タイムトンネルのように歪んだ空間を抜けると、チケットは眩い光を放ち、まるで意思を持つかのように形を変え始めた。次の瞬間、それはジェットコースターの座席を思わせる小型の乗り物へと変化し、全員を乗せたまま空間を滑るように進んでいく。
「うわっ……これ本当に大丈夫なのかよ!」
ジャイアンが叫ぶが、その声は風にかき消されていった。
やがて一行は、巨大な建造物の前へと放り出されるように到着する。
降り立った瞬間、乗り物は粒子のように分解され、今度は小さなテントウ虫のようなバッジへと姿を変えた。
それは意思を持つようにそれぞれの服や毛並みに吸い付き、簡単には外れない形で固定される。
「何だニャ!?」
ジバニャンが必死に引き剥がそうとするが、ナツメが慌てて手を止めた。
「ダメ、それ多分入館認証だから!」
渋々諦める一同をよそに、バッジは淡く光を放ち、彼らが“正式な来館者”であることを示していた。
館内に入ると、空気は一変した。
巨大な展示空間には、見たこともないひみつ道具の数々が整然と並び、訪問者の視線を奪っている。
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その片隅で、カーラはひどく疲れた様子で壁にもたれていた。
「やっと……終わったと思ったのに……」
対照的に、ヒャッコイ博士は目を輝かせながら展示物を食い入るように見つめている。
「これが……これが未来技術か……!」
ドラえもんはその様子を横目に見ながら、どこか上の空で館内を見渡していた。まるで何か別の存在を警戒しているかのように。
カーラは一行に気づくと、救いを求めるように駆け寄ってきた。
「ねえ……ここに来る前、タイムパトロールに散々聴取されてて……」
事情を聞けば、ブリザーガ暴走事件の余波で、カーラたちは詳細確認のため呼び出されていたらしい。
ヒャッコイ博士も珍しく愚痴をこぼす。
「科学的に説明できない現象ばかりでな……こちらも困っている」
その頃、朔夜・のび太・ドラえもん・ナツメを除く一行は、いつの間にか姿を消していた。
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「トウマまで……」
ナツメがため息をつく。特にアキノリとトウマは、完全に展示に夢中になっているらしい。
ジャイアンとスネ夫もまた例外ではなかった。
「前はゆっくり見れなかったからな!」
「右に同じく!」
ナツメは額を押さえた。
「完全に観光じゃない……」
そんな混乱の中、のび太がふと足を止めた。
「……あっ!」
その視線の先にいたのは、一人の少年。
整った制服姿の少年は、展示道具を慎重に点検していた。
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「クルトくん!」
のび太は嬉しそうに駆け寄る。少年は驚いたように顔を上げたが、すぐに穏やかな表情を浮かべた。
ドラえもんもすぐに近づき、低い声で尋ねる。
「お願いしていた件、どうなった?」
クルトは周囲を一度見渡し、声を落とした。
「ここで話すのはちょっと……私室で話そう」
その表情には、ただの博物館職員ではない、何か重大な情報を抱えた者の影があった。
そして一行は、静かに展示区画の奥へと導かれていく。
その先で待つものが何であるかを、まだ誰も知らなかった。