ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#九十六話

「避難信号って!助けにいかなくちゃ!」

展望デッキに響いたナツメの声と同時に、彼女は腕に装着したウォッチを構えた。呼び出すのは当然のように妖怪たちだ。

だがその瞬間、朔夜はふと冷静になる。

(……いや待て。妖怪って宇宙空間で活動できるのか?)

空気も重力もない場所で、いつもの調子で動けるとは思えない。そもそも呼吸の問題がある。百人一首の句よりも現実的な疑問が頭をよぎった。

その横でドラえもんは、珍しく即断していた。

「とりあえずこれ使おう」

取り出したのはテキオウ灯だった。

ナツメはすぐに頷き、ウォッチを起動する。

「お願い!来て!」

次の瞬間、光と共に現れたのは――

青龍、コマさん、そしてキュウビ(ライトサイド)。

「うわっ!?」「な、なにこれぇ!?」

マスタード警部と車掌が同時に叫び、後退した。

だがドラえもんは慣れた様子でテキオウ灯を三体に照射する。

光に包まれた妖怪たちは一瞬戸惑うが、すぐに身体の違和感が消えたことに気付く。

その様子を見て、ナツメは満足げに頷いた。

しかし――異変はそこからだった。

テキオウ灯の影響か、あるいは宇宙環境の刺激か、コマさん達の雰囲気が微妙に変化する。

「……なんか、ちょっとカッコよくなってない?」と#朔夜。

コマさんはキリッとした目で前方を見つめていた。

一方でマリンバだけは目を輝かせていた。

「なにこれ最高じゃん。宇宙で怪獣ショー?」

完全に楽しんでいる。

ドラえもんはため息をつきながら車掌へと手を伸ばした。

「トランシーバー貸してもらえる?」

救難信号の発信位置を特定するためだ。

車掌は震えながらも装置を差し出す。

「こ、これで……避難船の位置が分かるはずです……」

機器に表示された座標を確認し、ドラえもんは短く頷いた。

「行くよ!」

次の瞬間、青龍がゆっくりと前に出る。

ナツメがその背へ飛び乗る。

コマさんは少し戸惑いながらも、続いた。

#朔夜も一瞬ためらう。

しかしもう止まる理由はなかった。

テキオウ灯の光が一行全員を包み、宇宙空間へと解き放つ。

ミステリートレインの外へ出た瞬間――

眼前には、無数の星と、遠くに漂う巨大な避難船のシルエット。

救難信号の発信源がそこにあった。

[newpage]

その頃、列車内の個室で資料を書いていたボームはふと窓の外を見て固まる。

「……は?」

そこには――

青龍に乗って宇宙を飛ぶドラえもん一行.。

完全に報道の範囲を超えた光景だった。

ボームはペンを落とす。

「スクープとかいう次元じゃないんだが……?」

宇宙は今日も静かに狂っていた。

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