ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#八十八話

「ミステリートレイン」

「ドラえもん!」

展示スペースに響いた大きな声。

振り返ると、そこには腕を組んだジャイアンが立っていた。

その表情は明らかに不満げである。

「なんで黙ってたんだよ!」

「え?」

突然の抗議にドラえもんは目を丸くした。

「何のこと?」

「とぼけんな!」

ジャイアンはさらに一歩前へ出る。

「ミステリートレインのことだよ!」

その言葉を聞いた瞬間。

ドラえもんの表情が固まった。

「あ……」

後ろに立つ三人の姿を見て、何かを察したらしい。

「なるほど……」

小さく額を押さえる。

「やっぱり聞いたんだね……」

「聞いたも何も!」

ジャイアンは大げさに両手を広げた。

「運行予定まで決まってるじゃねぇか!」

「え、えっとね……」

ドラえもんは珍しく歯切れが悪い。

「黙ってたわけじゃないんだよ?」

「じゃあ何だよ」

「その……」

言葉を探すように視線を泳がせる。

そして観念したように肩を落とした。

「……だから話したくなかったんだよ」

「え?」

反応したのはのび太だった。

「ミステリートレインって言った?」

その瞬間。

ドラえもんはさらに頭を抱えた。

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「ほら」

「え?」

「ほら見ろ」

「何が?」

「だから話したくなかったんだって」

ドラえもんは深いため息をつく。

「のび太の今年の自由研究、天体観測だろ?」

「うん!」

「絶対食いつくと思った」

「当然だよ!」

のび太は目を輝かせた。

「ミステリートレインだよ!? 宇宙列車だよね!?」

「まだ乗るって決まったわけじゃ――」

「乗るんだ!」

「話聞いてた?」

ドラえもんが呆れる。

その様子を見ていた#朔夜は、ようやく口を開いた。

「盛り上がっているところ悪いんだけど」

全員の視線が向く。

「ミステリートレインって何?」

「あ」

「そういえば説明してなかった」

ドラえもんは咳払いをした。

「えっとね――」

そこから簡単な説明が始まった。

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[chapter:未来世界で人気の観光列車]。

 

[chapter:銀河を巡る長距離路線。]

 

[chapter:様々な惑星を旅する特別列車。]

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話を聞くうちに、#朔夜たちも少しずつ興味を引かれていく。

「つまり宇宙旅行か」

「そういうこと!」

のび太が勢いよく頷いた。

「すごそうだな」

アキノリなら間違いなく喜びそうだ。

そんなことを考えていると、ドラえもんが後ろの三人へ目を向けた。

「そうだ。紹介するね」

三人も前へ出る。

「久しぶりだね、ドラえもん」

最初に声を掛けたのは快活そうな少年だった。

「こちらこそ」

ドラえもんは笑顔になる。

「この子がアストン」

少年が軽く手を振る。

「よろしく」

続いてもう一人の少年。

「こっちがドン」

「どうも」

最後に少女。

「それからジェーン」

「よろしくね」

三人とも未来世界の子どもらしい雰囲気を持っていた。

#朔夜たちは順番に挨拶を返す。

「未来人って実際に会うと不思議だな……」

思わず呟くと、

「よく言われるよ」

アストンが笑った。

和やかな空気が流れる。

その様子を見届けるように、リーゼが一歩下がった。

「じゃあ、私はこれで」

赤いポニーテールが揺れる。

「仕事に戻らないといけないから」

「色々ありがとうございました」

ドラえもんが頭を下げる。

「いえいえ」

リーゼは柔らかく微笑んだ。

「妖怪のお話、とても面白かったわ」

ケータとトウマも慌てて礼を言う。

「またね」

そう言い残し、リーゼは展示スペースの奥へと歩いていった。

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その後ろ姿を見送りながら――

#朔夜は再び違和感を覚える。

まただ。

さっきからずっと感じている。

初対面のはずなのに。

どこかで見たような。

どこかで会ったような。

そんな奇妙な感覚。

「#朔夜?」

ナツメが首を傾げる。

「……いや」

首を振った。

考えても分からない。

今はそれよりも――

「おーい!」

聞き覚えのある声が飛んできた。

見ると少し離れた通路からアキノリが駆けてくる。

どうやら見学を終えたらしい。

「そっちは終わったのか?」

「うん」

ドラえもんが頷く。

「ちょうど合流したところ」

これで全員が揃った。

ジャイアン。

スネ夫。

のび太。

しずか。

ドラえもん。

そして#朔夜たち。

さらにアストン、ドン、ジェーン。

賑やかな集団になっている。

「それで?」

ジャイアンが腕を組む。

「ミステリートレインには乗るんだろ?」

ドラえもんは苦笑した。

「まぁ……その予定だよ」

「よっしゃ!」

ジャイアンが拳を握る。

のび太も歓声を上げた。

こうして一行は、銀河を駆ける夢の列車――ミステリートレインへ向かうことになる。

その胸に期待を抱きながら。

そして#朔夜だけは、胸の奥に残る小さな違和感を抱えたまま。

赤い髪の職員――照海リーゼの後ろ姿を、最後まで見つめていたのであった。

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