ドラえもんのび太の異世界からの来訪者   作:セナドライ

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#九十七話

星々の海を、青い龍が駆け抜ける。

ミステリートレインから飛び出したドラえもんたちは、車掌から渡された通信機の示す座標を目指していた。

先頭を飛ぶのは青龍。その背にはナツメとドラえもんが乗っている。

少し後方ではコマさんとキュウビが並走し、その背に朔夜やトウマがしがみついていた。

さらに最後尾。

マリンバだけはなぜか自前の小型推進装置を使い、宇宙空間を泳ぐように飛んでいる。

「なんで普通について来れてるの……」

#朔夜が呟く。

「賞金稼ぎだから」

マリンバは当然のような顔で答えた。

「その説明で納得できるわけない」

トウマが即座に突っ込む。

そんなやり取りをしているうちに、通信機の反応が急激に強くなった。

ドラえもんが前方を指差す。

「あれだ!」

一同が視線を向ける。

そして――言葉を失った。

巨大だった。

救難信号の発信源は一隻ではなかったのである。

宇宙空間に無数の船が漂っていた。

大型船。

中型船。

貨物船のようなもの。

改造したような居住船。

形も大きさもバラバラだ。

まるで街そのものが宇宙へ逃げ出してきたかのような光景だった。

[newpage]

「避難船団……?」

ナツメが呟く。

「そんな感じだな」

ドラえもんも表情を引き締める。

その時だった。

船団の一隻から光が点滅する。

通信信号だ。

そして次の瞬間。

大型船の側面にあるハッチがゆっくりと開き始めた。

ゴォォォ……

重々しい音が宇宙空間に響くような錯覚を覚える。

開いたハッチの内部は暗く、何も見えない。

だが明らかにこちらへ向けて開いている。

「入れってことかな?」

トウマが眉をひそめる。

マリンバは腕を組んだ。

「怪しい」

「え?」

「普通に怪しい」

断言だった。

「こういうのね。賞金首を追ってる時によくある」

「いや、宇宙で?」

「宇宙でも」

なぜか説得力がある。

マリンバは続けた。

「救難信号出す」

「善意の人が近づく」

「閉じ込める」

「終了」

「簡潔だな……」

#朔夜は少し納得しかけた。

確かに可能性としてはあり得る。

だがドラえもんは首を振る。

「助けを求めてるなら放っておけないよ」

その言葉にマリンバは肩をすくめた。

「だから私は止めないよ」

「ただし警戒はする」

「それは賛成」

ドラえもんも頷く。

結局、一行はその船へ向かうことになった。

青龍がゆっくりとハッチ内部へ降り立つ。

続いてコマさんとキュウビも着地した。

[newpage]

全員が船内へ入った瞬間。

――ゴォン!

背後のハッチが閉じた。

「!?」

トウマが反射的に身構える。

#朔夜も弓へ手を伸ばした。

周囲は真っ暗だ。

何も見えない。

完全な闇。

その中で機械の駆動音だけが響く。

ガコン。

ガコン。

ガコン。

「閉じ込められた?」

トウマが小声で言う。

マリンバはすでに武器へ手をかけていた。

「ほら来た」

「まだ決まってないって」

ドラえもんが慌てて止める。

だが彼自身も緊張しているのは分かった。

数秒。

あるいは数十秒。

暗闇の時間は短かったはずなのに妙に長く感じる。

そして。

パッ。

天井の照明が点灯した。

「うわっ」

急な明るさに目を細める。

どうやら気圧調整区画だったらしい。

機械音も徐々に静まっていく。

何事も起きない。

罠でもなさそうだ。

皆が少しだけ安堵したその時。

正面の巨大なハッチがゆっくりと開き始めた。

ゴォォ……

眩しい光が差し込む。

その向こうに人影が見えた。

一人ではない。

複数人いる。

誰だ?

#朔夜たちが身構える。

そして。

通路の向こうから驚いた声が響いた。

「ドラえもんさん!?」

聞き覚えのあるような、ないような声。

だが。

その反応は明らかにドラえもん個人へ向けられていた。

一同が反射的に振り返る。

視線の先。

ドラえもんは固まっていた。

目を大きく見開き。

信じられないものを見るような顔をしている。

「え……?」

普段のドラえもんからは想像できない反応だった。

知り合いなのか。

#朔夜がそう思った時。

ハッチの向こうの人物たちもまた、驚愕の表情を浮かべていた。

まるで奇跡でも見たかのように。

そしてドラえもんは小さく息を呑む。

[newpage]

「そんな……」

その声には驚きと困惑が入り混じっていた。

#朔夜は思わず前を見る。

通路の向こう。

照明に照らされた数人の姿。

彼らが何者なのかはまだ分からない。

だが一つだけ確かなことがあった。

この遭難船団は。

ドラえもんにとって決して無関係な存在ではない。

そして――

彼らもまた、ドラえもんを知っているのだった。

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