ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#八十三話

バウワンコ王国での戦い、ヒョーガ・ヒョーガ星での冒険、そして天狗騒動。

様々な出来事を経験してきた#朔夜だったが――。

今回ばかりは本気で怒られていた。

「#朔夜」

朝食の席で母親が静かに言う。

その声に、#朔夜は思わず背筋を伸ばした。

「はい……」

「しばらく外出禁止」

「えっ」

「えっ、じゃない」

即答だった。

逃げ道はない。

「でも夏休みだよ?」

「だから?」

「友達と遊ぶ約束とか……」

「だから?」

圧が強い。

#朔夜は助けを求めるように父親を見る。

だが父親は新聞を広げたまま視線を逸らした。

見捨てられた。

「仏の顔も三度までって言うでしょ」

母親はため息をつく。

「今回で何回目だと思ってるの」

ぐうの音も出ない。

「反省するまで外出禁止」

「……はい」

こうして#朔夜の自由は失われたのだった。

 

 

その日の昼過ぎ。

二階の自室で自由研究の資料を広げていた#朔夜のスマホが震えた。

画面に表示された名前を見て目を瞬く。

ドラえもん。

通話ボタンを押す。

『もしもし?』

「どうしたの?」

『今から空き地に来られる?』

「空き地?」

『うん』

ドラえもんの声は妙に楽しそうだった。

「何かあるの?」

『来れば分かるよ』

「教えてよ」

『だめ』

即答。

「なんで」

『秘密だから』

どうやら本当に教える気はないらしい。

だが。

ドラえもんがここまで勿体ぶる時は、大抵ろくでもない――いや、面白いことが起きる。

[newpage]

「うーん……」

しかし問題がある。

外出禁止。

しかも昨日言い渡されたばかりだ。

破れば間違いなく怒られる。

再び。

#朔夜は窓の外を眺めながら考え込んだ。

その時。

ガレージの方からエンジン音が聞こえた。

ブロロロ……

車が走り去っていく音。

「あ」

もしかして。

そっと部屋のドアを開ける。

二階の廊下から階下を覗く。

母親の姿はない。

どうやら買い物に出かけたらしい。

チャンスだった。

 

 

忍び足で階段を下りる。

ギシ。

床板が鳴る。

慌てて身を縮めた。

……大丈夫。

気付かれていない。

そう思った瞬間。

キッチンから物音がした。

#朔夜は反射的に柱の陰へ飛び込む。

ひょこっと顔を出す。

そこには父親がいた。

コーヒーミルを回している。

部屋には香ばしい香りが漂っていた。

「……」

気付かれていない。

たぶん。

#朔夜は再び移動を開始する。

一歩。

また一歩。

玄関まであと少し。

泥棒みたいだな。

そんなことを思いながら進む。

そしてついに玄関へ到着した。

[newpage]

よし。

勝った。

小さく拳を握る。

靴を履き、そっとドアを開ける。

「いってきます……」

蚊の鳴くような声で呟く。

その瞬間。

「気を付けてな」

背後から声がした。

「うわっ!?」

飛び上がる#朔夜。

振り返ると父親がコーヒーカップを片手に立っていた。

「父さん!?」

「友達のところだろ?」

「え、あ、その……」

「母さんには内緒な」

にやりと笑う。

完全にバレていた。

「ありがとう!」

#朔夜は慌てて飛び出した。

 

 

空き地。

そこには既に見慣れた顔ぶれが集まっていた。

のび太。

しずか。

ジャイアン。

スネ夫。

そして。

「#朔夜!」

ナツメが手を振る。

「え?」

隣にはケータ達もいた。

トウマ。

アキノリまでいる。

「みんな呼ばれたの?」

「うん」

#朔夜は驚く。

いつものメンバーに加えて妖怪探偵団までいる。

一体何事だろう。

その時。

ドラえもんが得意げに前へ出た。

「みんな集まったね!」

手には何枚ものチケット。

「今日は特別なお知らせがあります!」

「何?」

のび太が首を傾げる。

ドラえもんは満面の笑みを浮かべた。

「ヒミツ道具ミュージアムに行くんだよ!」

[newpage]

一同が固まる。

「え?」

「ヒミツ道具ミュージアム!?」

「そう!」

ドラえもんはチケットを掲げた。

未来世界に存在する秘密道具専門の巨大博物館。

貴重な道具が数え切れないほど展示されている夢の場所だ。

「行きたい!」

真っ先に叫んだのはケータだった。

「絶対行きたい!」

「言うと思った」

ドラえもんは苦笑する。

そしてチケットをひらひらさせた。

「だから君たちの分も用意してあるよ」

一瞬の静寂。

次の瞬間。

「やったー!!」

歓声が空き地に響き渡った。

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