
外出禁止。
しかも昨日言い渡されたばかりだ。
破れば間違いなく怒られる。
再び。
#朔夜は窓の外を眺めながら考え込んだ。
その時。
ガレージの方からエンジン音が聞こえた。
ブロロロ……
車が走り去っていく音。
「あ」
もしかして。
そっと部屋のドアを開ける。
二階の廊下から階下を覗く。
母親の姿はない。
どうやら買い物に出かけたらしい。
チャンスだった。
◇
忍び足で階段を下りる。
ギシ。
床板が鳴る。
慌てて身を縮めた。
……大丈夫。
気付かれていない。
そう思った瞬間。
キッチンから物音がした。
#朔夜は反射的に柱の陰へ飛び込む。
ひょこっと顔を出す。
そこには父親がいた。
コーヒーミルを回している。
部屋には香ばしい香りが漂っていた。
「……」
気付かれていない。
たぶん。
#朔夜は再び移動を開始する。
一歩。
また一歩。
玄関まであと少し。
泥棒みたいだな。
そんなことを思いながら進む。
そしてついに玄関へ到着した。
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よし。
勝った。
小さく拳を握る。
靴を履き、そっとドアを開ける。
「いってきます……」
蚊の鳴くような声で呟く。
その瞬間。
「気を付けてな」
背後から声がした。
「うわっ!?」
飛び上がる#朔夜。
振り返ると父親がコーヒーカップを片手に立っていた。
「父さん!?」
「友達のところだろ?」
「え、あ、その……」
「母さんには内緒な」
にやりと笑う。
完全にバレていた。
「ありがとう!」
#朔夜は慌てて飛び出した。
◇
空き地。
そこには既に見慣れた顔ぶれが集まっていた。
のび太。
しずか。
ジャイアン。
スネ夫。
そして。
「#朔夜!」
ナツメが手を振る。
「え?」
隣にはケータ達もいた。
トウマ。
アキノリまでいる。
「みんな呼ばれたの?」
「うん」
#朔夜は驚く。
いつものメンバーに加えて妖怪探偵団までいる。
一体何事だろう。
その時。
ドラえもんが得意げに前へ出た。
「みんな集まったね!」
手には何枚ものチケット。
「今日は特別なお知らせがあります!」
「何?」
のび太が首を傾げる。
ドラえもんは満面の笑みを浮かべた。
「ヒミツ道具ミュージアムに行くんだよ!」
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一同が固まる。
「え?」
「ヒミツ道具ミュージアム!?」
「そう!」
ドラえもんはチケットを掲げた。
未来世界に存在する秘密道具専門の巨大博物館。
貴重な道具が数え切れないほど展示されている夢の場所だ。
「行きたい!」
真っ先に叫んだのはケータだった。
「絶対行きたい!」
「言うと思った」
ドラえもんは苦笑する。
そしてチケットをひらひらさせた。
「だから君たちの分も用意してあるよ」
一瞬の静寂。
次の瞬間。
「やったー!!」
歓声が空き地に響き渡った。